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【完結済】悪女にされた公爵令嬢、二度目の人生は“彼”が離してくれない  作者: ゆにみ
第一部

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幕間「疑念と黒魔法」

 コゼットが目覚めてから数日。

 彼女は王宮で療養を続けており、この日は気分転換を兼ねて、庭園での茶会に招いた。


 広い庭園の片隅、白い丸テーブルを挟んで向かい合うのは、俺と彼女だけ。

 涼やかな風が、紅茶の香りをふわりと運んでいく。

 衛兵も給仕も、視界の外に下がらせた。



 「体調は大丈夫か」

 「はい、もうすっかり……。ありがとうございます、ノクス様」



 控えめな口調と、怯えを隠すような笑み。

 まだ関わって日は浅いが、悪い印象はない。



 ──その静けさを破るように。




 「殿下! ご報告が!」



 砂利を蹴る音と共に、側近が駆け寄ってきた。

 足音の響きが、庭園の静寂を切り裂く。



 「……何事だ」


 耳元に身を寄せた側近が、低い声で告げる。


 「セレナ様がアストリッド公爵家で光を放ち……ドアを破壊したとのことです」


 「……何?」


 

 思わず眉間に皺が寄る。

 光を放つ──そんな能力、少なくとも王都の記録では類例が少ない。

 しかも破壊と伴うとなれば……。


 

 (まさか……黒魔法か?)




 思考の奥で、数日前のコゼットの言葉がよみがえる。

 

 「――挨拶のとき、お姉様と肩が触れたんです。その瞬間、なんとも言えない嫌な感覚があって……」


 ……偶然だろうか。




 視線を戻すと、コゼットが不安げにこちらを見つめていた。

 俺はテーブルに肘をつき、低く告げる。



 「君の義姉が、アストリッド公爵家で光を放ち、ドアを破壊したそうだ」


 「……え!?」


 「今まで義姉に、そのようなことは?」


 「はい……全く。でも……なんだか怖い、ですね......」


 「……俺は黒魔法ではないかと疑っている」




 コゼットの瞳が大きく見開かれた。

 その反応は、驚きか──あるいは別の感情か。




 「黒魔法は、この国では禁忌だ。……詳しく調べる必要がある」



 そう告げながらも、胸の奥に残る違和感は消えなかった。

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