木の大精霊
「なぁ、また今度闘ってくれよな!?
次はオレ様も元の姿で、本気出すから!!」
「……お前、懲りてないのか?」
「次は絶対、あれを受け止める!!!」
「……だそうじゃ、水殿。
遠慮なく、ぶちかましてやってくれ。
妾が許す」
「いや……、あれでも手加減したんだぞ?
弾速も半分以下だし」
「……マジか、大精霊?」
「本当です、ヒエン様。
ソーマはあれで、城塞1つを消し飛ばしたので……その……」
「直撃すればいくら竜でも消し飛ぶじゃろうな、ヒエン?」
「うぉーーーー、マジかーーーー!!!!」
「なんで喜ぶんだよ……?」
その翌朝からの道程は、もはや騒がしいだけの森林浴になっていた。
【完全解癒】をかけてヒエンの無事を確かめた後、全員に一礼してエルベ湖に帰ったシムカを除く俺たち4人は、ムーの先導のもとカミノザをどんどん奥へと進んでいく。
ムーが言った通り一切の魔物は出てこなくなった上に戦闘狂の木竜も随伴しているので、俺にもアリスにも緊張感というものはほとんどなかった。
歩くこと、丸1日と半。
いつの間にか、周囲から動くものがほとんどいなくなっていることに俺は気がつく。
無数の木々と植物だけが静かにざわめく景色の中で、にぎやかなのはヒエンの声だけ。
そして、肌に感じるほどの存在感。
巨大で、圧倒的。
しかし、とても静かな。
俺とアリスは、前方からそんな莫大な魔力を感じ始めていた。
「着いたぞ、水殿」
「ただいま、ジジィ!!」
やがて、木々の間から前方の景色が大きく開ける。
……大精霊。
この世界の根幹たる魔法を成す、7属性の精霊の長。
しかし、創世の大精霊と呼ばれる時の大精霊と命の大精霊は、この世界の最古の歴史書にすら名前や姿は記されていない。
そして水の大精霊たる俺を除けば、残りは4柱。
すなわち……。
火の大精霊、エンキドゥ。
550年前に『浄火』と呼ばれる魔人と契約し、世界の半分を焼き払った赤竜。
水竜シズイの夫であり現在は俺の下にいる火竜サラスナの本来の主人。
ネクタ大陸のさらに南西、自らが焼き尽くした『死大陸』バンのどこかで今も眠り続けるという、時と命を除く5柱の中ではおそらく最強の大精霊。
土の大精霊、ガエン。
その齢1800年以上を数えるという「アダマン」、巨大なカメのような姿をした魔物。
サリガシア大陸の北の外れ、霊山アトロスで眠り続ける陸上では最大の生命体。
そして、土属性の精霊としか契約できない全ての獣人にとっての、守護神たる大精霊。
風の大精霊、レム。
俺を超え、約660万という世界1位の魔力を誇る『声姫』、そのフリーダと契約する、千年鳥という白い渡り鳥。
5年前に風竜ハイアに乗ったフリーダと共にサリガシアの3王国を襲い、わずか1日で大陸1つを服従させ。
それ以後はエルダロン皇国と同じく沈黙を続ける、謎めいた小さき大精霊。
そして。
木の大精霊フォーリアル。
この世界の全ての植物の王であり、創世後の最も早い時期からこの世界を見つめ続けてきたという、5属性では最古の大精霊。
アリスを含む、全ての森人と木属性魔導士が信奉する現神。
たとえ木属性以外の精霊と契約している森人でも、自分たちの王として崇める大樹。
「よう参ったのう、水の大精霊殿。
……そして、アリス=カンナルコや」
森人が住むネクタ大陸、その神域であるカミノザの深奥。
深く、濃い緑色の森の中に君臨する、見事な巨木。
葉のざわめきに混じって天から降り注ぐのはイメージに反して非常に軽い、好々爺といった調子の老人の声。
「儂がフォーリアルじゃ」
カミノザの深奥。
その森の中に君臨する、最古の巨木。
彼こそが木の大精霊、フォーリアルだった。
「……当代の水の大精霊の、ソーマ……だ」
「……お、お初にお目にかかります。
カミラギのカンナルコ家の次女の……ア、アリスです」
「ふむ」
それはとにかく、大きな木だった。
幹の直径は8メートル強、樹高は40メートル近いだろうか。
亜熱帯なのだから常緑樹なのであろうその姿は、強いて言えばスギに似ていたが、現世で該当する植物が何なのかは俺にはわからなかった。
その威容を見上げる俺にわかるのは、フォーリアルが。
生物としても、そして同じ大精霊としてもはるかに格が上の存在なのだろうということだけだ。
隣で頭を下げたままのアリスにしても、声が震えているのは単純な緊張だけではない。
赤茶色の土をしっかりと捉える、太く張り巡らされた根。
2千年以上の悠久の時間をその肌に重ねて尚、力強く天へと伸びる幹。
周囲、曇天の空を完全に覆い隠してしまうほどに茂った枝。
そして深く、とても濃い緑色。
アリスの瞳と同じで美しく……そして優しい緑色の葉。
……大きい。
植物と言うよりはもはや建築物に等しく、しかしそんなこととは関係ない意味での「大きさ」。
最古の大精霊の、その堂々たる威容。
畏怖と、畏敬。
ガブラにも、巨大ハエトリグサにも、盗賊の集団にも。
竜魚にも、船喰にも、木竜にも。
そして4万人の軍勢にも、2つの国家にも臆することなどなかった俺が。
言ってしまえば1本の大木に過ぎない、しかし偉大な存在であるそのフォーリアルの姿には、圧倒されてしまっていた。
「ふぉ……2人とも、そう緊張するでない。
別段、獲って食おうというわけでもないし、ヒエンのように喧嘩を楽しめるほど若くもないのでの」
「……ああ」
「は、い」
窘めつつもその木竜の若さを愛でるように笑ったフォーリアルの声で、その場の空気と同様に、俺とアリスの肩に入っていた力は少しだけやわらかなものになる。
しなやかで軽やかな、まるで老人が幼い孫をあやすような慈愛を内包した声。
正面の巨木から降り注ぐそれに、一切の悪意はない。
ただひたすらに、それは優しかった。
「ネクタへの入区に際して、色々と面倒をかけて申し訳なかった。
あらためて、感謝する」
「あ、ありがとうございました!」
「ふぉふぉ、……よい。
森人たちの決まり事に横槍を入れる形にはなってしまったが、そうでなければどれだけの時間がかかったかわからんからのう……。
とりあえずはアリスを守り……、そうじゃの、ヒエンと遊んでやってくれたことで帳消しとしておこうかの」
「ああ、楽しかったぜ、ジジィ!
水の大精霊、めちゃくちゃ強かったよ!!」
「ヒエン、控えよ。
父上は、水殿とアリスと話すために妾とお前を遣わしたのじゃ。
邪魔をするでない」
「ふむ……。
ヒエンや、これから儂と水殿、そしてアリスは大切な話をするのでのう。
しばらく、周りを見て回ってきてくれるかの?
……ムーや、お前たちもじゃ。
お客人に余計な気を遣わせるせるわけには、いかんからのう」
「わかりました、父上」
「おう!
……じゃーまた後でな、大精霊、アリス!!」
「……ああ」
「妾も失礼する」
「は、はい」
手をヒラヒラと振りながら森の中へ消えていくヒエンと、軽く会釈して姿を消したムー。
木の大精霊の前には2人に目礼を合わせた俺と、それぞれ深い礼を返したアリスだけが残された。
「さて、水殿や」
「何……だ?」
2人の気配が消えて、数分後。
おもむろに声を響かせたフォーリアルは、じっとその巨体を見上げていた俺を指名した。
自然と敬語になりかけたが、俺は一瞬迷った後に普段通りの口調で話すことにする。
木の大精霊と、水の大精霊。
生き物としての格に違いはあれど、その立場では対等な存在のはずだからだ。
「単刀直入に聞くが、このネクタに何をしに来たのかのう?」
どうやらその考え方で問題はないらしく、フォーリアルからはごく軽い調子で根本的な問いかけがなされた。
家から出かけるときにたまたま出くわした隣の家のご老人から、どこに行くのか、と聞かれるような。
その声の調子は本当にやわらかく、軽いものだ。
だから俺も素直に、そして正直に返す。
「アリスの両親に挨拶をするためと、上位精霊との契約を見届けるため。
そして、ウォルの領主としては、ネクタの森人たちと交易と友好の。
水の大精霊としては、あんたと対等な盟約を結ぶため……だ」
個人的な理由と、社会的な理由。
そして俺とアリスの目的に欠かせない、根源的な理由を。
「ほう……?」
「……」
「……」
サワサワ、ザワザワと葉を揺らしながら、フォーリアルはまるで溜息のような相槌をついた。
俺もアリスも、そこに込められた感情を読み取ることはできない。
「……ふむ」
数十秒の沈黙の後に、フォーリアルは静かに口を開いた。
「……『盟約』ということは、いずれどこかで戦でも起こすつもり、ということなのかのう?」
「違う、むしろその逆だ。
俺とアリスは、この世界からの戦争の根絶を狙っている。
もちろんそのために戦うことはあるかもしれないが……、あんたにはそれを黙認してもらいたい」
戦争の根絶のための戦争を起こす、可能性。
これを、俺はあえて明言した。
武力、財力、権力。
軍事、文化、経済。
侵攻、自滅、暗殺。
どの手段であろうともそれが結果として最もリターンが大きく、そしてリスクが小さくできる手段ならば。
俺は、躊躇うつもりはない。
「戦争の根絶……か」
もっとも、やや重々しく言葉を漏らしてまた沈黙に入ったフォーリアルも、1滴の血も流さずにそんな偉業が実現できるとは考えていないだろう。
2千年に渡る、創世から現在に渡るまでの無数の戦い、それこそ550年前の『浄火』による世界半焼や、6年前の『声姫』によるサリガシア制圧。
それどころか、カイラン大陸におけるアーネルやチョーカのそれぞれの統一や、フリーダに制圧されるまで続いていたサリガシアの内戦、その他全ての戦いの歴史を見てきたはずの木の大精霊は、まだ若い俺の言葉に何を思うのか。
「……」
「フォーリアル様、私たちは……」
フォーリアルは、口を開かない。
その空気に耐えきれなくなったアリスが、緊張しながらも声を振り絞ろうとする。
私たちは本気なのです、と。
「……よい、アリス。
水殿とお前さんが本気なのだということは、目を見ればわかる。
同じようなことを言っておった者も、過去に……何人も見ておるしの」
「……」
「……」
が、アリスがそれを言いきる前に、フォーリアルは自身の沈黙を破った。
その言葉には悠久の時間を眺めてきたが故のやわらかな密度と、そして確かな実感が込められている。
祖父が孫を諭すような、そんな穏やかなフォーリアルの声は静かに続いた。
「……ただ、その誰よりもお前さんたちは強い。
水殿だけではなく、お前さんもじゃ、アリス。
そして、強い力にはそれなりの責任が伴うということも、お前さんたちならわかっておるじゃろうの?」
それは口調こそ軽やかではあったが、厳然とした内容のものだった。
確認と確信。
そこに、邪な感情は、そして甘えを許す感情も一切ない。
「……はい、もちろんです」
「まぁ……な」
「……ふぉふぉ」
黒い瞳と、緑色の瞳。
やや気圧されつつも、しかし本心から。
それぞれ真っ直ぐな視線でそれに答えた俺とアリスには、葉のざわめきと共に慈愛に満ちた笑みが降り注いでいた。
「……水殿、ネクタに来てどう思った?」
「……うん?」
「森人たちと友好を結びたいと言っておったが、その森人たちのことをどう思った?」
「そうだな……」
明確な答えを示さないまま、フォーリアルは俺に問いを重ねた。
そこに極わずか、何か恣意的な。
……そう、何かを期待するような感情を読み取った俺は、努めて率直な感想を返すことにする。
2千年を生きた格上の大精霊相手に、流石に腹芸を試みるつもりはない。
俺の感想を正確に伝えることが、この場での正しい回答なのだろう。
……よって。
「悪い意味で、過信しているな。
プライドの高い世間知らずだ」
一切の遠慮も容赦もない、率直な感想を俺は述べさせてもらった。
排他的で閉鎖的、そして根拠のないプライド……。
実際のところ、もしもアリスが森人でなかったならば、おそらく俺はネクタを最後の最後まで放置していたはずだ。
「……」
「ふぉっふぉっふぉっ!
容赦がないのう!」
当のアリスも家族の説得に失敗した末の家出、という実績があるため、完全な無表情という形で俺の言葉を追認する。
おそらくはその様子を窺いながら、フォーリアルは盛大に笑っていた。
「……半分くらいは、あんたらのせいでもあるだろう?」
そんな木の大精霊を見上げながら、この際思うところは全て言っておこうと、俺は一言付け加える。
「ソ、ソーマ……」
これには流石に、アリスも顔色を変えた。
しかし、咎めるようなアリスの声を、俺はあえて聞き流す。
自身を信奉する森人たちの欠陥を認め、そして笑うくらいなら。
何故、それをずっと放置していたのか。
言外にそう問い質しながら、俺は若干だけ瞳を細めてフォーリアルからの言葉を待った。
「ふぉふぉ、本当に容赦がないのう」
当のフォーリアルは苦笑、といったような種類の感情をその声に込める。
「じゃが、確かに否定はできんのう……」
そしてそこには、さらに苦いものが混じり始めていた。
「儂が生を受けて2千年以上、このネクタは他のどの大陸よりも命に恵まれておった。
それこそ、他の大陸との交流や交易をする必要もないほどにの。
森人たちはわざわざ危険を冒してまで海を渡る必要はなかったし、わざわざ不安を抑えてまで他の種族をこの地に迎え入れる必要もなかった。
何より、森人たち自身がその生き方に満足し、良しとしてしまった」
食うに困らず、不足も起きず。
必然、誰も争わないという、恵まれ過ぎた環境。
しかしその恵みこそが、異なる文化を持つ他種族を必要としないという猛毒を生んでしまったのだと、フォーリアルは溜息をついた。
「そして、ここから動けぬ儂と、儂を慕う子供たちの存在が。
……それに拍車をかけてしまったことも、確かに要因の1つではあるじゃろうの」
そんな森人たちの絶対の守護者であり、絶対の法則である木の大精霊と、上位精霊の存在。
彼らがそれを黙認していた結果、閉ざされた空間の中で森人たちの抱えた毒は、いつしか一朝一夕では解かせぬほどに強固なものになってしまったのだろう。
「……」
森人たちが信奉する木の大精霊が、森人の今の在り様を否定した。
そのことに少なからず衝撃を受けているアリスに、その大精霊からはそれを包み込むように優しく、そして憂い。
何かを省みるように、言葉が向けられた。
「アリスや、覚えておくといい。
このネクタの森林がこれだけの繁栄を保っておるのは、それを成す全ての命が常に周囲を見渡し、恐れずに変化し、迷いながらも成長し続けてきたからじゃ。
そして、それを怠ったときから種の滅亡は始まる。
気付き、迷い、悩み、傷つき、痛みを知るからこそ、命ある者は成長できるのじゃ。
それを恐れ、そして忘れてしまった種はどんな存在であれ、いずれ必ず取り返しのつかない失敗をしてしまう……」
流れることをやめた水が澱み、いずれは腐ってしまうように。
他者との交流を断ち、それに疑問も覚えないような環境に慣れてしまえば、人間や社会は腐敗する。
社会で生きる人間にとって「知らない」ということは恥で済むが、「知ろうとしない」ことは罪なのだ。
「己だけのことを考える者に、真の意味での繁栄と安寧は訪れぬ……。
お前さんたちより遥かに永い時を生きた、儂らからの忠告じゃ」
それを諭すフォーリアルの言葉には、自身の恥と罪を認めるが故の重さが宿っていた。
「……水殿。
盟約の件じゃが、受け入れるに際して1つ条件を出させてほしいんじゃがの?」
「……何だ?」
数秒の沈黙を挟んで、フォーリアルはやや改まった声を発した。
俺とアリスも姿勢を正し、それに応じる。
何となくだが俺には、そして多分アリスにも、フォーリアルからの条件が何なのかは予想がついていた。
「森人たちが外の世界に目を向け、成長の必要を感じなければならないように、儂に力を貸してほしい」
「……あんたが直接、森人たちにそう命じるのが一番手っ取り早い気がするんだが」
なので一応、方法論として最短の解答は示しておく。
ただこの場合は、最短であることが最善であるとは限らないのだが。
「ふぉ……、それは成長とは言わんのう。
自分自身が不足しているということに、あくまでも自分自身で気付かさねばならぬ。
……無論、平和的な手段でじゃぞ?」
フォーリアルも同じ意見だったらしく、俺の案はすぐに却下された。
それから最後の1文に明らかに不安そうな声が混ざったのは、聞かなかったことにしておく。
恋人の故郷なんだから、いくら俺でも手段は選ぶに決まってるだろうが。
「……すぐには無理だぞ?」
気付き、迷い、悩み、傷つき、痛みを知るからこそ、成長できる。
フォーリアルの言葉を反芻しながら俺は幾つかの案を検討し、目先の期限さえ設けなければ何とかなるだろうと判断した。
まぁどの道、今すぐできることはあまりない。
そして、これは急激に変えられるようなことでもない。
「ふぉふぉ、それでよい。
……まだまだ、時間はあるのじゃからな」
フォーリアルも、軽やかな笑みでそれを肯定した。
「……わかった。
当代の水の大精霊の名において、約束する。
偉大なる木の大精霊、フォーリアル。
ネクタの為に、この力を尽くそう」
「ふむ、……なればこのフォーリアル。
木の大精霊として、水の大精霊殿と共に歩むことを約束しよう。
……この世界を変えてみせよ、水殿」
見上げる俺とフォーリアルの間で、静かな。
しかし確かな言葉が交わされる。
「ああ、見せてやるよ」
「ふぉふぉ、……楽しみじゃのう」
こうして、水の大精霊と木の大精霊。
俺とフォーリアルの間で、静かな盟約は結ばれた。
「さて、待たせたのう、アリス」
「い、……いえ」
数秒の間をおいて、フォーリアルは俺の隣で胸を撫で下ろしていたアリスに声をかけた。
突然の指名にアリスは体をピクリと震わせ、一気に緊張感を高める。
フォーリアルの葉と同じ色の瞳には木の大精霊を畏れつつも、しかし強い意思が満ち始めていた。
「儂の子供たちとの契約じゃが、お前さんの力と強さについては申し分はない。
あとは、お前さんの『心』じゃ」
「心……」
「そう。
お前さんは……」
改まったフォーリアルが、アリスに何かを言いかけた瞬間だった。
「「「!!!?」」」
北西の、はるか後方の空。
カミラギの方角で、激しいまでの光が爆発する。
紫と。
白と。
……黒。
それはミレイユのときと同じ。
何か強大な存在がこの世界に召喚された、時属性の魔法の光だった。




