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3.ただのチート











「魔王になるとか言ったけど、別にならんくてもいいな。強くはなっといたほうがいいと思うけど」


「目指すなら頂点だろう? 目指そう魔王ッ!」


「何故にそんなに魔王プッシュ」


「魔王の友達がいるとなれば━━━」



あ、なんか次の言葉が想像できる。



「━━━僕がさらに目立つじゃないかッ!」


「結局自分のためかーい」



この自己中やろうめ。まぁ、いいか。


あ、そうそう。アーサーが倒した狼だが、グレイトウルフ・ホワイトという魔物だった、A級のそこそこ危険なモンスターみたいだが、アーサーにかかるとゴブリン同然のようだ。


さてと、俺の能力だが≪特殊能力≫についてはなんとなく分かる。



「それにしても、便利な能力だね」


「あぁ、時間も止まるみたいだから、かなり便利だな」



≪特殊能力≫【次元収納ディメンションポケット】は、物を異次元空間に収納するというもの。まぁあれだ、異世界に行ったら手に入るありがち能力だな。


時間も止まるし便利な能力だ。



「そういや、魔法ってどう使うんだ?」


「? 魔法かい? 先ずは、魔力を全身に流して」


「あーはいはい」



魔力を全身に流すって、そんなん急に言われても困るんだよ、よく、血を全身に行き渡らせるようにって言うけど、こんな感じか?


あ、出来たわ。以外と簡単なんだな



「……普通は二年ぐらいかかるんだけどねッ!」


「へぇー」


「軽いねッ!」


「まぁな」



あぁそうだ、二つ目の≪特殊能力≫【永久機関(エンドレスエナジー)】は、まんまの意味です。魔力が秒間100づつ溜まっていく、いや、なんか気力とか、生命力とか、霊力とかそんなものも増えていくけど………


どうやらこの能力、(エナジー)を無限に溜められ、それを自由に使用できるらしい。というか、身体の力が0になったら、自動で補充されるらしい。



「ま、魔法はモンスターを見つけてからでいいか」


「そうだねッ! 一緒に行動するから僕の強さも見せておくよッ!」


「とかいって、見せたいだけだろ」


「正解ッ!」



歯をキラッと輝かせながら笑うアーサーに、思わずため息を吐く。まだ短い付き合いだが、なんかコイツの性格が分かった気がする。


とりあえず、モンスターを探して歩いていたら………



「お、いたよッ!」


「グルルルルルル」


「わぁお」



どうみてもドラゴンなんですが………



「火属性の下級竜(レッサー・ドラゴン)だねッ! こんな浅い森で出てくるなんて………やはり何か起こってるようだ」


「………俺、そんな時に来ちゃったの?」


「安心したまえ! この僕がいる所は、世界一安全だッ!」


「実力的には安心できるけど、性格的にはまったく安心できねぇ」



一抹の不安があるが、今は目の前の怪物を倒そう。どんな魔法があるかは、【情報の支配者】によって全て把握済みだ。下級魔法から上級魔法、禁術、血統専用魔法、種族固有魔法等々━━


まぁ、流し読みだけれども………



「“闇鎖捕縛ダークチェーン・バインド”」



溜まった魔力をふんだんに使って、下級竜を闇の鎖で地面に縛り付ける。竜と言えば息吹(ブレス)ということで、口も縛っておく。


魔力をふんだんに使ったおかげか、中級魔法でも竜を拘束することが出来た。



「下級とはいえ、中級魔法で竜を縛るとはねッ! ちなみに、生き物を倒せば、その生き物の(リソース)の一部を吸収して、強くなれるよッ!」


「へぇー」


「といっても、技量は上がらないからそこは注意してねッ!」


「うぃー」



アーサーに適当に返事をして集中する。


俺の持つ神にも届く力、≪アーキタイプアビリティ≫【情報の支配者(ワレハスベテナリ)】を使った戦闘。下級竜に合う前に考えていたのを、試してみる。



刃の記録(ブレード・ログ)(ソード)


「む!?」



出来上がったのは、青や緑に似た色をした様々な文字の集合体………剣の形をしたソレだ。


文字を読むことは出来ないが、おそらく俺が想像したものだろう。


切る、斬る、切断するetc………


刃に関する情報を剣の形に実体化させた。ん? 実体化とは少し違うのか? まぁ、言いたいことは伝わるだろう。



「さてと、ドラゴン。自分の鱗に自信はあるか?」


「?」


「不思議な剣だけど、下級とはいえ竜だよ? かなりの堅さを持っている。アダマンタイト級じゃないと傷はつけられない」



出たよアダマンタイト。まぁ、今は置いておくとして、この剣は切れ味とか強度とかいうのを超越している。実質、受けることも出来ない武器なのだが、それは別にいいだろう。


さてと


俺は、無造作に竜の首に向かって剣を振るう。何の抵抗もなく竜の首が切断され、胴体と離ればなれになる。飛び散る鮮血が、身体にかかる。


血生臭っ!



「凄いね、どんな手品を使ったんだい?」


「これは、“刃”に関する情報を剣の形に実体化させてるだけ、簡単に言うとなんでも切れる剣だ」


「それは凄いけど、危険だね」


「あぁ」



うっかり足に落とそうものなら、足は竜の首のように何の抵抗もなく斬れる。なので、こんな危ない物は消してしまおう。


なかなかいい感じなので、これからもこの調子でいこうと思う。



「それにしても、血塗れだね」


「ん? あぁ、くっさっ!」


「心底嫌そうな顔してるね」


「あぁ」



そりゃ、現代日本で生きてたら血塗れは嫌になるわ。さてと、俺の現在の状態を、“清潔”という情報を自分につけることで血を消す。ついでに、“消臭”の情報をつけて、匂いを消す。


いやーチートだなこの能力!



「無茶苦茶だね、君の能力……」


「どうせ、お前だって無茶苦茶なんだろ?」


「まぁね! 輝く僕にはぴったりな能力さッ!」



アーサーの≪アーキタイプアビリティ≫【華麗なる極光(ワレハカガヤキナリ)】は、字面から想像出来るような出来ないような能力だが、【情報の支配者】と同じくぶっ飛んだ能力なんだろう。まぁ、そのうち見られるだろう。


まだ【情報の支配者】を完全にコントロール出来たとはいえないが、使い方はなんとなく理解した。ま、こればっかりは積み重ねだな。



「よっし! この調子でいこうか!」


「あぁ、寝床を探しつつな」



自分で言って今思い出した。寝る場所ねぇや。





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