表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済】悪女にされた公爵令嬢、二度目の人生は“彼”が離してくれない  作者: ゆにみ
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/109

幕間「守らねば、我が婚約者殿を」

 ヴァルディア王国の一室。

 漆黒の髪に金の双眸を宿す青年──第一王子ノクス・ヴァルディアは、差し出された報告書に目を通していた。



 「......ふむ」



 視線を走らせると、そこには異変としか言いようのない吉報が並んでいる。



 ――実りの雨により穀物の収穫量は例年を大きく上回り、村々を潤す水は澄み渡って流行り病は減少。


 ――川では魚が豊漁となり、野に咲く花々は一斉に開き、蜂や鳥たちが賑やかに飛び交っている。


 人々は口々に「精霊使いが現れた」と噂し、その加護を喜んでいる――と。




 それは、幸福を告げる報告に他ならなかった。



 「……やはり、精霊使いが誕生したのだな」




 ノクスは確信する。

 そしてそれは婚約者、コゼット・グランディール公爵令嬢に他ならない、と。



 儚く優しい心を持つ彼女。

 先日の夜会で倒れたにもかかわらず、気丈に振る舞い、場の混乱を鎮めようとしていた。

 その姿は脆さと強さを併せ持ち、見る者の心を強く揺さぶった。




 そして、俺自身も――倒れた彼女を見て、思わず身体を抱えていた。



 (あの時の気持ちは――)


 

 なんだかむず痒い。でも嫌な気はしない。




 それに、伝承に曰く――精霊使いに危機が及べば、精霊たちは激昂し、()()()()()()()ことがある。

 だからこそ、守らねばならない。




 ノクスの脳裏をよぎるのは、もうひとりの令嬢の姿。

 セレナ・グランディール。コゼットの義姉。



 かつてコゼット自身が「義姉から不穏な気配を感じた」と打ち明けていた。

 あの夜会のことも、忘れられない。涙を浮かべ倒れたコゼット。周囲は気が付いていないようであったが、確かに、説明できない不安を誘う気配があの場に漂っていた。



 ──偶然だろうか?



 否。違う。

 あの女には、何かある。

 だからこそ、当時は証拠もなく、責め立ててしまったのだ。だが必ず、真実を突き止めてみせる。



 「ともかく……」



 ノクスは書類を閉じ、静かに息を吐いた。



 ――守らねば。

 我が婚約者殿を。


堅物王子が拗れてきたぞ!真面目さゆえに変な方向に行かないでね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ