3話・FRIEND’S HOUSE
―――side空志
現在、ボク達はメインストリート的なところを歩いてます。
都市の中は以外にもボク達の住んでいた町とほぼ変わらない。魔物がその辺を闊歩しているところを除いて・・・・・。
文化レベルがよくあるファンタジー小説にあるような中世のレベルでないことに驚いた。普通にケータイ使って話してるし、服もボク等の世界のモノと変わりがない。
「・・・・・・何やってんだ?」
きょろきょろとして、何かを考え込むような仕草をしたのか、とにかく様子がおかしいボクにリュウが聞いてきた。
「いや、少し情報収集を」
「なんで~?」
情報は時に剣となり、知識は盾になる。
まぁ、情報を知りすぎて消されるってのもマンガとかドラマじゃありがちだけど、救われることも多いのは事実だからね。
「むぅ~・・・。難しいこと考えているんだね~」
この娘はどうも天然に加え、ちょっとアホのようだ。そして、勝手に人の心を読むな。プライバシーの侵害だ。
ちなみに、レオはボクの腕の中でぐうぐう寝ていた。
ついさっきまで死ぬほど怯えていたのが嘘のようだ。と言うか、歩くたびに結構揺れてるのに、起きないってどう?
「お~い。ついたぞ~」
リュウの言葉で目線を上げると、そこには家があった。
「・・・ここドコ?」
ごく普通の一般的な家屋。二階建てである。強いて言うなら普通の家よりまぁ、でっかいかな~程度の家。
「これって、ドラゴン(笑)さんの家?」
坂崎さんが冗談っぽく聞いてみてみる。
「いや、そのネタいい加減にやめてくれよ!?オレは間隆介だ!!そしてここは実家!!」
「間君だね~。わかったよ~」
「すっごいゴーイングマイウェイ・・・」
坂崎さんの恐ろしさの片鱗を味わった気がした。
まぁ、そんなこんなでボクらはリュウの実家に入っていった。
「お袋~。帰ったぞ~」
家の中もごく普通の日本の家。
玄関があって、靴箱があって、靴も脱いで上がる。
「隆介?お帰り。珍しいわね。こんな時期に急に帰ってくるなんて。・・・寮には連絡入れたの?」
奥のほうから優しい雰囲気をかもし出している二十代後半っぽい女性が現れた。
かなり若く見えるけどおそらくリュウの母親。まぁ、竜だしな・・・・・。
「いろいろあったんだよ。それと寮は緊急事態だから、お袋に頼む。・・・親父は?」
「まだ、帰ってないわよ。で、この子達は?」
「あ、こいつらはダチだ」
「三谷空志です」
「坂崎鈴音で~す」
「みゃ~」
「こっちはレオです」
「両方人間だ。そしてネコ。」
とりあえず簡単に説明しておく。
リュウの母親らしき女性は、やわらかく微笑んで、ボク等に自己紹介を返してくれた。
「あらあら、丁寧にどうも。隆介の母の間優子です。名前で呼んでもらえればいいですよ。じゃぁ、この子達が隆介の護衛対象?」
やはり、リュウの母親だったらしい。
そしてオイコラマテや。
なんだか護衛的な単語が聞こえたぞ。
「リュウ、さっき無視できない単語が聞こえたよ?」
「まぁまぁ、そんなにあわてずに。時間はいっぱいあるんだから、とりあえずは居間に」
まぁ、それもそうだね。
ボク等は優子さんの案内で間家のリビングに。
二人はボク等を適当に座らせ、話を始めた。
「まぁ、ぶっちゃけるとオレは、お前の護衛をしてた」
「かなりぶっちゃけ過ぎだろ」
「でも、何で三谷君の護衛をしてたの?」
そこが、自分でもわからない。
ボクには狙われる覚えがまったくない。
「お前には魔法の素質があって、その属性がやばいらしい。」
「・・・はい?」
「あ、魔法の説明が必要か?」
「いや、ボクは魔法なんか使えないし、使ったことがないんですけど?」
残念ながらボクにはそんなビックリ特技は持ち合わせていない。
「そりゃそうだ。ジジイ、現魔王のオレの祖父、間龍造の封印魔法でガチガチに封印してる」
「・・・あの、祖父が魔王って聞こえたんですけど?」
「オレの祖父はアホだが、現魔窟の魔王。通り名は『結界の魔王』だ」
「おぉ~!?じゃぁ、リュウ君は魔王様のお孫さんなんだ~!?」
もう、ボクは驚くことに疲れてきた。
そしてリュウは話をもとに戻した。
「とにかく、だ。オレのジジイがこんな封印ありえねぇってレベルで、お前に封印をかけたらしい。それをお前が生まれてすぐに施した。だから、訓練どころか魔力を認識もしてないやつが使えるわけがない」
「でも、らしいって言ってたけど、それってどーゆーこと~?」
坂崎さんの言葉にボクも頷く。
確かに、リュウの言葉さっきかららしいとかあんまり確信していない。まるで、ボクに封印された力のことを理解していないみたいだ。
「それがな、ジジイもよくわからない属性だったらしい」
「「・・・は?」」
よくわからないのに、何で危険だなんてことが分かるの?
ボクの疑問を察したのか、リュウはその答えをくれた。
「オレは知らないけど、ジジイ達は赤ん坊の時にお前の力の一端を垣間見たらしいな。それに、今は聞きたくても聞けねぇ状態なんだよ」
「・・・まさか、亡くなった、とか?」
「いや、寝てる。およそ十年間、ずっと」
・・・もう、どこから突っ込めばいいのかわからなかった。
「お前、レオに掛っていた何らかの魔法を壊しただろ?」
「・・・アレ?レオが見えなかったのって、魔法のせいなの?」
ボクは膝で寝そべっているレオに聞く。
すると、レオはまるで肯定するかのように一鳴きした。
「たぶん、お前の属性がジジイの封印をぶっ壊そうとしているからだな。親父とお袋によれば、ジジイはお前に高度な封印魔法を施したらしい。・・・そうだよな?」
「えぇ。その通りよ」
今まで静かに黙っていた優子さんがそう言う。
そして今度はリュウに変わって話を続ける。
「まず、私の義父に当たる龍造さんは赤ちゃんのころの君に封印を施したの。当時の義父が使える最高の封印魔法で。内容は魔力の封印、魔力の認識が不可能になる、そして、もしも壊れるようなことがあっても、君の魔力と、義父の魔力を使って封印を修復する機能。でも、十年前に義父は倒れたの」
「何が、あったんですか?」
「何もないわ。突然倒れて、死んだように眠り始めたの」
「まぁ、原因はすぐに判明した。お前んとこの爺さんが連絡を寄こしてきた、お前から魔力を認識できるってな」
「・・・あれ?でも、ボクには封印が?」
確か、封印の内容には魔力の認識が不可能になるものと、魔力そのものを封じる機能があったはず。それなのに、魔力を感じた?
「その時は、本当に驚いたわ。まさか、年端もいかない少年が魔王の魔法を打ち破ろうとしていたんだから。それに、普通この魔法を使われたら、一生魔法を使えなくなるのよ?」
「・・・マジですか?」
どうも、ボクはナチュラルに非常識なことをやってのけたらしい。
けど、魔法なんて使った覚えもないのに、どうして?
「で、次に重要になってくるのが最後の封印の修復機能だ。壊れかかった封印を直そうと、ジジイとお前の魔力が使われんだけどな、ジジイの魔力がだんだん、おっつかなくなっていったんだよ。で、魔力ってのは生命力に近いものがある。たぶん、そのせいで寝込んじまっている」
「・・・え?それって、ボクは魔王よりも魔力があるの?」
聞きようによっては、そいうことだよね?
けど、それだとおかしい。だって、あの時の変質者はそんなこと一言も言ってないし。むしろ『ヒヨっ子が!』的な感じだったし。
「それもあり得ねぇんだよな。・・・一応、属性の説明も必要だな」
リュウはそう言うと、ボクに属性について教えてくれた。
1・・・魔法を使える人は必ず一つの属性を持つ。
2・・・属性は人の数ほどあるが、火、風、水、土の四元素を使う人たちが多い。
3・・・中には二つ以上の属性を持つ人もいる。
4・・・自分の属性は訓練しだいでランクアップできる。(火→炎といった感じで)
5・・・高ランクの属性、レアな属性ほど魔力保持量が多い。
6・・・それぞれの属性には得意とする性質みたいなものがある。
と、言うような感じだった。最後の特性みたいなのはよくわからないけど、リュウの『闇』の属性なら『浸食』らしい。
「ちなみにオレは『影』からの『闇』へのランクアップ。竜の中でもかなり珍しい属性で魔力もかなり持ってるんだが・・・・・それでもこの封印を破るのは難しい。そして、魔法を使えないお前が封印を壊そうとするなら方法は一つしかない」
「一つ、だけなの?」
「えぇ、そうよ。それも強引な力技で、内側から過剰な魔力を、要するに封印の要領を超える魔力を発生させればいいの」
「たとえるなら、容器の中に過剰な空気を入れて破裂させるようなもんだ。けどな、そこでさっきオレが言いかけた問題にぶち当たる」
そこでリュウは何とも理解しづらいとでも言いそうな表情を浮かべる。
そして優子さんが変わってボクに言う。
「君の魔力はね、封印を考慮に入れても低いの」
ますますわけがわからない。
そしてどうでもいいことだけど、坂崎さんが船をこぎ始めた。レオに至っては完全に寝ている。
「お義父様に聞こうにも、お義父様自身よくわからなかったらしい上に、今は寝てしまっているから・・・」
聞きたくても聞けないわけだ。
「だから、おそらくは君の属性が特殊すぎて、その属性の特徴で封印を破ろうとしていることぐらいしかわからないの」
それでも、ボクのことは予想の範囲を出ないみたいだ。
「まぁ、ないものねだってもしょうがねぇ。そして、ここからお前ら二人に関することだ。つーわけで起きろ」
「ほぇ!?お、起きてるよ~!?うん、カレーの隠し味はブラックコーヒーをスプーン一杯だよね~!」
全く聞いてなかった。
と言うか、どうしたらそう言う話になるのか、むしろ聞いてみたい気もした。
「とりあえず、お前等には魔法の素養がある。魔力に敏感なオレ達はともかく、人間の変質者までもがお前の魔力を感じ取った。これはもう封印がほぼ壊れているとみてオレはいいと思う」
「私も同じね。こうなったら、封印よりもコントロールを選んだほうが無難ね」
二人の間で何かしらの内容が決まったみたいだ。
けど、ボク等はただ首をかしげるだけ。
・・・・・あれ?そういえば・・・・・。
「そういや、何でうちの家族とリュウん家が封印してくれたの?」
「あぁ、それはジジイが知り合い同士だったんだ」
へぇ~。人とドラゴンなのに。
「まぁ、会えばすぐに拳で語り合うような関係だがな」
「それ、最悪の関係だよな!?てか、じいちゃん何者!?」
どこぞの勇者か!?
「まぁ、とにかくだ。お前の属性がばれると確実にどこぞの魔法研究機関に連行されて、人体実験の餌食になるレベルのやばいやつだったから、もしものときのためにオレがついてたっつうことだ。」
「そうだったのか・・・・・。なんか、ありがと」
取り合えず礼を言っておこう。
「それで、さっき言ってたコントロールがナントカってどういうこと~?」
確かに、そっちも気になる。
まぁ、気になることだらけなんだけど。
「それは、お前らに魔法を覚えてもらうためだ」
・・・・・・何で?
今、なんと!?
「魔法を覚えろ。理由は簡単。
一つ、封印壊れそうだから。
二つ、今回の公園での襲撃のような防衛策として。
三つ、何かの拍子に魔法が発動して暴走したら大惨事になる。
以上だ」
リュウが何か言っていたけど、ボクは聞いていなかった。
てか、すっげ~。魔法だ~。
あれだよね。空飛ぶ魔法とかやってみたい。
けど、そこでボクは気づいた。
「でも、『お前ら』って?」
「坂崎もカウント済み」
「何で~?三谷君と違って魔法使えないよ~?」
「それが、偶然にもお前まで魔法の素養があるっぽい。まぁ、やってみなきゃわかんねぇけど。それに、おそらくはお前とオレの魔力にあてられたな」
ボク等のせい?
「まぁ、しょうがねぇよ。もとから坂崎には魔法の素養があったんだけど、『テラ』の方はあんまり魔力がどうのこうの言うのはねぇからな。そこで、今回のことで坂崎の内包する魔力が刺激されたってとこだろう。ま、魔法の訓練は俺の親父にでも頼む」
「ただいま~」
そう言うと、男性の声が聞こえた。
優子さんはその声に反応して玄関まで迎えに行く。
「ちょうどいいな。親父ー!オレも帰ってるー!」
隆介か?とたずねつつ。二十代後半あたりの男性が入ってくる。
そしてリュウが紹介してくれた。
「親父の間颯太だ」
「こんにちは。三谷空志です」
「坂崎鈴音で~す」
「みゃ」
「これはレオです」
「いらっしゃい。僕のことは名前で呼べばいいよ。・・・・・君がヒロシ君か」
丁寧な物言いの人、じゃなくてドラゴンだった。
「というわけで、魔法を教えてやってくれ」
「わかった」
「いや、何も説明してませんよね」
いいのか、そんな簡単に?
こうして、ボク達は魔法の勉強をすることになった。
ところ変わって、ボク達は隆介君宅の書斎に来ています。
とにかくすごいです。
何がって言うと。
「部屋が本で埋め尽くされてる~。」
ハイ、坂崎さんの言うとおり壁、机の上はもちろん。床にまで置いてあり通路のようになって、挙句の果てには天井のほうにまで本がある。
つか、天井にあるやつフワフワ浮いてるよね!?
ここまで本で埋め尽くされていると地震が起きたときに死ねそうだ。
あ、コラ、レオ。悪戯しちゃダメだよ。
「じゃあ、君たちはここから適当に一冊の本を選んでもらえるかな?」
「無理です」
多すぎるよ!!
勉強の前に教科書選びで一生が終わるよ!?
「どれにしよーかな~?」
オイ待て、坂崎さん。流石にこれは無謀すぎると言うことに気づいて!?
「大丈夫。すぐに見つけられるわ」
優子さんは何やらよくわからない自信を見せつけた。
・・・いや、こん中から一冊って、絶対に一生かかりますって。
「大丈夫。とりあえず、この中を適当に歩いてみて」
何がどう大丈夫なのかまったくわからない。
「これにする~」
早っ!?
「早いわね~スズネちゃん」
「とりあえず、魔導書に書いてある内容が君の属性に関わりのあることは決まっている。そこに書かれていることが理解できればある程度はできるはずだよ」
・・・何で、そんなことが分かるの?
そんな疑問の表情を浮かべるボクにリュウが答えてくれた。
「ここにあるのは魔導書。それも禁書ってレベルの物だ」
「・・・え?それってダメなんじゃ・・・?」
「禁書つっても、呪いの書とかじゃねぇ。つか、そもそも本読んだだけで呪われたとか言う話はない。まぁ、意思を持った道具に乗っ取られて、それが呪いだって言われることはあるけどな。・・・禁書ってのは人間が勝手に名付けたもので、そのほとんどが魔王による著書のことを言う。まぁ、当たり前だがそこに書かれた魔法は強力。下手すりゃ世界が滅ぶ」
「・・・いやいやいや!?それって結局ダメだよね!?」
「って、人間は勝手に解釈してる」
「・・・どういうこと?」
「魔王の著書っつても、そのほとんどが魔法研究の覚書とその研究成果。オレが何が言いてぇのかっつーと、禁書は魔王、あるいは魔物が書いた著書のことを指すってだけなんだよ。だから、禁書でも隅っこに買い物メモが書かれてるなんてことはザラにある」
・・・なんか、いろいろとイメージが崩れてしまった。
要するに、禁書って言うのは魔物が書いた本で、それは人間から見れば強力極まりない。だから禁書なんて分類で呼んでるってだけなんだろう。
「まぁ、ここの禁書には持ち主を選ぶって性質のやつがある一級品があんだよ。だから、坂崎は一見して自分で選んだみたいに思っているが、実際には本に選ばれている。って言っても、ジジイがそう言うだけで、本当かどうなのかはオレ達もわからない」
「ふーん」
どうやら、魔王様はすごい人らしい。
「まぁ、お前もさっさと探せ。お前の特殊な属性じゃ、見つかるかどうかも微妙だけどな」
まぁ、自分の属性は強力そうだけど魔力が低いってなんかよくわからないものだし。・・・頑張るしかないか。
「でもさぁ、どうやって、これがボクの求めていた本だ!なんてことがわかるの?」
「それは本人にしかわからん」
自分の力でやるしかないようだ。
「じゃぁ、レオ!行くぞ!」
「にゃー!」
ボクはレオを引き連れて奥へと行く。
・・・・・・迷子になりました!!
「いや、広すぎだろここ!?」
初めてごく普通の一般家屋で迷子になった・・・・・・。
でも、どうにかして戻らないとな~。まだ、本見つけてないしな~。どうしようっかな~。
どさどさっ。
本の落ちる音が聞こえた。
「に゛ぃ゛あ゛~!?」
それと同時にレオの悲鳴。
「って、レオ!?」
本に埋まっているレオを発見。
どうも悪戯をして本を崩してしまったようだ。
・・・・・何やってんだか。
ボクは本をどけて、ぐったりとしてるレオを救出。
「・・・・・ん?」
本を片付けていると一冊の本に目が行った。題名のない何の変哲もない本。なぜ、その本が気になったのかはわからない。
・・・・・・もしかして、これが本を選ぶってこと?
「ま、いっか。これにしよう」
なんとなくだけど、これが正解であるかのように思えた。
「・・・・・・て、ボク迷子じゃん。帰れねぇー!!!」
一難さってまた一難だ・・・。
「遅かったな」
「・・・聞かないで」
あれから数分ほど経って、奇跡的にもとの場所へたどり着けた。
ちなみにレオはまだぐったりとしている。
いい加減にしなさい。
「君の本はそれかい?」
颯太さんが尋ねてくる。
ボクがうなずくと。
「これはまた・・・。題名がない上、封印されてますね」
「え?じゃあ、これ読めないんですか?」
「いや、これの封印を解けばいいんだけど・・・。これは私の父がかけたようだから無理だね」
「・・・・・なんか、こう、気合注入!とか魔力装填!的なモノでどうにかなりませんかね?」
「お前、アホか?」
できるかもしれないじゃないか!
無理だと思うけど。
とりあえず、ふざけて
「ふん!」
気合を入れてみた。
「いや、だからできるわけ・・・」
パキンッ!
はて、何かが割れるような音が聞こえた気が?
・・・・・・そう言えば、これってレオに触れたときの音に似ている気が?
「・・・!?ヒロシ君!本が!」
「え?本です、かぁぁあああ!?」
本が光を放っている!?
どーすんの!?
「落ち着け!」
無、理!
なんかやばいんですが!?
しかし、光は唐突にやんだ。
「・・・何が起きたし」
「おぉ~。題名が出てきてるよ~!?」
坂崎さんの指摘。
あ、ホントだ。何々・・・・・。
「『サルにでもわかる大魔道書』」
一瞬だけ、ボク等の周りに沈黙が下りた。
「・・・リュウ、笑いたきゃ笑え」
「ぶわはははははは!何これ!誰が書いたんだよ!ありえねえ~。」
腹を抱えて笑っているリュウ。
すみません。皆さん。笑をこらえないでください。
口押さえてこらえないでください。
ボクが惨めになります。
とりあえず、こんな本を書いたやつを殴るために著者をチェック。
著者・魔王 間龍造
・・・はて、間龍造。どこかで聞いたことがある。と言うか、颯太さんが自分の父の封印がかかっているって言ってたし・・・でも、なぁ・・・。
「・・・すみません。ボクの目がおかしいんですけど?」
「ふふっ、・・・どうしたの?」
笑いながら、優子さんが尋ねてくる。
「いやですね、この、著者のところが・・・」
「どれどれ・・・。『著者・魔王 間龍造』・・・」
間家の方々がフリーズ。
「・・・大丈夫ですか?」
「いやいや、大丈夫」
・・・颯太さん。目が笑ってないっす。
顔に魔王をどうやって殺ろうかって出てます。
「でも、君はこんな駄本でいいのかい?」
「そうよ、こんなふざけた魔王様の本はやめたほうがいいかも」
「そうだな、こんなクソジジイの本はやめとけ」
・・・魔王様がひどい言われようだ。
「・・・ま、これでいいです」
これも何かの巡り会わせってことで。
「じゃあ、今日は遅いので泊まっていってね」
「では、明日から訓練です。今日はいろいろとあったでしょうから休んでください」
「じゃ、お袋。メシ~」
「ハイハイ。今日はご馳走よ」
明日からボク達の訓練が始まるらしい。
てか、ホントに今日はいろいろあって疲れた。
リュウのご家族には悪いけど今日はここでお世話になろう。
「すみません。よろしくお願いします」
「お願いしま~す」
明日から、どう何のかねぇ。
・・・・・・・・・・そういや、学校どーすんの!?
作 「というわけで『隆介の家』をお送りしました!」
鈴音 「え?これってそういう意味なの~!?」
作 「違います。あくまでルビ振るとって感じです」
鈴 「ほぇ~」
作 「さて、この鈴音ちゃんですが、実は作者の友人をモデルにしております。もう、ガチでこんな感じの子です」
鈴 「そうなんだね~」
作 「そうそう、適当に嘘ついてもマジで信じました」
鈴 「嘘はダメなんだよ~!」
作 「まぁ、そんなわけで次回!訓練始めます。そして大魔神降臨!」
鈴 「おぉ~!なんだかカッコ良さそうだね~!!」
作 「それじゃ、次回もよろしくお願いします!」




