25ケネトのその後
キャサリンは取り調べですべてを話した。
ケネトを本当に愛していたこともケネトと異父兄妹であると言うことも…
そのせいで王宮は大騒ぎになった。
キャサリンは厳重注意の上王都から追放と言う事になった。
男爵領に帰るもよし他で好きに暮らすには問題ないとされた。
問題はケネト王子だった。
今、国王の執務室には国王と王弟とケネトがいた。
向かい合わせに座る元息子、甥だと思っていた息子。元父と元叔父。
3人は互いの顔を見合わせ大きなため息を吐く。
父が王弟ドイルだと言う事に国王もドイルも驚いた心境だったが、ケネトはずっと邪魔者扱いだった。
そんな事はどちらでもいいとさえ思っていてこんな場所にいること自体が煩わしいと思っていた。
沈黙を破りケネトは涼しい顔で第一声を放った。
「元父上。父上。いいですか。私は元より王家には必要のない人間でした。これ以上の揉め事はもうこりごりなのです。ですから私は平民になろうと思います。王家とは何の関係もない人間として生きて行くつもりです。なので取りあえず辺境騎士隊に配属を希望します」
ケネトの顔は自信に溢れてほれぼれするほど清々しい。
ふたりの男は顔を見合わせる。
互いに不実な事を行って来た自負はある。言ってみればケネトは自分たちのしでかした不始末の被害者。
それなのに我が子はいつの間にかしっかりとした考えを持っていて今まさに自分たちを超えて旅立とうとしている。
そんな心境に陥っていた。
国王が重い口を開く。
「だがケネト。国王の子ではないとはいえお前はドイルの息子。それなりの爵位を受ける事も出来るのだぞ?平民にならずとも…「お言葉ですが、おふたりとも私が平民になると言ってほっとされたのでは?また、後継問題や領地の事、王宮の図り事など、もううんざりなのです。平民として気楽に生きて行こうと思います」そうか…」
もっともな話であった。
それはまさに自分たちが歩んできた道の事だから。
「だが、私達の気持ちとして毎年それなりの資金を渡そう。それくらいの事はさせてほしい」
そう言ったのはケネトの本当の父になるドイル。彼もいきなりの事だったが、どちらにしても血縁の者無下に使用都など思っていない。
「わかりました。その代りそのお金をどう使うは私の自由にさせていただけるんですよね?」
「「ああ、もちろん好きに使って良いぞ」」同時にふたりがそう言った。
ほどなくしてケネトは騎士隊員として辺境騎士隊に配属変えになった。




