表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【アニメ3期決定】転生貴族、鑑定スキルで成り上がる~弱小領地を受け継いだので、優秀な人材を増やしていたら、最強領地になってた~  作者: 未来人A


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

301/310

第301話 迎撃準備

 パラダイル州、シークエン郡、シークエン砦。

 ミーシアンとの国境にあるシークエン郡の砦で、ミーシアン征伐のための軍議が行われていた。


「ミーシアン側は、どんな将が参戦するのですか?」


 エレノアがそう尋ねた。彼女はパラダイル州からミーシアンに攻め込む部隊の、総大将だった。

 パラダイル側からは、ローファイル、パラダイルの二州の兵がミーシアンに攻めこむ。


 パラダイル側の指揮官はバンバだが、彼は、総指揮はエレノアに任せると最初にはっきりと決めたので、パラダイルの兵もエレノアの指示に従って動くことになっていた。

「斥候の話によりますと、防衛部隊がルンド城へと入ったようです。一番名声が高いのは、間違いなくローベント家の面々でしょうな」

 バンバがエレノアにそう説明をした。


「ローベント家?」

「ミーシアンで最近成り上がってきた貴族です。当主はアルス・ローベント。まだ15くらいの年齢だが、人を見抜く不思議な力を持っているともっぱらの噂で、家臣たちに優秀な人材が揃っております。我輩も一度会ったことがありますが、見事に我が才覚を見抜かれました」

「ほう。人を見抜くと。面白そうですね。家臣たちにはどんな人物がいるのでしょうか?」

「マルカ人の智勇兼備の名将、リーツ・ミューセント。ミーシアン最強の魔法兵、爆炎姫、シャーロット・レイス。軍師のロセル・キーシャ。ミレーユ・グラジオン、トーマス・グラジオンの名将姉弟……ほかにも異国から来た人材を雇ったり、魔法兵にも凄い逸材がいたりと、列挙したらきりがありませんな」

「そんなにいるのですか。面白そうですね」


 エレノアはニヤリと笑みを浮かべた。


「ただ、いかにローベント家と言えど、エレノア殿の名声に敵うものはおりませんな」

「名声などどうでも良いものです。戦は強きが勝ち、弱きが負ける。それだけです。そして私が指揮した軍は、何よりも強く負けることはありません」


 自信満々な態度でエレノアは言い放った。


(アルス・ローベントですか。人を見抜く能力の持ち主。興味深いですね。楽しい戦になりそうです)


 楽しそうにエレノアは笑った。



 私はルンド城に到着する。


 今回付いてきたのは、リーツ、ロセル、シャーロット、シャドーのファムはもちろん、ブラッハム隊、ムーシャ、フジミヤ三兄弟も参加している。

 ほかの者たちは、クアット郡の防備を固めるため、クアットで待機している。


 到着して早々、軍議室へと向かった。

 まだ敵は攻め込んでは来てないが、戦の時は近い。

 一刻も早く、軍議をしてどう対処をすべきか話し合うべきだった。

 軍議を早速行ったが、私が議長のような立場になっていた。


 その場には、ほかの貴族たちもいたが、あくまで議長は私だった。

 今の私はミーシアンの中でも、最上位クラスの領地を保有している貴族である。

 元々貴族は階級分けされてて、高い方が格が上という感じだったようだが、もはや形骸化しており、結局より実力の高い貴族が格も上になる。

 格上の貴族が議長になるのは、当たり前の話ではあった。

 今後はクランのいない場所では、このように議長みたいなことを務める機会も増えていくだろうな。


「斥候からの報告を発表いたします」


 先にルンド城に入城していた貴族がそう言った。敵が集結しているシークエン砦に斥候を派遣したようだ。


「ローファイル州からの兵、約一万がパラダイル州の兵と合流し、全部で二万ほどの軍勢になっている模様です」

「二万か……思ったより少ないな」

「征伐軍の主力は、アンセル地方に集まっているようです」


 アンセルからアルカンテスを陥とすつもりだな。

 アルカンテスはミーシアンの首都だ。

 陥落させられたら、一気に窮地に陥る。

 クランの言い付けどおり、サイツを警戒するための兵を残してきたが、それでも一万は連れてきた。


 ほかの貴族も合わせて一万五千人ほど兵がいる。

 ルンド城は度々陥とされたので、その度により強くするための改修をおこなっている。

 その上、こちらには飛行船がある。

 兵の数的には十分勝てそうだ。


「兵数的には有利ですが、今回敵軍の総指揮を担当しているのが、ローファイル州の戦女神、エレノア・ブレインドです。百戦百勝で戦の天才と呼ばれる女です」

「戦女神……百戦百勝」


 そんなバカ強い奴がいるのか。

 いくら兵数で勝っているとは言え、ちょっと怖いな。

 私と同じく、貴族たちも不安を感じているようで、ざわざわとし始める。


「戦女神……」「噂では2mを超える、女傑だとか……」「俺はめっちゃ美少女って聞いたぞ」「一回も負けてない……本当なのか?」「本当なら不味いのでは?」


 不安そうだな……


 このままだと怖気づいてしまって、勝てる戦も負けてしまう。

 案外、相手がビビるのを期待して、そう言う噂を流しているのかもしれない。


「アルス様……ここはアルス様のお声で皆様を鎮めた方がよろしいかと」


 リーツが後ろから小声でアドバイスをしてきた。


「わ、分かった」


 あまり慣れてはいないが、仕方ない。

 私が議長だし、何とかしなくては。


「静まれ!」


 大声でそう言った。


「数で勝っていて負ける道理はない。噂に踊らされるな」


 一言そう言った。


「た、確かにそうですね。アルス殿は、寡兵で大軍を打ち破られた経験もある」

「そ、そうだ。戦女神だか何だか知らないが、アルス・ローベント殿が指揮をする限り負けるはずはない!!」


 勝手に盛り上がって、貴族たちは号令を上げ始めた。

 私の指揮というより、家臣たちの力ではあるのだが……他の貴族には、私の功績として伝わってしまっているのだろう。


「アルス様の名声も、だいぶ高まってまいりましたね。一声で皆を納得させるとは。僕からすると、もっと高くないとおかしいですけどね」


 その様子を見て、リーツは何だか嬉しそうだった。

 それから軍議は進んでいく。

 基本は籠城で守るが、相手には新兵器があって、それを使われると城壁を破壊され、籠城戦の強みが活かしづらい状況になるようだ。


 話を聞く限りだと、手榴弾のような魔道具らしい。


 前のルンド城での戦の時に、敵は使っていたようでかなり苦戦したようだ。

 飛行船をうまく使って、手榴弾もどきを持っている部隊を減らさなければならない。

 不安要素も多い戦ではあるが、城攻めは攻める方が不利な上、こちらには飛行船もある。

 敗北する確率は低いはずだ。


「敵が攻めてくる前に、迎撃態勢を整えるぞ。戦の準備を1秒でも早く始めるのだ」


 私の号令に貴族たちが歓声を上げた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
こちらの歴史で言うと勇敢なエリート兵で構成される擲弾兵のような精鋭部隊がいる?かなり手強そうですね。
更新ありがとうございます。 エレノアがどれほどなのかが、やはり今後の展開を左右しそうです。防衛戦のうえ、ロセルやマイカの軍師達に加え、リーツを始めとした武人達が揃っているので、そうそう負けるとは思いま…
そろそろ戦術眼スキル登場でしょうか?戦術的には勝てないでしょうから、アルスがどうやって戦略的に勝つもしくは引き分けにもっていくのかが楽しみです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ