15.週末の予定
『はぁーい。もしもし、山田でございますぅ!あ、あんたか』
安定のキモさである。
「や、今日さ、」
『あんた!まーちゃんがいたからよかったけど!
あんた、ニート君がかわいそうじゃないのっ!!!
まったく、まーちゃんが行くまでニート君、ほっったらかしてたんだって?!
お母さんねぇ、それ聞いた時ひっくり返っちゃったわよ!!!』
切ろう。
『そうそう!週末家に連れてきなさいよ!
お父さんだってちょうどぎっくり腰じゃなかったら明日行きたいっていってるんだから!
親孝行しなさいよ!
お父さん、ニート君の写真見てから・・・会いたくて会いたくて、震えてるわよ!!!』
「分かった!!!!
土曜連れてく!
あとなんかあったらメールにして!!!」
母親による、西野カナの熱唱が始まる前に電話を切ることに成功。
何だか疲れが。
「あいたーくて♪あいーたくてふーるーえる♪」
「・・・・」
母親の声がでかすぎて通話内容が部屋に響きわたっていたせいで、
なぜか妹にスイッチが入り
ニート君を抱いた妹による、西野カナリサイタルが開催されようとしていた。
耳が腐る。
「・・・・俺、走りにいってくるわ。ニート君返して。」
「んじゃ、あたしもいくわ。」
「いや、大丈夫!」
「いや、あたしニート君乗せてチャリ乗るから。ノリオは独りで走っとれや。」
俺のニート君が、
俺だけのニート君なのに。
・・・
俺は久しぶりに6キロほど走り、帰り道のコンビニでニート君にアイスを買ってあげた。
ニート君、初めてのアイス(ガリガリ君)に感動!!!
嬉しすぎてにゅんにゅん鳴きながらプルプル震えて喜びを表現。
心なしか、全身の体の色も青みがつよくなっているように見える。
相変わらずの、天才的な可愛さ。
「あっそうだ!今日、いろはす(みかん味)も超喜んでたよ♪」
「はぁっ!? なにお前俺が帰る前に勝手にあげてんだよ!」
「は?知らんし。ニート君が欲しがってたからあげただけだし。」
ふっ・・・ざけんな!!
俺はポカリといろはす(マンゴー味)を買って帰った。




