18.ダンジョン
実家近くのイオンに寄ることにした。
ここにビニールプールがあるらしい。
妹の後ろをニート君を抱いて付いていく。
「おっすごいあるな」
「すごいね!どれ買う!?」
夏だからか、水遊び用のグッズが魅力的に配置されている。
まだ開店間もないから人も少なく、俺はニート君にも売り場が良く見えるようにしてやる。
『にゅー?にーにーにーー。』
うーむ。
なんだか楽しそうだ。
俺は一目でサメが口を開いているような形のプールが気になった。
「これ」
「なるほど。かわいいじゃんそれにする?」
「うむ」
サメの開いた口に入るニート君を想像してうきうきしてきた。
「あっ!これもいいなー!ねぇねぇ!これは?!」
妹が指差したのは、スイカの配色のプールだ。
「悪くない」
それもいいな。
俺と妹は真剣に検討した結果、悩みになやんでサメ型のプールにした。
スイカは食べる方の本物のやつを買って、ニート君と一緒にプールで冷やし、後でみんなで食べる事にしたのだ。
支払いはなんと100%俺。
荷物のせいでニート君が妹の手に渡り、
支払いの都度
「あっ?ニート君トイレでちゅか!
大変たーいへん!!
ちょっと行ってくるわ」
と消えるのだ。
とんでもない野郎である。
あいつには、プールにもスイカにも指一本触れさせん!
俺は決意を固めた。
イオンには、フードコートまである。
後になって考えれば、妹が意図的に誘導したのだが、
ニート君の過剰反応により、寄る事にした。
「ニート君には絶対これだって!
あっここすぐに混んでくるから、あたし席とっとくね!」
と、絶妙な素早さで消えた妹に腹を立てつつソフトクリームを購入。
『にーーーー。にゅーー!!にゅぅーーーん』
目を輝かせてソフトクリームにむさぼるニート君に心が浄化されていく。
妹はスマホで写真を撮りまくっていた。




