幕間(フィーナ視点)
フィーナ・フォン・ヤンゼンと呼ばれる港湾施設に住む唯一の貴族は朝から困っていた。
あたしの事なのだけどね。
普段のあたしはドカチーニの斡旋屋の中で午後から診療所を開いているわ。
午前はドカチーニと河岸の市で買い出しをしながら出張診療所を開くのが日課。
子供の頃に偶然発動した回復魔法で色々あったけど、現在は幸せな日々を過ごしているの。
そんな幸せな日々が今朝、麗らかな朝日の光を浴びる前に、壊されたわ。
ドカチーニが突然「会合でユイの漁港へ出掛ける」なんて言ったのよ。
ユイの漁港へ出掛ける事に何の問題があるかと思うでしょう。
そんな疑問を持つあなたに一つの歌を聞かせてあげるわ。
『ユイの漁港はユメの町。今夜一夜の夢の町。夜通し遊び懐を。酔い覚め見れば青ざめる』
酷い歌でしょう?
簡単に言えば【ユイの漁港】は男の為の歓楽街よ。
あたしは、会合をする為に若い女の子が必要な理由なんて、分かりたくもないわ。
サクラエビやシラスはとても美味しいけど。
思い出すだけで腹が立つから今朝の事は思い出したくはないけど。
ドカチーニから頼まれた事は『自分でやりなさい』と言いたくなる依頼だったわ。
………………
まだ日が昇る前の朝早く、扉を軽く叩いて、あたしを呼ぶヒトが部屋へ来たわ。
あたしは、歩いてきた気配だけで、ドカチーニと分かったの。
扉の叩き方で確定よ。
たとえドカチーニでも朝の微睡みは邪魔をさせない。
マリーに任せましょう…………
…………マリーが対応しないわ。
彼女はもう仕事へ出ているわね。
再び扉を叩かれたわ。
せっかちな男は嫌われるわよ。
相手があたしだった事を感謝しなさいね。
仕方なく起き上がり、軽く身なりを整えてから、自分で返事を返したわ。
「どうぞ。お入りになって」
すぐに扉が開き、右手で頭をかきながら、ドカチーニが入ってくる。
月初めに彼は右目を失った。
今は眼帯で失った瞳を隠している。
彼の瞳はあたしが治す事を拒絶する。
彼の左腕もあたしが治す事を拒絶する。
彼の眼帯を見る度に悔しさが沸き上がる気持ちを隠し『気にしていないわ』と話を続ける。
「おはよう。フィーナ。お前に頼みたい事があるのだが」
「おはよう。ドカチーニ。今日は早いわね。まだ太陽が昇っていないわよ」
「確かに普段は俺もまだ寝ている時間だが。今日は遠くへ出掛ける予定があってな」
「あら珍しいわね。遠出のお誘い? 突然ね。今日はどちらまで行くのかしら」
「いや。おまえとではない。定例の斡旋屋の会合でな。ユイの漁港まで一泊二日の小旅行だ」
「…………」
「そこで悪いのだが斡旋屋の留守を任せたい」
「…………」
「フィーナ。どうした? 具合が悪いのか?」
「…………」
あたしが斡旋屋の留守を守るのはやぶさかではないわ。
午後からは診療所も開けたいし。
けどね。
許せない事が幾つかあるわ。
どうして出掛ける寸前まであたしへ黙っていたの?
どうしてドカチーニが他の女の所へ遊びに行く留守を守らないといけないの?
どうしてわざわざユイの漁港まで行くの!?
どうして泊まり掛けで会合をする必要があるのよ!!
全ての『どうして』を飲み込んで我慢強く会話を続けたわ。
額の血管が切れたらドカチーニのせいね!
「色々と言いたい事はあるけど。あたしが斡旋屋を営業すれば良いの? あたしよりもシーリンちゃんへ任せた方が良くないかしら」
「斡旋屋は港の連中を世話し終わったら休業してくれて良い。留守を守るついでにユークリットへ冒険者としての基礎教育を頼みたいのだ」
「あたしが? どうして?」
「先日ユークリットを弟子に取ったのだ」
「あなたが弟子ですって!? 今までに一人でもいたかしら」
「初だな。俺が帰ったら簡単な仕事からやらせようと思うが迷宮の事を教えてやって欲しい」
「初弟子ならば、それこそあなたが、自分でやった方が良いと思うわ」
「俺はおまえがユークリットへ迷宮の話をしている噂を聞いたのだが」
あたしがユークリットへドカチーニの愚痴をこぼしている秘密の食事会の事かしら?
愚痴がいつの間にかドカチーニと一緒に潜っていた迷宮の話になってしまうのよね。
話し終わるとすっきりした気分になっている事がユークリットの良い所かしら。
あの子は結構聞き上手よね。
思わず迷宮の秘密を暴露してしまったわ。
「あらそうなの? 興味深い話ね。誰から聞いたのかしら?」
「今のおまえの顔を見ていると情報の出所は教える訳にいかないな」
「あらあら。ではあなたが共に罪を被ると言うの?」
「当然だろう。俺も釘を刺しておいたから簡単に外部へ漏れる事はないはずだ」
「あらそう。ならば安心ね」
ドカチーニと「共に罪を被る」事は「当然だろう」へ少し顔が火照ってしまう。
次の言葉ですぐに醒めたけど。
「ユークリットは俺の弟子だが、おまえの弟子であっても良いだろう? 二人で育てよう」
「あらそう。そう言う事」
「それでどうだ? 俺が帰ってくるまでユークリットの教育はやってもらえるのか?」
「迷宮ね……あたしが教えるとしても……あなたの教育方針を聞いてからになるわね」
つまりあたしが迷宮担当って事かしら?
迷宮探索は【ソロ】か【ペア】かだけでもかなり教える事が変わるわ。
ドカチーニの事だから初めから【フルパーティー】は無いと思うけど。
彼が顎に手を当てて苦虫を噛み潰したような顔で答えたわ。
「俺も最初のうちは奴の自主性に任せようとしたのだ」
「そうだったのね。斡旋屋の掲示板へ珍しく冒険者の依頼が貼ってあった理由が分かったわ」
「だがな。奴は掲示板の依頼を全く見ようともしない。シーリンには奴が冒険者としての依頼を持ってきた時は『斡旋してやれ』と言ってあったのだがな」
「そう。自主性がないの……それであなたは次の手を打つわけね。どうする気なのかしら?」
「……シーリンと……シーリンと【ペア】で迷宮へと考えている……苦渋の決断だがな……」
「そうなの! その事はシーリンちゃんも同意しているのね!?」
俄然あたしのやる気が上がったわ。
あたしはユークリットの事を気に入っているわ。
シーリンちゃんの事は実の娘と思っているの。
マリーと同じように。
ユークリットがシーリンちゃんへ入婿してくれるのなら嬉しいわ。
ベスちゃんも彼を気に入っているようだけど【世間の壁】が高すぎるの。
悲しいけど間違いなく二人は引き離される。
一人くらい身内の理解があったとしてもね。
皆の幸せを考えたら彼はシーリンちゃんと一緒になる方が幸せよ。
けどね。
ドカチーニの口から出てきた言葉はあたしの期待を裏切るものだったわ。
「いや。シーリンは俺の考えを一切知らない」
「あらあら。一番大変で大切な事を後回しにして」
「そうだな。俺もシーリンを本格的な冒険者にする気はない。初心者相手なら大丈夫だろう」
「あたしが考えている大変で大切な事は冒険そのものではないのだけどね……」
迷宮で【ペア】を組んだ男女はそのまま恋人同士になる事が多いわ。
メイリンは相方と結婚してシーリンちゃんが産まれているし。
あたしとドカチーニだって恋人同士……そういえばはっきり告白された覚えがないわね。
「今朝は時間が無い。細かい所は全ておまえに任せる」
「あらそうなの。では好きにさせてもらうわ」
「よろしく頼む」
あたしへの告白の事は時間があるときにきっちりドカチーニへ問い質しましょう。
シーリンちゃんとユークリットも私生活でも【ペア】を組めるように動くわ。
確実に彼との別れが待っていると思うベスちゃん達の為にもね。
彼が出掛ける前に一刺ししておこうかしら。
「帰ったら旅行の話を詳しく話してね。お土産話を楽しみにしているわ」
「……あっ……あぁ……」
ドカチーニが苦い顔をして部屋を出て行ったわ。
この様子なら若い女の子へ悪さする事を抑止できそうね。
彼が自分から手を出すヒトでは無いと知っているけど。
ユークリットへ迷宮の事を最初に教えてしまったのはあたしだ。
まずは座学からね。
場所はドカチーニの執務室で良いわ。
あそこならば聞き耳を立てられる事もないでしょう。
迷宮探索の事を考えるとシーリンちゃんを巻き込む必要があるわね。
さて何と言って彼女を巻き込もうかしら。
いきなり「ユークリットと迷宮へ潜って」と言うだけでは話がまとまりそうにないわ。
とりあえず【あたしの護衛】の名目で執務室へ連れてきましょう。
あとは出たとこ勝負ね。
そうね。
マリーにクッキーと紅茶を用意させましょう。
座学と言っても半分はお茶会にしたいわ。
もやもやした気分を吹き飛ばす為にも美味しいお菓子をみんなで食べましょう。
最近のシーリンちゃんはユークリットに対して素っ気ないのよね。
お茶菓子があれば、意外と無口なシーリンちゃんだって、多少は口も軽くなるはずよ。
ユークリット婿入り計画の為にも二人には早く仲直りしてもらわないと。
今日はやる事が多いわ。
一度頭の中を整理しましょう。
仮称はユークリットの迷宮勉強会。
場所はドカチーニの執務室。
集めるヒトはユークリットとシーリンちゃん。
用意するのはクッキーと紅茶。
話の内容は出たとこ勝負。
こんなところかしら?
今朝は忙しくなるわね。
今から動かないとユークリットが仕事へ出掛けてしまうわ。
日の出前までに全てを片付けないと。
まずは依頼書を書きましょう。
依頼人は一目であたしと分からない方が良いわね。
時間が無いわ。
マリーに代筆させずに自分で書く方が早いわ。
ささっと書いてしまいましょう。
窓から外を見ればマリーが洗濯物を干しているわ。
一生懸命背伸びして干している姿が可愛くて和ませてくれる。
中庭にシーリンちゃんがいない。
彼女は洗濯を終えているわね。
今は受付にいるかしら?
まずは受付へ依頼書を出しましょうか。
「おはよう。シーリンちゃん。今良いかしら」
「おはようございます。何か御用ですか」
「ユークリットへ指名依頼をお願いしたいの。子細は書いておいたわ」
「失礼します。さっと目を通しましたが不備はありません。承りました」
「良かったわ。あと一つ。シーリンちゃん本人へ依頼があるのだけど」
「承りました」
間髪入れずにシーリンちゃんが承諾したわ。
「内容は聞かなくても良いの?」
「館長から『フィーナから依頼があったら請けてくれ』と頼まれております」
「斡旋屋は良いの?」
「斡旋業務が終わり次第【臨時休業】です。依頼が無い時は自由にして良いと」
「あらあら。手回しが良い事。それでドカチーニは?」
「お出掛けになられました。泊まり掛けの会合という事です」
「あらそう。あたしの依頼は【確実にユークリットを連れて執務室まで来て欲しい】よ」
「わたしもですか?」
「シーリンちゃんもよ。依頼書は必要かしら?」
「いえ。必要ありません」
「あらそう? 助かるわ。今朝は忙しいからこれで失礼するわね」
「はい。何かお手伝いする事はありますか?」
「この時間はシーリンちゃんも忙しいでしょう? 自分の仕事を優先してね」
「承りました」
話が短く済んで助かったわ。
あたしは、依頼料として二分をシーリンちゃんへ渡すと、受付を離れる。
後ろから「報酬が多すぎます」とか聞こえてくるけど無視ね。
依頼料の分は存分に役立ってもらうわよ。
さて次は厨房ね。
マリーとベルガーへ準備のお願いしないと。
あたしは厨房へ訪れた途端に思わず身を隠してしまったわ。
マリーがこちらをベルガーが反対側を向いて背中合わせで仲良く座っているの。
マリーへばれないようにそっと厨房を覗き込む。
ベルガーのふさふさの毛に抱かれてマリーの体が半分埋もれているわ。
とても気持ち良さそうね。
あたしも一度背中を預けてみたいわ。
あらあら。
ベルガーはあたしに気付いているようね。
耳がこちらの様子を警戒しているわ。
それよりもマリーよ。
マリーが色々と子供っぽいわ。
あたしといると常に背伸びして隙を見せないけど、実際の年齢的は、子供なのよね。
メイドとして働いてくれている事は助かるけど、もう少し子供らしさを見せて欲しいわ。
朝の洗濯干しが終わったのね。
ベルガーへ完全に体を預けて、野菜の皮をむきながら、話を続けているわ。
顔を少し赤らめて。
表情豊かに。
なんて可愛らしいの!
マリーが昨日の出来事を事細やかにベルガーへ話しているのよ。
青春ね。
ベルガーも「そうか」以外に何かしゃべりなさい!
男ってどうして女心が分からないのかしら。
あたしが子供の頃ドカチーニと木の上で生活した日々を思い出したわ。
あの頃のドカチーニもあたしの話は聞く振りをしていたわね。
またドカチーニへ腹が立ってきたわ。
気を静める為にも可愛いマリーを見続けていたいけど今朝は時間がないわ。
あたしは仕方なく厨房へ足を踏み入れたの。
あたしの姿を見た途端にマリーが【ばね仕掛けの人形】のように立ち上がるの。
マリーの顔が真っ赤ね。
これはこれで面白いものが見れたわ。
可愛らしいからそのままベルガーの背中に埋もれていても良かったけどね。
今朝はマリーの可愛らしい仕草を沢山見る事が出来て嬉しいわ。
「マリー。クッキーと紅茶を用意して欲しいのだけど」
「はい。フィーナさま。どれほど用意しましょうか」
「そうね……大皿にいっぱい並べて欲しいわ」
「大皿いっぱいですか……」
ベルガーへ背中を預けていた幸せそうな顔から一転して不幸をいっぱいに表しているわね。
真っ赤な顔が青白くなってしまったわ。
大皿いっぱいのクッキーなんて目を輝かせて喜ぶと思ったのだけど。
そうよね。
自分が食べられる訳ではないのだもの。
確かに【絶望】するわね。
「現在手持ちのクッキーは十枚しかありませんが買い足しに行きますか?」
「あら? 先日いただいたクッキーがいっぱいあるじゃないの」
「フィーナ様! まさかとは思いますが! 陛下から下賜されたクッキーの事ですか!?」
「そうよ」
「…………」
マリーが両目と口を開けたまま固まってしまったわ。
これが本当の『開いた口が塞がらない』ってやつね。
目の前で手を振っても反応がないし、顔色も悪いけど回復魔法は必要なさそうね。
放心状態なだけね。
先にベルガーと打ち合わせてしまいましょうか。
「ベルガー今日のお昼は臨時休業よ。ゆっくりしていてね」
「そうか」
「何をするの?」
「地下で作業」
「ごめんなさい。ベルガー。一日中執務室を使う予定なの。地下は遠慮してもらえるかしら」
「わかった」
あたしがベルガーと話をしている間にマリーが復活したようね。
ほほをひくひくと痙攣させながら答えたわ。
「すぐに準備します。紅茶も最高のものを用意します」
「お願いね」
マリーがお酒も飲んでいないのに千鳥足で厨房を出て行ったわ。
日の出まであと少し。
シーリンちゃん、マリー、ベルガーと連絡事項に忘れ物はないわよね。
何とか日の出前に準備が整ったわ。
後は若い者に任せてあたしは執務室で待たせてもらいましょう。
最近朝食はここで食べているし問題ないわね。
………………
改めて思い出すと再び腹が立つわね。
全く!
今朝はドカチーニのせいで早くから仕事をしてしまったわ。
いつも通りならあたしは日が昇りゆっくり朝食をいただいてから動き出すというのに。
だけど大切な仕事を思い出せたから良しとしてあげましょう。
シーリンちゃんがお湯を沸かして厨房から帰って来たわね。
これから午前の休憩を取らせましょう。
美味しい物を共に食べれば、気持ちも上向くし、きっと仲良くなれるわ。
「お茶の用意も出来たし、まずはクッキーを楽しみながら、話を続けましょう」
「分かりました。次は三番の護符ですね。三番の護符は……」
「待って。シーリンちゃん。せっかくクッキーを用意したの。まずは食べて欲しいわ」
「そうですか。では空になったカップへ紅茶を淹れますね」
「ええ。お願い。少しの間、危険な冒険から離れて、みんなで平和に雑談をしていてね」
「どこかへ出掛けられるのでしょうか?」
「アルフィアちゃんとベスちゃんの往診よ」
「私も……」
「マリーはここにいて。三人でお話をしていなさい。あたしも紅茶を一口いただいていくわ」
あたしは少し場の雰囲気が悪くなったと思ったの。
雰囲気を変える為に、あたしは三人へ会話をするよう促したのよ。
あとは若いヒト達で。
なんて事も考えたけど、往診へ行きたい事も本当の事。
だけど三人まとまりがないのよね。
シーリンちゃんは粛々(しゅくしゅく)とカップへ紅茶を注いでいるの。
彼女はマリーに負けず劣らず働き者よ。
ドカチーニが言うには毎日冒険者としての修行も続けているそうよ。
ヒト前ではしないという話だけどね。
マリーは凄い目付きでユークリットを睨みつけているわ。
せっかくの可愛い顔が台無しよ。
ベルガーと話をしている時の顔で笑いかければ男性が行列を作って求婚にくると思うのに。
先程クッキーを隠れてつまみ食いした時の目の輝きもどこへ消えたのかしら?
ユークリットも最初はクッキーを見て目が輝かいていたのに。
マリーとシーリンちゃんから睨まれた後は完全に萎縮しちゃったわ。
今はひたすら沈黙して、二人と視線を合わせないように、あたしの顔をじっと見るだけ。
ふぅぅぅぅぅ。
長いため息がこぼれるわ。
一言で言えば彼は「腑抜け」ね。
女性の視線一つでこれだもの。
二人からだから二つかしら?
どちらにしても、怖がりで慎重な事は冒険では大切だけど、彼は腰抜けすぎだわ。
「「「…………」」」
いつまでも三人の間に会話が生まれないわね。
無言で睨むマリーと標的の動けないユークリット達二人は諦めたわ。
だけどシーリンちゃん。
二番の護符の説明をした後は、なんとなくだけど、とても機嫌が悪そうなのよね。
どうしたものかしら?
あたしは思案を巡らせながら紅茶を口に含んだの。
本当にこの紅茶は美味しいわ。
原因を考えたのだけど。
一番の護符と二番の護符とで話の長さが全然違ったわよ。
二番の護符は【ペア】でないと意味が無い護符なのよね。
きっと【ペア】を組んだ相手がいたと思うのだけど。
シーリンちゃんが何も言わないのだもの。
流石にこれ以上は聞きづらいわ。
最低限だけど二番の護符を説明しているし、これ以上突っ込んだ話はやめておこうかしら。
ヒトには話したくない過去の一つや二つはあるものね。
女には秘密がある方が良いわ。
ドカチーニに言わせれば、ヒトの秘密を暴く事は、【野暮】ってやつね。
それにしても休憩が休憩にならないわね。
シーリンちゃんから三番の護符を説明してもらった方が良かったかも。
楽しいお茶会の雰囲気には程遠いわね。
引き受けたのは良いけど長い一日になりそうだわ。
ドカチーニが帰ってきたらお礼に何をしてもらおうかしら。
ぎりぎり達成できる無理難題を要求しましょう。
そんな事を考えて、沈黙を保つ三人を執務室に残し、あたしは往診へと出掛けた。
いつも私の妄想をお読み下さりありがとうございます。
次の更新は最悪でも翌年2月の第1金曜日を予定しております。
過去迷宮物語編は当初予定より大幅に伸びてしまい分割となりました。
出来れば年末年始で【本編】を完成させて出来上がり次第突然再開する予定です。
本編は毎日19:00更新する予定です。
過去迷宮物語編を楽しみにしていただけている読者様にはご迷惑をお掛けします。
ですが本編は毎日更新。
すぐに枯渇して過去迷宮物語編へと戻ります。
少し早いですが良いお年を。
万年




