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2.久しぶりな奴ら











「それじゃあ、行ってくる。グレン、留守番宜しくな」


「はい。レツさん、ミラとユフのことお願いします」


「あれ? ねぇ、僕は? 僕には頼まないの?」



お前に留守を任せたら、また銅像作りそうだから任せないんだよ、察しろバカ。と、心の中で呟き、後のことをグレンに任せて、ミラとユフと一緒に出発した。



「お出掛けー!」


「お出掛け~♪」



握った俺の手ごと手を振りながら、ミラとユフは楽しそうに歌っている。よっぽど嬉しいんだろうな。因みに、歌詞はかなり適当な感じがする。


さて、アルマへ行くのは久しぶりだ。出会った人達は元気にしているだろうか?


ん? 二人が止まった。ミラのほうは、立派な兎耳をピコピコさせており、ユフのほうも小さな羊耳を広げている。



「何かいる?」


「あっち!」


「じゃ、行ってみるか」



ユフは何かいるのは分かるみたいだが、方向までは分からないらしい。逆に、ミラは方向も分かったようで指を指している。


という事で、音のする方に向かってみる。


アルマには、日が暮れる前に着ければいいので、多少の寄り道はオッケーだ。



「いた」


「ゴブリン~」


「気づかれてはないみたいだな」



音のしたほうに向かうと、十匹のゴブリンが大きな猪の回りにいた。猪のほうは既に絶命している。恐らく、このゴブリン達が倒したのだろう。


ミラとユフが戦いたそうに見てくる。アーサーと一緒に何度か実戦してたみたいだし、危なくなったらフォローすればいいか。


大事をとって、リーダー格のゴブリンを、落ちていた石による指弾で頭を撃ち抜いて倒す。リーダーがいなくなって慌てているゴブリン達に、ミラとユフが襲いかかった。



「やぁ!」


「え~い」



二人は木刀でゴブリン達を薙ぎ倒していく。


ただの木刀と思うなかれ。二人が持っている木刀は、俺の能力により強度と硬度が鋼並みになり、アーサーの【印魔法】によって、“身体能力強化”や、“与ダメージ上昇”等の強化効果がついているので、そこらの剣より強い。


まぁ、あくまで木刀なので斬殺ではなく、撲殺になっているが。


そういえば、アーサーとグレンは素の木刀で岩を一刀両断してたな。どうやったらそうなるのか、小一時間程問い詰めたくなった。しなかったけど



「倒した!」


「勝利~」


「お疲れ」



死屍累々


ボコボコにされたゴブリン達から魔石を取りだし、一ヶ所に集めて燃やして処理する。ゴブリンの素材だが、使わないというか使えないのでいらない。耳を持っていけば討伐依頼の報告が出来るが、金のほうは今持ってる魔石を幾つか売れば結構手に入るので、問題ない。



「ゴブリン出てこーい♪」


「出てこい~♪」



………獣人族が戦闘大好きなのか、七希種が戦闘大好きなのか、この二人が戦闘大好きなのか………


全部もありえそうだな。マップで確認した所、前方に魔物の集団がいるようだ。さらっと言うことじゃないな、うん。


えっと、オークの大群か。ん? なんか人の反応もあるな。誰か襲われてるのか? 急ぎ足で向かうと、見知った顔がいた。



「だぁぁぁぁ! なんでこんな事に!」


「奥へ来すぎたのよバカ! 依頼は浅い場所で十分なのにあんたが━っ!? 『我、炎を望む』“火炎球(ファイアボール)”!」


「アリサ、ナイス! リーダーは本当にバカだよね! というか、最近僕ら運無さすぎ!」


「アンタら覚えとけよ!」


「生きてたらな!」



オークの群れと戦っていたのは、ライン、リック、アリサの冒険者三人組、それに上等そうなワンピースを着た、ミラとユフと同い年ぐらいの少女と、グレンと同い年ぐらいの少年だ。


というか、この前見たな。第二王女と一緒にいた少年だ。襲撃されてそんなに経っていないというのに、護衛を連れずに何をやっているのか。


ま、兎に角助けよう。



「ミラ、ユフ。二人で一体と戦え、ただし、戦ってる奴ばかりに気をとられるなよ」


「分かった!」


「うん!」



とりあえず、此方に背を向けている一体に突撃し、飛び上がって首に鋭い蹴りを入れる。骨の折れる音とともに、オークの巨体が地面に倒れ伏す。



「なっ!?」


「よっ」


「レツ!? なん━後ろ!」



ラインの叫びを聞いて振り返ってみると、オークが武器を降り下ろす所だった。素早く横に飛んで回避した後、魔力を纏わせた拳を腹に叩き込む。勿論、魔属性を込めていないので、【魔王紋】は発動しない。人間は使えないからな


よろめくオークに、回し蹴りの追撃を決めて倒す。


ミラとユフのほうを見てみると、危なげなく戦っていたので、一安心。



「しっ!」


「『我、光を望む』“閃光の槍ライトニング・ジャベリン”!」



ミラは自慢の脚力で地面だけでなく、木やオークまでも足場にして、縦横無尽に駆けて攻撃している。【立体機動】のギフトを持ってるから出来る動きだな。


ユフのほうは、魔法も織り混ぜて攻撃している。のんびりしているように見えて、意外と頭の回転が速いみたいなんだよな。


俺達が加わったことでオーク達はサクサク倒され、ものの五分程で全て倒し終わった。



「で、何してたんだ?」



オークから魔石を剥ぎ取りつつ、隣で同じように魔石を剥ぎ取っているラインに尋ねる。



「護衛依頼だよ、護衛依頼。森で戦って強くなりたいんだと。貴族なんだから家の護衛に頼みゃいいのにな」


「ふーん」



貴族? 第二王女はあまり人前に出ないんだったか? ユノから聞いたような聞いてないような……とりあえず、第二王女のほうは身分を隠していて、ライン達はそれに気付いてないと


ま、その方がいいか。


ミラとユフと楽しく話している第二王女を見る。


って、何木刀の振り方教えてんだよ、王女様も真剣な顔してやらなくていいから



「レツ兄! 木刀作って!」


「上げたやつはどうしたんだ?」


「ミリに上げた!」



実にいい笑顔でそう言うミラ。ミリというのは、第二王女のことみたいだ。それにしても、あの木刀上げて大丈夫なんだろうか? とりあえず、強度は普通の木刀に直し、強化効果を“身体能力強化”、“動作補助”、“疲労軽減”に変えておく。


とりあえず、これで鑑定されても大丈夫だろう。



「ほら、新しい木刀だ。渡したやつは、練習用だって言っておけよ」


「うん!」



ミラが駆けて行ったのを確認した俺は、再びオークから魔石を剥ぎ取っていく。


ライン達と協力して魔石は全て剥ぎ取り終わった。さて、残ったオークの死体はどうするかな?



「オークって他に使える部位あるのか?」


「あー……睾丸がそっち系の薬の材料になるんだが………」



ラインが小声でそう言った後、ミラ、ユフ、ミリのほうを見る。


………もしかしたらがあるし、教育に悪いな。



「後は燃やすか」


「だな、アンデットになったら面倒だ」



オークの死体を集めて、魔法で燃やしていく。後は放っておいても問題ないそうなので、他のモンスターが出ないうちに森から出ることになった。


さて、王族に多少なりとも関わってしまったが………面倒な事にならないように、祈っておこう。





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