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【完結済】悪女にされた公爵令嬢、二度目の人生は“彼”が離してくれない  作者: ゆにみ
第一部

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22/109

19、なんだか丸め込まれた気がする

 「だから……今日から、一緒に寝てくれない?」


 ノエルの言葉が頭の中をぐるぐる回る。

 私、絶対に今、顔が真っ赤だわ。



 ノエルは子犬のような瞳で、あざとくこちらを見つめる。

 ……ずるい、本当に。



 「で、でも私たち婚姻前でしょう?ふ、不純じゃないかしら……!」




 (ああ、もう……自分で何を言ってるのかしら、恥ずかしい……!)




 ノエルはにっこり笑って、表情ひとつ崩さない。

 その笑顔の奥に、わざと仕掛けてきているような光が見える。




 「ふふ、そうかもね」


 

 ノエルは、さらに顔を近づけてくる。



 「でも、しばらく眠れなかったから……」

 「でも......セレナがいうなら仕方ないね。我慢するよ」



 眉を下げ、わざとらしく肩を落とすノエル。



 (ああ、もう……本当にずるい)



 「......わかったわ」



 私は、降参したように返事を返す。



 その瞬間。


 「え!?本当に?ありがとう、セレナ!」


 


 ノエルの腕が私を強く抱きしめた。

 その勢いに、胸に顔が埋まってしまう。



 「……っ!」



 声が出ない。

 耳元でノエルの鼓動が響く。

 同時に、自分の心臓も早鐘のように暴れだして、全身が熱に包まれていく。



 (ど、どうしよう……離れられない……!)



 震える指先。力が抜けた足。

 逃げ出したいのに、体は硬直して動かない。

 でも――。



 (……嫌じゃない。むしろ……安心する……?)



 自分の心の奥から浮かび上がる思いに、さらに混乱してしまう。



 ノエルの温もりを感じながら、必死に心臓を落ち着かせようとするけれど、

 むしろ早鐘はますます加速していくばかりだった。



 ……でも、これでいいのよね?

 ノエルが眠れなくて苦しむのも嫌だったし。



 何より、ノエルが安心しているなら――

 これでいいのよね……!



 そう、言い聞かせている自分がいた。


 ちらりと、目線を上げる。


 

 (……嬉しそう)



 その表情を見た瞬間、胸の奥がまた熱くなる。

 そして、微笑む彼の横顔に、思わず私も笑みがこぼれそうになる。



 (なんだか……絆されてる感じ、だわ)



 胸の高鳴りはなかなか収まらない。



 今はただ、自分の心臓の音を必死に隠すので精一杯だった。

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