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ミスリル・オムニバス 5

『き、き、決まったぁぁあ!! なんとなんとなんとォォォ!? まさかまさかの展開を見事制したのは、レオン選手とシャルル選手だぁぁあ!!』


 エミーシャがまたもや興奮したように叫び散らし、ついでに椅子からも立ち上がる。


『気持ちはわかるが、少し落ち着きたまえ。あまり大きい声だと苦情が来てしまうぞ?』

『おっと申し訳ありません。ですが、BブロックもまたAブロックに負けず劣らずの名勝負でしたね!』

『ふむ。確かにな。中でも《ハーピィ》のソーマくんはいい動きだった。あの乱戦の中、最後まで仲間を守り、救ったのは評価出来る。しかし、これはポルネオくんにも当てはまることだが、自分の身を守り、仲間も守れてこそ本物の魔術師だ。だからあまり手放しで褒めることも出来ないが、総じて悪くない試合だったよ』


 リールリッドはソーマの自己犠牲な戦法を良しとはしなかったが、今の雰囲気と、リールリッドが散々言っている実戦・ ・のことを思うとあまり強く叱ることも出来ないので適当に釘を刺しつつ折り合いをつけた。


~~~


 試合終了後、シャルルは急いで結界の外で倒れているソーマとポルネオの元へと駆け寄った。二人とも意識はあったが、どちらもボロボロだ。特にソーマは最後、レオンの本気の一撃を受けたのだ。意識を保っているだけで精一杯だろう。


「ソーマ殿。ポルネオ殿。すまぬ。拙者……」

「何辛気くせえ顔して謝ってんだっつの……」

「そうだぜ、シャルル。俺らの分まで頑張ってもらわにゃなんねえんだからよ」

「し、しかし! 拙者は二人に助けられて──」

「運も実力のうち、勝負は常に非情。だろ?」


 それは大会前に彼らで話していたことだった。そして確かにシャルルは運が良かった。


「……わかったでござる。不肖このシャルル。神聖なる魔術師の全霊を持って、二人の、いや。《ハーピィ》全員の期待に応えてみせるでござる!」


 何せ、これ程までに頼もしい仲間に恵まれたのだから。


~~~


「はぁ……。負けてしまったんですね、アル」

「アスカも。結局先月の約束、果たせずに終わっちゃったわ。私もBブロックが良かったわ」

「……そうですね。貴女がいなければAブロックはもう少し戦いやすかったかもしれません」

「本人を前にしてあんまりそういうこと言わないでよ」


 Aブロックを勝ち残ったエルシアとラピスは勝者のみが座れる特設の席に並んで座りながら試合を観ていた。

 その特設の席から少し離れたところに選手用の客席があり、そこにはCブロックに出場する選手が控えている。

 その席から嫌に大きな叫び声が上がる。


「いよっしゃああああ!! とうとう俺のターンだ! 待ちくたびれて死んじまうかと思ったぞこんちくしょおお!」

「…………《プレミアム(うち)》の馬鹿が本当ごめん」

「いえ。Cブロックには《セイレーン(こちら)》の馬鹿もいますので」


 大声で叫ぶアシュラの声が響き、エルシアは何故か無性に申し訳なくなってきて、思わずラピスに謝罪する。一方ラピスも何か不安なことがあるのか、暗い表情でどこか遠くを見るような目をしていた。


「やっほぉぉおおおお!! みんなのアイドル、エコーちゃんの初ライブだよ~! みんな盛り上がっていこ~!」


 そんなアシュラにも負けないくらいの大きな声がエルシアとラピスの耳に届き、ラピスは一層表情を暗くした。


「…………ここから、あの馬鹿を狙撃したい……!」

「……えっと。うん。落ち着いて、ね?」


 今にも人を殺しそうな顔をするラピスに、エルシアはやや恐怖を覚えつつ、持てる力の全てを尽くしてラピスをなだめた。


 エルシアがラピスをなだめるのに必死な頃、ウォーロックはずっと閉じていた目を開く。


「時間か」


 言葉少なく立ち上がると、ゆっくりとリングへと向かっていく。現在、《ドワーフ》で二回戦に勝ち上がった者はいない。しかしウォーロックには皆の敵を討つ、という感情はなく、ただ己のためにのみ戦うという強い意志をその瞳に宿らせていた。


 Cブロック出場者がリングに揃ったのを確認してエミーシャがマイクを持つ。


『これで一年生?! と思わせる激戦が続き、とうとう一年生最後のCブロックです! 今度はどんな試合が見られるのか!? わたしとても楽しみです。では皆さん準備はよろしいですね? ではカウント! 5、4、3、2、1──試合開始!』


~~~


「《上弦の(つるぎ)》!!」


 試合開始直後、アシュラはリング中央へとの躍り出て自身のアーク、《月影》の形状を大剣から巨大剣へと変化させる。漆黒の巨大剣の大きさはおよそ五メートル。それを両手で握り締めて縦横無尽に振り回す。


「喰いちぎれ! 《月禍狂刃(げっかきょうじん)》!!」


 荒れ狂うように飛ぶ影の斬撃は全方位一斉に襲い掛かる。

 その斬撃は想像を逸した攻撃力を持っており、直撃した者は一発で戦闘不能に陥り、結界の外へと弾き出される。

 唯一、アシュラの攻撃を受け止めることが出来たのは鎧のアークを纏ったウォーロックだ。それ以外の者は回避に全力を注がなければならなかった。


 ようやくアシュラの攻撃が止まった頃には、《ハーピィ》のギィリ、《セイレーン》のトリトン、《イフリート》のサーリが戦闘不能となっていた。


「ふぅ。挨拶はこれくらいでいいか」


 巨大剣を通常のサイズへと戻し、肩に担ぐアシュラ。今の攻撃で相当の魔力を消費したはずにも関わらず、平然とした様子だった。その秘密は彼の腕に填めたバングルにあった。

 アシュラのバングルの名はパワード・バングル。魔力増強と魔力の精密操作補助というアシュラにピッタリな機能が備わった魔道具だ。


「おっ? 結構な人数が残ってんな。今ので半分は倒しておきたかったんだが。まあ別にいいか」


 そしてアシュラは誰も予想だにしてなかった言葉を口にする。


「確かエリーは一人で七人倒したんだったよな。だから俺は九人全員倒して一人勝ちしてやる。っつーわけだから、テメエらまとめて掛かってきな」


~~~


 つい先程見た白く輝く光魔法とは正反対の、黒く蠢く闇魔法を見たエミーシャや観客達は、先程と違い皆言葉を失っていた。

 その主な理由として挙げられるのが、“恐怖”という感情からだった。


 結界が張られているにも関わらず、その結界を破ってこちらに飛んでくるのではないか、と錯覚させるほど、恐ろしい攻撃力を持ち、その攻撃に当たった何人かの生徒達はたった一撃、たった一瞬の間にノックアウトさせられた。

 試合開始の合図が鳴ったあとすぐにこんな圧倒的な光景を見れば恐怖を感じるのも無理はない。


 実際のところ、アシュラとその倒された生徒達の間には大きな実力差があったため、一撃で倒すことが出来ただけなのだが、見る者からすればそんなことは関係なく、アシュラという人物を改めて見て、多くの者達の脳裏に浮かんできたのは、数年前に起きた“最悪の紛争”のことだった──。


 その頃、リング上ではアシュラのふざけた宣言に腹を立てた者達が、アシュラへと強い眼光を向けていた。


「我ら全員を一人で倒す、だと……?」

「なめるのもいい加減にしろよ。出来るわけねえだろうが!」

「んあ? そりゃお前らにゃ無理だろうよ。でも俺には出来る。それだけだ。実際、エリーは七人倒してたろ?」


 アシュラは相手の怒りを煽るように挑発する。

 その余裕の笑みを浮かべるアシュラに、最初に踏み込んだのはギャバルだった。

 火炎を纏ったエストックを構えながらアシュラに突進する。


「ちょっ!? ギャバルくん! 一人で突っ走ると危険──」

「うるさい! 誰も邪魔するなよ。こいつは俺が倒す!」


 メイランがギャバルを呼び止めるも、ギャバルはすごい迫力で叫び、メイランを押し黙らせる。


「ギャバル……? あぁ、あの時の。グレイにデコピンでやられた奴か。どっかで見た顔だと思ってたが、ようやく思い出したぜ」

「貴様ッ……!」


 ギャバルは自分のことを忘れられていたことに腹を立てるも、怒りで我を忘れることはなかった。


「なら貴様に敗北と共に俺のことを刻み込ませてやる!」

「グレイがいねえからって俺に八つ当たりかよ。まあ、いいぜ。来いよ!」


 アシュラは大剣を振り回し、ギャバルの連続突きをことごとく受け流す。

 このままでは埒が明かないと、ギャバルはアシュラの足元へと攻撃を仕掛ける。アシュラは攻撃を避けるために軽く飛び上がる。ギャバルは間髪入れずに火炎球を飛ばす。


「しゃらくせぇ!!」


 だがアシュラはその攻撃を大剣を一薙ぎするだけで全て撃ち落とす。その一幕を見ただけでも彼らの実力差は明白だった。

 されどギャバルは持てる力を全て注ぎ込んでアシュラへと追撃する。その勢いには鬼気迫るものがあり、アシュラは口角を釣り上げる。


「はっ! いい度胸してんじゃねえか! この前とは別人みてえだな!」

「俺は《プレミアム(おまえたち)》を倒してジェンダー家の誇りを取り戻す!」


 それは彼にとって、この大会に勝利する以上に重要なことだった。かつての彼ならそんなことを考えもしなかっただろう。それどころか、大会出場選手に選ばれることすらなかったはずだ。

 彼を変えたのは、グレイであり、《プレミアム》だ。敵わないまでも一矢報いる。その覚悟でギャバルは全霊の一撃を放つために魔力を限界まで練り上げる。


 しかし、皮肉にもそれが彼に致命的な隙を与えることになった。


「《水砲》」


 アシュラとギャバル、二人に対して同時に放たれた水の砲弾。それをアシュラは大剣で受け止めるも、ギャバルは反応に遅れ、横腹に食い込むように撃ちつけられ、肺の中にあった空気を全て吐き出した。


「あちゃ~。アシュラくんには防がれちったかぁ~。もうちょいタイミングずらせば良かったなぁ~」


 間延びした、如何にも作ったような声音で話すのは、杖のアークを構えたエコーだった。


「て、めぇ……。邪魔、すんなって、言ったろうが……ッ!」

「え~? それ別にエコーが従う必要なくな~い。そもそも「うん。わかった~」なんて一言も言ってないしぃ~。それに不意討ちは禁止、なんてルールもなかったよねぇ~? 今の一対一は君の自己満足以外の何物でもないし、エコーの動きを拘束する権限は誰にもなかったよね? そもそも今のは周囲の警戒を怠った無様な君の自己責任じゃな~い? それなのにエコーを責めるなんてお門違いも甚だしくな~い?」


 ペラペラと正論のみを語るエコー。確かに、エコーが誰に、どのタイミングで攻撃を仕掛けようが何の問題もない。ただ単に、この場が「アシュラとギャバルの一対一を見守る」という空気になっていただけに過ぎない。その空気を破ったエコーは、空気が読めないだけであり、それはルール違反に抵触する行為ではない。


「ってことで、憂さ晴らしは他所でやってね~。《バブル・パンク》」


 エコーの杖から放たれた泡が倒れ込むギャバルへと飛び、彼の目の前で破裂する。その衝撃で飛び散った水の散弾をもろに受けたギャバルはそのままリングに沈み、結界の外へと転移した。


「まずは一人倒したぞ~♪ さぁ~て次は誰かなぁ~?」

「ボクが相手してあげるよっ!!」


 上機嫌なまま、きょろきょろと周囲を見渡すエコーに飛び掛かったのはメイランだ。尻尾のような形をした特殊なアークを器用に使いこなし、エコーへと連続で打ち付ける。しかしエコーは杖でことごとく弾き返す。


「この……!」

「うわぁ~、恐い顔。折角の可愛い顔が台無しじゃない? ま、エコーには負けるけどね~」


 神経を逆撫でするようなエコーを強い眼光を宿す目で睨みつけるメイランは体に炎を纏わせながら吠える。


「《噴炎》!!」


 メイランの咆哮に呼応してエコーの足元から火柱が立ち上る。火柱はそのまま結界の天井へと激突する。炎は結界の外へ出たりしないが、見ているだけでもその熱を感じるほど激しい一撃だった。

 おそらくメイランの魔力のほとんどを注ぎ込んだのだろう。流石にエコーもこれを受けて無傷ではいられないだろう。

 そう。受けていれば──


「危ないなぁ~もうっ。エコーの可愛い顔や服が焼けちゃったらどうするのさ」

「なっ……!?」


 エコーは火柱の中から現れた。エコーの体は大きな泡にすっぽりと包まれており、ダメージは一切負っていなかった。


「う、うそ……?!」

「それじゃ今度はこっちの番──ッ!?」


 メイランの最大の攻撃を受けて尚、無傷のエコーは無駄に可愛らしいポージングを取りながら魔法を放つ。

 だがその攻撃は、両者の間を遮るように出現した黒い壁に阻まれた。


「オイオイ。俺を置いて勝手に盛り上がってんじゃねえよ」

「もう。エコーの晴れ舞台の邪魔をしないでよ」

「そりゃこっちの台詞だっつの。こちとらお前のせいで俺の掲げた宣言が早くも達成不可能になっちまったろうが! 可愛らしい顔して不意討ちとかえげつねえことしやがるぜ」

「や~ん。可愛らしいだなんて、アシュラくんの正直者~♪ でも。アシュラくんもそこの娘と同じように一対一の邪魔したことに文句があるの?」

「は? いや、別に文句なんざねえよ」

「ありゃ? そうだったの?」


 てっきりアシュラのことだから、勝負に横やりを入れられてキレる寸前になっているものだと思っていたのだが、全然そんな様子はなく、いつもと変わらない表情をしていた。


「さっきお前が言った通り、なんら問題行為はなかったんだからよ。あの野郎が警戒を怠ったのが悪い」

「そうそう。さすがアシュラくんわかってるぅ~」

「だろ? 俺ら相性いいのかもな。ほらほら、不意討ちだろうと騙し討ちだろうと何でも来いってんだ。──と、それはさておき、お前」

「ん?」

「そこ、危ないぞ」


 まるで、肩にゴミが付いていること教えるようなあっさりとした声音で忠告され、エコーは疑問符を浮かべる。

 しかしその忠告の意味をすぐに思い知ることになった。

 エコーとメイランの間に現れた影の壁の両面から突如、無数の砲弾が射出された。


 エコーとメイランへ同時に襲い掛かる影の砲弾。メイランは魔力の消耗が激しく、迎撃も防御も、回避すら危うかった。そこを仲間のクーディが三節棍を振り回して攻撃をいなしてメイランを守る。


「クーちゃん!」

「大丈夫メイ? 少し休憩してなよ。わたしが相手しておくから」


 クーディはメイランより実力は下だが、メイランより冷静に状況を分析することに長けていたため、即座に援護することが出来た。


 一方エコーは再び自分の体を泡で包むも、アシュラの攻撃はメイランのそれとは比べ物にもならないほど強力で、攻撃を三発目を受けた瞬間に泡が弾け飛んでしまった。


「あちゃ~。しょうがない」


 しかしエコーは焦ることなく次の手を打つ。


「ほいっ、と」

「へっ? ひゃああっ!?」


 エコーは杖の先から水の鞭を飛ばし、近くにいた仲間のモネの足を掴み、自分の方へと引っ張った。


「じゃ頑張って堪えてねっ」

「う、うそおぉお!?」


 予想だにしていなかった仲間の裏切りにより、モネはアシュラの攻撃の前に放り出され、エコーはそんなモネの後ろに隠れた。

 外道っ! とエコーを罵る暇もなく迫る攻撃を体で受け止めるモネ。だが充分な準備もないまま盾にされたせいで、モネの体力は一気に限界にまで達する。

 最後の力を振り絞り、振り返った先に立つエコーに回復魔法を掛けて欲しいと目で訴えると


「ありがとねモネちゃん。あとはエコーに任せてゆっくりやすんでてよ」


 と、にっこり微笑まれた。モネは薄れ行く意識の中、心の中でエコーへ呪いの言葉を呟くのだった。


~~~


「うわ……」


 モネが結界の外へと転移するまでの顛末を見ていた誰もがそんな声を漏らす。

 そんな中、彼らの心情を代弁するかのようにメイランがエコーへと話し掛ける。その語調は普段のトーンより低かった。


「なんで味方を盾にするようなことしたの!?」

「あれ? なんで敵のあなたがエコーを責めるの? むしろライバルがいなくなってラッキーじゃん」

「今はそういう問題の話じゃないじゃん!」


 怒るメイランに、何故怒られているのか理解出来ずにキョトンとしているエコー。その構図はまるで燃え盛る炎と静かに流れる水の対比を表しているようだった。


「もうっ。まだ理解してないの? この大会は自分だけの戦い。最終的な勝者はたった一人なんだよ。不意討ち騙し討ちは勿論、協力や共謀、果ては同士討ちや裏切り行為だって認められてるんだよ? そして魔術師はどこまでいっても自分のためだけに生きる者。クラスが一緒であるとしても結局は戦うことになる。なら、早いか遅いかの違いじゃん? むしろライバルになりそうなのは早めに倒しちゃった方がこっちの有利じゃん。そんなこともわからないの? そっちこそ本気で勝つ気ある?」


 エコーは一切の反論を許さないと言ったように責め立てるように語る。

 そして皮肉にも、この場に限って言えばメイランの言葉よりもエコーの言葉の方が正しいのだ。


 そのことを、このリングで誰よりも理解しているアシュラは突然笑い出した。


「はっははははっ! まさしくその通りだぜ。俺もエリーが同じブロックにいたらまず先に片付けるつもりでいたしな」

「いやぁ、アシュラくんは本当にわかってるなぁ~」


 アシュラに釣られてエコーも笑みをこぼす。そんな二人を信じられないものを見るような目で見つめるメイランとクーディ。


「で、よ。そんなお前に朗報だ」

「え? なになに?」


 そしてアシュラはピタリと笑いを止め、いきなり意味のわからないことを口走る。


「まだ、終わってねえぜ。《影霊えいれい》」


 その言葉を切っ掛けにアシュラの魔法が発動する。


「「「なっ──!?」」」


 先程放った影の砲弾から、亡霊の手のようなものが無数に生え、メイラン、エコー、クーディへと絡み付く。


 アシュラの発した言葉の真意は、まだ奇襲攻撃は終わっていない、という意味だったのだ。

 メイランもエコーもクーディも、アシュラの影の砲弾が動かなくなったことに気を緩めてしまい、その砲弾がただの魔力に戻らないことに疑問を抱くことも出来なかったのだ。


 亡霊の手に捕まれた三人は必死に振りほどこうと足掻くも、ドンドン生えては絡み付いてくる影に成す術もなく、そのままリングの外へと押し出されてしまった。


「ふぅ。これで全員片付い………………は?」

「……何だ?」

「お前、なにしてんだ?」

「…………あえて言うなら、『何もしていない』、だろうな」


 その瞬間、やや遅れて試合終了のゴングが鳴る。

 そしてスクリーンにCブロック勝者の名前が表示された。


 ──Cブロック勝者

 《ドワーフ》ウォーロック=レグホーン

 《プレミアム》アシュラ=ドルトローゼ

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