20.ミネラル
前に一度俺の家に来ていたからか、妹から聞いていたか知らないが、
リビングには、結構大きめのバケツが用意されていた。
中身はなんと母ちゃん特製の 麦 茶 だ。
「ちょっと、お母さん! ポカリっていったじゃん。麦茶って、バカじゃないの?」
妹、激怒。
確かにお茶類はまだ試していない。
「なによ!あんた、麦茶はねぇ!ミネラルたっぷりなのよ!!」
そういうものなのか?
「麦茶、ニート君には渋すぎないか?」
俺も参戦。
「馬鹿ねー!あんたたちは。あんたたちも麦茶で育ったの!だから平気!!」
謎理論。
母ちゃんは、親父からニート君を奪うと麦茶バケツに入れた。
「「!!!!!!!!!!!!!」」
驚愕の俺と妹。
『にゅ?にゅーーーーーーーーーーーー♪♪』
なんだかホッとした感じの表情で麦茶バケツに浸かるニート君。
麦茶もOKなのか。
「ほらっ!言ったじゃないの!」
母ちゃん、渾身のドヤ顔。
「超うざ。あっそうだ。バケツで思い出した!プール買って来たの、プール、ビニールプール♪
ノリオ取ってきて!」
「買ったのは、俺だ。」
だが、ダッシュで玄関から取ってくる。
「あ、空気入れないじゃん。」
「家にないの?」
「空気入れぇ〜?ないわねぇそんなの」
まさかの人力か。
親父、母ちゃん、妹の3人の視線が俺に向かっている。
クソ。ニート君の為だ。
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1時間かけて、プール完成。
全力を尽くした俺がぐったりしているなか、妹がニート君とプールで遊び始めた。
「おい!おれが作ったぷーるだぞ!勝手にあそぶんじゃねぇ!!!」
動けないまま、庭の妹に向かって叫ぶ。
「やっだー。ニート君、ノリオが遊んじゃだめだって言ってるよぉ!!
こわいね〜。ねぇねは遊んであげるからね♪」
くっそー!!!!!
「あ、そうだ。スイカも買ったんだよ!お母さん玄関からとってきてよ!」
ス イ カ も 俺 が 買 っ た ん だ ! ク ソ が っ !!!




