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一年生の部 2

サイドストーリー 《ミスリル・オムニバス》


一年生の部 二回戦 第二試合

シャルルvsウォーロック

 試合開始のゴングが鳴るも、両者は一向に動こうとはしなかった。

 シャルルは警戒しながら相手の出方を伺うも、ウォーロックは鎧を纏って腕を組み、仁王立ちしているだけ。


 鎧のせいでウォーロックの表情が読み取れず、シャルルはわずかに汗をかく。属性的に見れば、この試合はシャルルに有利ではあるが、相手が相手だ。何せウォーロックは学年一位で、自分より遥かに格上だ。本来ならこうやって相対することすらなかったはずだ。

 今ここに立っているのも、仲間のおかげであって自分の実力というわけでもない。だがシャルルは、その仲間達のためにも、せめて一矢報いようと先に仕掛けた。


「行くでござる! 《嵐気流》の術!」


 シャルルは扇を振りかざし、竜巻を発生させる。結界ぎりぎりの大きさの竜巻はウォーロックへと迫る。そのウォーロックは組んでいた腕を顔の前で交差に構え直し、シャルルの攻撃を受け止める。

 わずかに押されるウォーロックだが、強くリングを踏み砕き、その勢いのまま竜巻を弾き返した。


「まだでござるよ! 《風分身》から《風手裏剣》の術!」


 シャルルは自分のもっとも得意とする戦法でウォーロックに攻撃を仕掛ける。だがウォーロックの鎧は硬く、風手裏剣では傷一つ付けることは出来なかった。


 風属性の弱点はその攻撃力の低さだ。加えてウォーロックの防御力は桁違いに高い。


「ならば。《風分身・烈破》の術!」


 鎧を貫いて攻撃することは現時点では不可能と判断し、シャルルは戦法を切り替える。三体の分身体をウォーロックに差し向けて、本体は距離を取る。


 三体の分身はウォーロックにしがみつき、自爆する。熱は無いが激しい突風がウォーロックを襲う。倒すことが出来ないまでも、リングの外に押し出す。それがシャルルの出した一番勝率のある戦法だった。


「《エアロ・ブラスト》!!」


 シャルルは扇を目一杯扇ぎ、風の砲弾を飛ばす。速度は強さ。風の砲弾はすさまじい勢いでウォーロックに激突する。


「くっ!!」


 流石のウォーロックも弱点である風の攻撃を連続で受け、勢いに押されてジリジリとリングの端へと追いやられる。


「《ロック・ウォール》!」


 しかしウォーロックは自分の背後に岩壁を作り出し、何とかリングの外に押し出されるのだけは回避した。


「ぐぬぬ……。これも駄目でござるか……」


 だが、今までで一番効果的な攻撃だったのは確かだ。残る問題は仕掛けるタイミングだ。どうにかしてウォーロックを宙に浮かすことが出来れば、まだ勝機はある。


「ならば!」


 シャルルは空高く飛び上がり、無数の風の刃をウォーロックの足元目掛けて降り注ぐ。

 ウォーロックのバランスを崩すこと。それだけに集中しての連続攻撃。

 片足でも上げさせることが出来ればその瞬間に全力で突風を発生させる。そうすれば今度こそウォーロックをリングの外へと吹き飛ばせるはず。


「《アース・タワー》!」


 するとウォーロックは自分の足元から土の柱を出現させ、それに突き上げられてシャルルの上を取る。


「なっ!?」

「これで終わりだ。《ロック・ナックル》!!」


 シャルルの虚を突き、ウォーロックは岩のように頑強な拳を打ち込み、シャルルは勢い良くリングに叩き付けられた。


 勝負あり、と誰もが思った。だが、シャルルは諦めていなかった。リングに叩き付けられた時に負傷したのか頭から血を流していたが、寝転がった状態のまま、最後の力を振り絞る。


「はっあああああ! 《烈風扇》!!」


 上空にいるウォーロックに向かって強烈な突風を放つ。空中で身動きの取れない状態でそれを受ければ、ウォーロックに為す術はない。


「《メタル・ウェイト》!」


 だがウォーロックは魔法により自身の重量を上げ、シャルルの放った突風に吹き飛ばされることなくリングに着地した。


「そん、な……」

「中々悪くない作戦だった。だが、我の方が一枚上手であったな」


 まるで焦った様子もない口調で話すウォーロックを睨みながら、シャルルは何とか立ち上がる。

 しかし足はガクガクと震え、視界も霞む。魔力もほとんど残っていない。


 今度こそ完全に、打つ手が無くなった。だが、降参だけはしたくなかった。それは、ここまで繋いでくれた仲間に対して申し訳ない感じがしたからだ。


「はぁ……はぁ……。いざっ! 《断ち風》!」


 シャルルは扇を閉じ、クナイを構えるように持ち、ウォーロックへと最後の力を振り絞り特攻を仕掛けた。


「見事だ。なら、こちらもその覚悟に答えよう。《メタル・フィスト》!」


 そう言ってウォーロックは土属性の派生型、鉄属性を付加させた拳を放つ。


 ──刹那。両者の影が交差し、激しい金属音が会場に響く。


 そして、次の瞬間。シャルルの扇が砕け散った。

 アークが破壊されれば、所有者の魔力は激減し、消耗する。それは実質上の戦闘不能を意味していた。すなわち──


「……すまんで、ござ……る……」


 シャルルは最後に謝罪の言葉を呟き、静かにリングへと沈んだ。


 ──一年生の部 二回戦 第二試合勝者

 《ドワーフ》ウォーロック=レグホーン

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