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問題児達の稀少魔術《プレミアム・レア》  作者: いけがみいるか
五章 ティターニア・ファミリア
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後期始業式 4

 キャサリンの意外な過去に驚きの声が上がったが、それもようやく収まり男子の一人が手を上げる。


「あの~。その、ランキング戦の他にも何かあるんですか?」

「はい、ありますよ。A競技はランキング方式と試合方式の二つがあり、ランキング方式では一位から十位まで得点が付くことになります。試合方式では代表者三名を選出し、相手と一対一で対決して先に二勝した方が勝ちとなります。あと気を付けてほしいのですが、代表選手に選ばれた人はランキング戦には出られなくなってしまうので注意してください」


 と言うことは、仮に《イフリート》上位三名を代表選手に選出すれば、ランキング戦の方で遅れを取る可能性があるということだ。代表選びは慎重に考えなければならないだろう。


「各競技の詳しい内容やルールはまた後日、実際にやってもらうことになるので今日は省きます。では次はB競技です。こちらは属性の有利、不利はなく、多種多様の能力を競う競技が中心となっています」


 資料に書かれているB競技の箇所を見ると、上から『ディメンション・シューター』、『フォーチュン・レース』、『プライム・ファイト』という三つの競技の名前があった。


「簡単に説明しますと、『ディメンション・シューター』はチーム戦限定の球技です。魔法を使い、相手チームのゴールにボールを入れるゲームです。『フォーチュン・レース』は三人組でバトンを回しながら、専用フィールドを一周する速さを競うゲームです。『プライム・ファイト』は他との競技とは少し変わっていて、魔法を一切使わない決闘と考えてもらえれば大丈夫です」


 B競技の簡単な説明を終え、更にページをめくると、最後のC競技の項目が見開きで大きく書かれていた。


「そして最後のC競技、『シチュエーション・ストラテジー』は全学年全クラス参加の模擬戦争です。この競技が最終種目で、事実上の決勝戦みたいな感じの競技です」


 『シチュエーション・ストラテジー』。この大会の最大の目玉競技だ。学生だけで行われるとはいえ、二校合わせて千人近い人数での大規模な戦闘は見応えがあり、より実戦に近い状況での戦闘は生徒らにとって良い経験となり、観客や各組織からすれば、めぼしい人材を発掘するのに絶好の機会でもある。

 これで合計八競技。これらが合わさったものが今回の月別大会、総合魔術競技祭である。


「以上で八競技の説明を終えます。質問のある方はいますか?」

「すみません。あの、ちょっと質問なんですけど、この大会って私達全員参加出来るんですか?」

「はい。A競技のランキング戦には全員出られますよ。皆さんの成績を記録する必要もありますから。勿論、あまりに大人数過ぎると制限がかかりますが、恐らくそんなことにはならないはずです。ですがB競技の『ディメンション・シューター』は十人。『フォーチュン・レース』は四チーム十二人。『プライム・ファイト』は個人戦のみで八人まで。希望人数が多ければ代表選手を選ぶための試験がありますので頑張ってください。それと一人二競技まで参加することは出来ますが、A競技の『パワー・ブレイク』と『グラスパー・ヒール』、『クイック・ヒッター』と『プロテクト・ディフェンス』、B競技の『プライム・ファイト』と『ディメンション・シューター』は同時刻に行われるので注意してください。では他に質問のある人はいますか?」


 キャサリンは再度生徒達に問い掛けたが、今度は手を上げる者はいなかった。


「もう質問のある人はいないようですね。では、明日から三日間それぞれの競技の説明会や練習を各会場で行います。各会場は配った資料に記載してあるのでしっかり読んでおいてください。そして三日後、資料に付いてある用紙に出場したい競技を一つ、または二つまで記入して提出してください。これで連絡事項は以上です。それじゃこのまま授業に移りますので皆さん教科書を出してくださ~い」


 一通りの連絡を終え、生徒達は授業の準備に取りかかる。そんな教室の中で一人、アシュラだけがとてつもなく嫌そうな顔をしていたが、キャサリンは構うことなく教科書を開いた。


~~~


 昼休み。グレイ達三人は中央塔にある大食堂の片隅にある四人席に座り、昼食をとっていた。

 この席はいつの間にか彼ら《プレミアム》専用となっており、周辺にはほとんど誰も近寄ろうともしない。しかし、そのことにはとうの昔に慣れきってしまった三人はまるで気にすることはなくなっていた。


「魔競祭、ねぇ……。お前らは何の競技に出るか決めたか?」


 グレイは今朝もらった資料を流し読みしながら他の二人に問う。その問いにアシュラは無駄に偉そうに胸を張りながら答えた。


「俺は当然『パワー・ブレイク』だな。用は攻撃力が高ければ高いほどいいんだからな。キャシーちゃんの記録を抜いてやるぜ」


 アシュラの持つ闇属性は攻撃力が非常に高く、火属性のそれと引けを取らない。恐らくいい勝負になるだろう。

 一方エルシアは少し悩みながら答える。


「ん~。私の特性を考慮すれば『クイック・ヒッター』が一番の候補かしら」


 アシュラと対を為すエルシアの属性は光。速さは言わずもがな、エルシアの類い稀なる魔法操作技術を持ってすれば『クイック・ヒッター』が一番妥当なのは納得のいく話だった。


「つか、そういうてめえは何に出んだよ?」

「ん? そうだな……」


 アシュラに問い返され、グレイは持ってきていた資料に視線を落とす。だが、彼はA競技には目もくれず、B競技のページを見ていた。


「……これだな」


 そしてグレイが指差した競技の名は『プライム・ファイト』。魔術師が行う競技の中で唯一、魔法を使わない競技。


「…………うん。そうね。あんたはそれくらいしか無理そうよね」

「何せてめえの魔法にゃ攻撃力も防御力もなく、遠距離魔法も回復魔法もねえもんな。A競技に出れば笑い者間違いなしだろうぜ。おぉ~哀れ哀れ」

「うるっせえ!」


 煽るアシュラに声を荒げるグレイ。しかし、アシュラの言う通り、グレイの無属性には四大属性の特性の全てが備わっていない。

 そのせいで前期最後に行われた魔法実技テストで惨憺たる成績に終わり、《プレミアム》三人の中で一人だけ月別大会に出場出来なかったという苦い思い出がある。


「まあ、グレイが無能だってことは置いといて。一応全員何に出るくらいは決めてるのね」

「待て。誰が無能だ、誰が!?」


 さらっと毒を吐いたエルシアに噛みつくグレイだったが、エルシアはそれすらも華麗にスルーする。


「ったく。で、二競技目はどうする?」

「どうせグレイにゃ選択肢は残り一つだけだろ」

「A競技は論外として。『プライム・ファイト』に出るなら、あとは『フォーチュン・レース』にしか出られないものね。えっ、なに? もしかしてこの三人で出るの? 嫌な予感しかしないんだけど。足手まといにしかならなさそうなんだけど?」

「おいおい。あんま役立たず(グレイ)をいじめてやんなよ。いい加減泣くぞこいつ」

「泣くかボケ!」


 足手まとい、役立たずの烙印を押されたグレイは悪友二人の冷たい視線を浴びながら自棄食いを始めるのだった。

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