17.車窓
早朝、
足に激痛を覚え目を覚ました。
仁王立ちをした妹が上から能面顔で見下ろしていた。
こいつ、
蹴り起こしやがった!!!!!!
朝から腹の立つ野郎だ。
今日はニート君をしっかりと抱きしめたままだ。
ほっ。
「お前、暴力ふるうんじゃねぇよ!
ニート君がケガしたらどうするつもりだ!!!!」
「は?お前の足しか狙ってねーし。
起こしてやっただけ感謝しろや。」
朝から非常に危険な状態である。
緊迫した空気が流れる。
『にゅ・・・にゅーーーーーー???』
ニート君が起きた。
「起きたか、ニート君、良く寝れたかな〜?」
「おっはーー!!ニート君、ねぇねだよ〜?おいでーーーー!!」
これがニート君の力。
デッレデレである。
ニート君の前ではどんな状況だったとしても、醜い争いなど見せられない。
ニート君、怖がっちゃうもんな。
ちゃっちゃと着替えて支度をし、家を出る。
電車に乗り、スマホを取り出すとなんと6時。
なんと。
週末だというのに、平日よりも早く家を出ることになるとはな。
ま、電車で寝れば良い事だ。
『にゅー?』
『にゅっ!!にゅっ!!!にゅにゅにゅー!!!』
やばい!
忘れてた。
ニート君、 初めての 電車 だ !!!!!
ニート君に、窓の景色をみせてやらねば!!!!
『にっ!!にゅーっ!!!にゅにゅーーーにゅー!!!』
電車の窓から、次々と変わる景色に喜ぶニート君。
喜びのニート君を見て、電車の中がこの上なく和やかな空気になっている。
電車大正解だな。
妹がうるさく騒ぐかと思ったが、電車の揺れに瞬殺されてやがる。
俺は、ニート君と楽しい電車の旅を満喫することにした。




