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のんべんだらりな転生者~貧乏農家を満喫す~  作者: 咲く桜
第4章 帝国お家騒動編
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ep.91 バトルメイド部隊

SIDE:アルフレッド


主様から与えられた本格的な任務は、保護した少女たちの世話をすることですか。


実質的な作業はルナ様とヨミ様がやられるそうなので、方針と方法を聞いてそれにアドバイスと補助をするのが主な役目でしょうか。


いずれにしても、主様の御期待以上の成果となるように張り切ってみましょう。


「ルナ様とヨミ様はこの少女たちをどのようにしようとお考えですか?」


「ルナ、私が話すわね。私たちが考えたのは保護はもちろん、メイド部隊の創設です。現状、私とルナがアウル様の婚約者となれたことから、従者的存在がいなくなってしまいます。それにこの娘達をギルドに引き渡しても、帰る場所がないと、娼婦になるくらいしか生きていく道はありません。だったら、私たちがアウル様に拾ってもらえたように、私たちもこの娘達を助けたいと思いました」


なるほど、主様の人を見る目はかなりのもののようですね。人間にも心根がここまで綺麗な者がいたとは驚きです。


「それに、これから先ずっとメイドをしてもらうわけではなく、選択肢も用意します。メイド仕事に加えて冒険者ギルドに登録させます。成長するまで面倒を見ればひとりで生きていくことは可能ですしね」


そこまで考えていたとは、さすがは主様の婚約者といったところでしょうか。ただ、本当にそれだけなのかは怪しいところですがね。


「私からヨミの説明に補足すると、メイドとしても冒険者としても活動することで生きる力を養いつつ、精神的にも強くなってもらおうと考えています。…あんな扱いをされた後で、きっと男性が怖いでしょうから」


あんな下品で粗野な者に、物のように扱われては心も疲弊しているにも間違いないでしょう。


助言をしようと思いましたが、ほとんど口出しをする点はないですね。


「あとは彼女たちの意思次第、ということですね?」


私たちがなにかを考えても、彼女達自身にやる気がなければ全く意味がないのだ。そこについてはどう考えているのでしょうかねぇ。


「そこについては全く問題ありません。だって、ご主人様のご飯を食べてがっしりと胃袋を掴んでいますから」


「ふふ、アウル様は善意と親切心で美味しいご飯を振舞ったのでしょうけど、あんなに美味しいご飯をこのタイミングで食べさせられたら、あの味を忘れられないでしょう?」


なるほど、確かにそうですね。主様の作る食事は別格に美味しいものばかりです。


かくいう私もその虜になっているのですから、その気持ちは痛いほどわかります。


そのうえで、彼女たちがメイドをやめたいとなったときは、送り出してあげるということでしょう。


なんとも甘くお人よしな気がしますが、私もそんな考えは嫌いではないですね。


「なるほど。方針は分かりました。では具体的な方法ですが、どのようなものをお考えですか?」


育て方にもいろいろありますし、なんでしたら私が直接鍛えて差し上げてもいいのですが、人間にはやや厳しいものがあるかもしれませんね。


「それについても問題ありません。私たちがご主人様から鍛えていただいたように、同じ方法をとろうかと思います」


「アウル様の方法であれば短期間での育成が可能ですからね」


ほう!主様の育成方法も気になりますね。一体どのような方法なのでしょうか?


「「それはですね―――」」



ルナ様とヨミ様から聞いた方法は、私が考えている以上に壮絶な方法でした。


主様はあんな顔をしながら、中身は鬼畜といっても過言ではないのですね…。


ルナ様とヨミ様はまだ戦闘の経験があったからよかったものの、ずぶの素人を迷宮に放り込んで強制的に強くしてしまうとは…。


基礎練習や体力強化を無視し、実践のみで強くしてしまおうというスパルタ方式とは。


…たしかに短期間での成長は見込めるでしょうが、命を落とす者や心が折れてしまう者が出てもおかしくない方法です。


「では、私はそのレベリングというものの補助をすればよいのですね?」


「そうなります。私たちはアウル様の傍に交互にいるようにしますので、その間に彼女たちを鍛え上げる予定です。幸いなことに帝国にはナンバーズ迷宮No.7がありますから、黒武器と一緒に成長してもらおうと思います」


黒武器ですか。また懐かしい名前ですね。私が育てたあの武器は今頃どこにあるのか…。まぁ、また一から育てるのも一興ですか。


「分かりました。今日のところはここでゆっくり休むこととして、明日冒険者ギルドに登録して、迷宮へ行くことにしましょう」


戦闘もこなせるメイド部隊ですか。なかなか面白そうなことになってきました。バトルメイド部隊とでも呼びましょうか。


ふふふ、腕が鳴りますねぇ。






SIDE:アウル



憂鬱な気持ちと言うのはすぐに晴れるものではない。ひとまず、スラムにいた裏の人間たちについて皇女に報告すると、どこか得心がいったような反応だった。


「―――以上が報告です。なにか心当たりは?」


「…推測になりますが、思い当たる節はあります」


「それは聞いても?」


「かまいません。…帝都に来る途中、盗賊たちが言っていたことを覚えていますか?」


それは覚えている。第三夫人によく似た特徴のある人物から、俺たちの情報を得たという話だったはずだ。


「それが今回に関係していると?」


「おそらく…。盗賊で私たちを消すはずが、それに失敗したから闇ギルドへ私たちの暗殺を依頼したのではないかと考えています」


筋は通っている。通っているのだが、現時点で判断するのは早計な気がするな。


なんというか、上手く話が出来過ぎている気がしてならないのだ。


分かりやすい特徴を隠しもせずにそんなミスを犯すだろうか?第三夫人はかなり勘の鋭い人に見えたのに、分かりやすい証拠を残すとは考えにくい。


「…なるほど。まだ判断するには証拠が少ないから、この件は一旦保留ということにしておこう。ただ、俺たちもリリーも闇ギルドに命を狙われているのは確実だ。だから、警戒と油断だけは絶対にしないようにしておく。護衛もつねに傍に誰かいるようにしておこう」


「ふふふ、ありがとうございます。アウルがお風呂にも寝室にも来てくれるということですか?」



俺をからかうような態度で言ってくる皇女は、年相応の少女にしか見えない。


こんな少女が国を支えていると思うと、本当に頑張り屋なのだと感じる。


一刻も早くこの事件を終わらせて、安心させてやりたいものだな。


「いやいや、それは流石に許してくれ。風呂にはルナかヨミを同行させる。プライベートもあるだろうから、寝室では不審な気配が無いかだけ確認させてもらうよ」


「ふふふ、わかりました。・・・ちぇっ、アウルなら私は大丈夫なのに」


皇女よ、最後の小声は独り言なのだろうが、全て聞こえているからな?もしそれを狙ってやっているならあざとすぎるぞ。


「じゃあ、捕らえたやつらは騎士団に引き渡しますので、騎士団にここへ行くように伝えてください」


「・・・スラムですね。わかりました」


皇女が人を呼んで指示を出したので、間もなく騎士団が動き始めるだろう。


ちょうど公務も区切りがついたらしく、今日のところは寝るらしい。気配察知や空間把握をしても特に気になる点はないし、とりあえずは安全だろう。


取り急ぎ伝声の魔道具でルナとヨミに騎士団がいくことを伝えた。ついでにアジトにある金や魔道具、財宝は収納しておくように指示した。


あと、攫われていた娘達が騎士団にみつからないようにも言っておいた。見つかったらそれの聴取とか面倒だしね。


裏グループを一つ潰したんだから、これくらいは許されるだろう。というか許してほしい。


「すまない、あと闇ギルドについて知っていることがあれば教えて欲しいんだけど、何か知ってる?」


「・・・闇ギルドは帝国が抱えている厄介な膿の1つです。お祖父様、現上皇の代でも滅ぼすことが出来なかったほどの巨大組織で、あの邪神教すらもちょっかいをかけない程の組織です。闇ギルド自体の存在は公になっているのですが、拠点がどこにあるのかも含めて詳しい情報は一切表に出てきません。アウルの捕まえたという者達も詳しいことは知らないでしょう」


そこまで巨大な組織だというのに、全くと言っていいほど情報が無いと言うことはそれなりの地位にいる何者かが情報を高い水準で隠蔽している、もしくはかなり統制のとれた組織であるのどちらかだろう。


どちらの場合にしても厄介なのは変わりない。他国の貴族を相手にするなど面倒ごとのタネでしか無いのだ。もし統制の取れている組織だとしてもそのトップや幹部クラスは相当キレるやつなのだろう。


でなければ、一国が手を焼くような組織になれるとは思えないからな。


一番厄介なのは貴族が隠蔽しつつ、組織のトップ達が有能である場合だ。・・・まさかね。さすがにこれは考えすぎか。


「・・・俺の方でも情報は集めてみるから、何か分かったら教えて欲しい。あと、命を狙われているんだから、無理はしないでくれよ?」


「ふふっ、アウルが守ってくれるんでしょ?」


「それはそうだが・・・」


お転婆な皇女様だな。ひとまず今日は俺も寝るとしよう。明日は上皇への面会を申し込んで闇ギルドについて聞くとしよう。


あとはルナとヨミ達が彼女たちをどうするかを確認しないとなぁ。アルフがついているから変なことはしないだろうけどね。


色々あったけど、今日は寝るとしよう。




SIDE:闇ギルド


「あいつらは対象の排除に失敗したようです」


「あいつらは元々処分するつもりだった奴らだ。特に情報を知っているわけでもないしな。だが、あいつらでも少しは役に立ったじゃないか。対象の実力は知れた。いかなる手段を使っても良いからあの子供と女2人を早急に消せ」


「畏まりました」


あの方からの今回の指令には驚かされたが、これは闇ギルドとしても賭けになりそうだな。さぁて、ひとまずお手並み拝見と行きましょうか?

今後もゆっくりと更新します。

評価・ブクマ等して貰えたら嬉しいです。



バトルメイド部隊の詳細については、近いうちに【外伝】のほうで書く予定です。


皆様のおかげで【ネット小説大賞】受賞しました。双葉社様にて書籍化させて頂きます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 散々やる事やってたんだから、妊娠してる娘が何人か居ると思うけど、そういうのはこの世界どうするんだろうね? アメリカみたいに堕胎は禁止、みたいな法律があるのかな。
[一言] バトルメイド部隊 良い響きですね(๑˃̵ᴗ˂̵)
[一言] あれ?第一皇女放置プレイ続行中? まあ、飼い主の責任として帰る時は連れてかないとな ・・・バトルメイド候補生の中にしれっと混じってたりしない?
感想一覧
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