そんなの、ありえないし
「……ん、お姉ちゃん?」
「美葉? 起こしちゃったかしら」
私が呟くようにお姉ちゃんのことを呼ぶと、お姉ちゃんはびっくりした様子を見せてから、そう聞いてきた。
私はそんなお姉ちゃんの様子を見て、今の時間が気になって、時計を見た。
「……お姉ちゃん、いつも、こんな時間に起きてるの?」
私がそう聞くと、お姉ちゃんは優しく頭を撫でてくれた。
「ん……お姉ちゃん?」
「美葉はまだ寝てていいわよ」
「……うん。分かった」
お姉ちゃんの言葉に頷いて、私は目を閉じた。
眠かったから。
「……そういえば、昨日っていつ寝たんだっけ」
そして、私は目を閉じながら、そう呟くように言った。
だって、昨日、ベッドに入った記憶がなかったから。……そもそも、お風呂に入った記憶もない。
そんなことを思っていると、私の意識は遠のいていった。
「美葉、起きて。朝よ」
「……んぅ」
私はそんなお姉ちゃんの言葉で、目を覚ました。
「お姉ちゃん……おはよう」
「ええ、おはよう、美葉。朝ごはん、出来てるから、リビングで待ってるわね」
「……うん」
私が頷くと、お姉ちゃんは私の部屋を出て、リビングに向かっていった。
あ、私が昨日、お風呂に入ったのか聞くの忘れてた。聞こうと思ってたのに。
……入ってなかったら、今から入らないと。……シャワーを浴びるだけでも、変わってくると思うし。
「お姉ちゃん、私って昨日、お風呂入ったっけ?」
そう思って、部屋を出て、リビングの扉を開けるなり、私は直ぐにそう聞いた。
「ふふっ、美葉が私に甘えながら、一緒に入ったじゃない」
すると、お姉ちゃんは、昨日のことを思い出すようにして、嬉しそうにそう言ってきた。
「そ、そんなわけないでしょ」
確かに、昨日は、お姉ちゃんがなかなか帰ってこなくて、反動でちょっと、ベタベタしちゃったかもだけど、お風呂でも、甘えるなんて、ありえないし。
……でも、覚えてないから、ほんとにしてた可能性も……い、いや、そんなわけ、ないか。
「ふふっ、お互い裸なのに、美葉がくっついてくるから、色々我慢するのが大変だったのよ?」
「ぜ、絶対、嘘、でしょ」
お姉ちゃんが、そんなあからさまな嘘をついてくるから、私はそう言って、朝ごはんが置いてあるテーブルの前に座った。
「……い、いただきます」
「ふふっ、頂きます」
そしてそのまま、そう言って朝ごはんを食べ始めた。




