11.勝利
夕食の後、俺とニート君は連れ立って夜のサイクリングに出かけた。
夜だというのにだいぶ暑いが、それでもチャリをこげば風が気持ちいい。
『にーーーーーーーー♪』
ニート君も楽しそうだ。
前を向けば良いのに、俺の方に向いてにーにー鳴いている。
究極の癒し。
「やっぱり2人でいるのが最高だな」
^^^^^^^^^^
出かける前、妹も一緒に行くとかなんとか言っていたがな。ククっ。
昨夜と今朝の恨みを晴らすべく、俺は言ってやった。
やつの究極の弱みをつく言葉(呪い)を吐いた。
「お前さ、ジャニーズの何とかが好きとか言ってなかったっけ?
今日テレビでやるらしいじゃん」
驚愕の表情になる妹
そして慌ててテレビのスイッチを入れ、あたふたとリモコンを探して這いつくばっている。
見苦しい。
俺はニート君をくるむ用のフカフカのタオルを優雅に探す。
「は?っえっ!?もう始まってる???!」
ばかめ。
「じゃ、行ってくるわ。」
夕方、会社の女子が言ってたのを聞いてひらめいた作戦だったが、最大限の効果を発揮した。
「ジャニーズってすげぇな。。。」
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順調にチャリを進め公園に到着!
この公園はニート君に初めて出会った、いわば聖地である。
俺は背負っていたカバンから、水鉄砲を取り出した。
昨日、妹が持ってきたやつだ。
素知らぬふりしてパクってきてやったわ。
公園の広場にある水道のところで、ニート君に水鉄砲で水をかけてやる。
『にっ!!!!!!にーーーーーーーーーーーーーん!!!!』
案の定だ。
めちゃくちゃ喜んでる。
今度は水鉄砲に、先ほどコンビニで購入したアクエリアスレモンを装着!!!
ニート君のお顔めがけてかけてやる。
『!!!!!!!!!!にゃっ!!!!』
一瞬、「なにしやがんだてめぇっ!」とでもいうべき表情で驚いていたが、
『にゅーーーーーーーーーーーーん♪♪♪♪♪』
すぐに俺の意図を理解して、プルプルと飛び跳ねた。
本当に最高の相棒だぜ!
ニート君がはしゃぎ疲れて寝てしまうまで一緒に遊んだ。
帰りは公園の水道でニート君を軽くあらってやりタオルにくるんで家に帰った。
「幸せだな」
幸せだった。
帰宅後、我に返りふてくされて、だらしなく床に寝そべっている妹がいた。
「今日はありがとな。お前、もう帰っていいぞ。」
「死ね。」
妹のダークオーラが復活していた。
深夜、
安らかに眠るニート君争奪戦が、静かに、だが激しく行われた。
俺の勝利だった。
俺はニート君を抱きしめ深い眠りについた。




