24真実
日記は母が学園に通う頃から書き留めてあった。
アミルは学園に通う頃からアミル・ルタサール伯爵家の令嬢でゼイス・クワイエスが好きだった。
彼の婚約者になりたいとあれこれアプローチはしたものの結局ゼイスの婚約者には王の弟の令嬢であるアンリエッタが選ばれた。
それからもしつこくアミルはつきまとったがゼイスにとことん嫌われて失恋した。
そのことでクワイエス侯爵家への恨みが始まった。
アミルは学園を卒業するとあろうことかマリアンヌの父親ドイルを誘惑して関係を持った。
ゼイスとマリアンヌの間には赤ん坊が生まれ2年が過ぎていた。そしてマリアンヌは二番目の子供を妊娠していた。
ちょうどその頃アミルもマリアンヌの父親との間に妊娠をした。
そして国王も市井で見かけた女性リズに夢中になってリズも妊娠した。
先にアンリエッタが生まれた。
そしてアミルとリズは同じ貴族専用の診療所で出産した。
そこで間違いが起きる。
先にリズの赤ん坊が生まれた。
すぐにその後アミルが産気づいて男の子を産んだ。
ふたりの赤ん坊の髪は金色で瞳は碧色だった。それもそのはずリズは国王との間に出来た子でアミルの子は王弟との間に出来た子だったから。
実のところ不義の子供を身ごもった事でアミルは酷く辛い思いをしていた。
いくら王の弟であっても妻もいてましてや若い娘との間に出来た子共。子供の養育費は払うがもう別れると言われていた。
この先アミルはずっと日陰の存在で結婚も出来なければ相手のドイルが亡くなれば子供はどうなるかもわからない。
ふたりは同じ部屋にいた。
赤ん坊は自分のベッドに寝かされていた。
突然リズの赤ん坊の様子がおかしくなった。
真っ蒼になって口から白い泡を出し始めた。
「赤ちゃんが…ああ、大変。誰か…」
リズは怯えて赤ん坊を抱きかかえている。そのうち赤ん坊がぐったりして動かなくなった。
「ど、どうしよう。赤ちゃんが…赤ちゃんが動かないの」
アミルは隣のベッドから飛び降りて急いで駆け寄った。そして赤ちゃんを見るともう死んでいた。
その時アミルは恐ろしい事を思いついた。
アミルはリズに詰め寄った。
「リズ。あなた国王の子供を殺したのよ。すぐに人を呼ぶべきだったわね。だから赤ちゃんは死んでしまったじゃない。いい?こんなことが知れたらあなた死刑よ。王子を見殺しにしたんですもの」
「そんな…どうすればいいの?」
リズは怯えた。
「いいこと。私の赤ちゃんと取り換えてあげる。私の子はどうやっても不義の子としてい生きて行く事になる。赤ちゃんも不幸になると分かっている。だったら今ここであなたの子供と取り換えればいいと思うの。私の子は生まれてすぐに亡くなったことにすれば…どう?あなたはこの子と一緒に幸せになれる。なぇ、いい考えだと思わない?」
「でも、そんな恐ろしい事…」
「良く聞いてリズ。この子も王族の血を引いてる。王弟の子なんだもの。だから絶対にばれない。あなたも私もそれで助かるのよ。決心して今なら間に合うわ」
リズは震えながらこくんと頷いた。
リズの赤ん坊は死んでしまった。でもアミルの赤ん坊をリズの産んだ子とすればリズは王の側妃をなれるのだ。
リズはその話を受けた。
赤ん坊はふたりの間で秘かに取り換えられたのだ。
リズはきっとこんな秘密を抱えていたたまれなかったのだろう。それからしばらくして亡くなり真実を知る者はいなくなった。
そのあとすぐにルタサール伯爵家はアミルをバルブロ男爵と婚姻させた。これ以上アミルを家に置いておくわけには行かなかったのだ。
そして母アミルに残ったのはクワイエス侯爵家への恨みだった。
キャサリンが生まれその恨みを散々聞かされて育った彼女は自然とクワイエス侯爵家を恨むようになっていったのは言うまでもない事だ。
キャサリンは母の日記でその事を知った。
ケネトと自分は異父兄妹なのだと知ってしまったのだ。
どんなに辛くてもケネトと別れなければならなかった。
気持ちに踏ん切りをつけるために2週間が必要だった。
やっと決心して王宮に戻りケネトに別れを告げたのだった。
ケネトは納得しなかった。だから真実を話した。
そうしてやっとケネトはキャサリンと別れることを受け入れたのだった。




