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33何であんたたちばかりが幸せになってるのよ!


 キャサリンは下見をして教会で明日のことを聞いた。

 明日は二組の結婚式で親族も二倍。それにクワイエス領からの出席者も多くいると聞いた。

 お祝いに駆けつけたいと言うと始まる時間まで教えてくれた。親切なことだ。

 キャサリンはドレスを処分しなくて良かったと思った。

 宿に帰ると早速明日着て行くドレスを準備した。

 宿に着くたびに面倒でもドレスを広げてしわにならないようにした甲斐があったと思った。

 明日は新郎側のエリクかレオルカの親族だと言って教会の中に入るつもりだ。

 (それなりの装いをして行けば誰もおかしいとは思わないはず)

 

 翌日、聞いた時間より少し早めに教会に出向いた。

 思った通りたくさんの人が教会に次々と馬車で入って来る。

 キャサリンはその人達の会話をこっそり陰から聞いて後をついて行った。

 そして最後の一組らしい人が入った後にさっきの連れですと言って教会の中に入ることに成功した。

 キャサリンは目立たないように一番後ろの席の端に腰かけた、

 淡いピンク色のドレスはいかにも貴族の結婚式のお祝いにふさわしく浮いたり目立ったりすることもなかった。


 そうやって花嫁であるアンリエッタがバージンロードを父親に付き添われてはいって来た。

 まばゆいばかりのウエディングドレス。参列者はうっとりとその様子を見ている中キャサリンだけは心底それを疎ましいと思った。

 (ケネトが兄でなかったら、私はもっとすごいドレスを着てルーズベリー教会で結婚式を挙げるはずだったのに…今となってはどんなに願ってもかなわない夢)

 そう思えば思うほどアンリエッタが幸せそうに父に連れられて歩く姿に腹が立った。

 続いてエルディが入って来た。

 アンリエッタの兄であろう。逞しい体躯のみ目麗しい男に付き添われてドレスには真珠が散りばめてあり先ほどのドレスをさらに上回るまばゆさである。

 (悔しい。どうしてあんたたちばかりが幸せになるのよ!) 

 恨みがましい思いが沸々とお腹の奥で渦巻いて行く。

 昨日は仕返しをしてやろうと思っていた。でも、こんな場所で騒ぎを起こせばそれこそ自業自得になる。

 キャサリンもそれはわかっていた。忍び込んでは見たもののそんなこと出来るわけもないと。

 でも、アンリエッタとエルディが新郎と誓いの言葉を述べて指輪を交換して誓いのキスを交わし幸せそうな眩しい微笑みをこちらに向けた時、キャサリンの理性がぷっつりと切れた。


 脳内が真っ赤になり怒りが爆発した。

 いきなり一番後ろの席から立ち上げると奇声を発しながら真ん中の通路に出て祭壇に向かって走り出した。

 「何であんたたちばかりが幸せになってるのよ。許さないから!」

 その手には小さなナイフが握りしめられている。







 

 

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