グロー・アップ 後編
「そもそも魔法とは、『魔をもってこの世の理を捻じ曲げる法』のことです。
皆さんの魔力とイメージを糧に、我々精霊がそのイメージ通りに理を曲げる……。
これが魔法であり、そのイメージの伝達手段によって魔導と霊術という区分が成されているに過ぎません」
ウォルの居住区から、約600メートル。
俺の【白響剣】とアリスの【腐植】で森林の一部を造成した修練場には、俺とアリス、ミレイユと10人の子供たち。
さらにギルドを通して新しく雇用した、イングラムとキスカという2人の獣人。
そして、その全員の前で朗々と語るシムカがいた。
班長たちに血を飲ませ、村の人口が増えてから半月ほど。
今日は魔法の実技授業の、記念すべき第1回目である。
「……あの、ソーマ様……。
やはり、私ごときが当代様を前に魔法を語るというのは、不敬ではないかと……」
「いい、続けろ。
……お前ら精霊側からの話の方が、多分理解しやすいだろうから」
「確かに新鮮な経験で、私としても参考になる。
お願い、シムカ」
「……かしこまりました」
「ふふふ、何事も基礎となる原理を理解してこその応用ですわー。
皆さん、貴重な経験なのですからしっかりと聞いておくのですよ?」
「「はい、先生!」」
指をお腹の前で緩く組んで凛々しく直立し、朗々と語っていたシムカではあるが、最初の1節を終えた段階で困惑した表情を俺に向けてきた。
サーヴェラやアンゼリカたちと同じく、俗に言う体育座りでその透明の姿を見上げていた俺が続きを促し、その隣で同じ姿勢をとっていたアリスも深く頷くと、渋々といった風にまた顔を前に戻す。
まぁ、自分の主人である大精霊の眼前で魔法の講釈を命じられるなど、シムカからしたらたまったものではないのだろうが、ここは大人しくあきらめてもらいたい。
これには、……やむにやまれぬ事情があるのだ。
俺が謝罪と自虐を隠しつつ不遇な特別講師にそれらしい理由を申し述べる後ろ、両膝を三角形にして座る12人の背後で、下げた腕の両肘を掌で包み込むように組みゆったりと立っていたミレイユが、いつもの調子で子供たちの気を引き締めさせた。
豊かな胸の上半分と白い肩を晒し腰骨あたりまで左右にスリットが入った黒いドレスに、同色のショートブーツと指を抜いた肘までの手袋。
ほぼ毎日のことではあるが、夜の歓楽街で催される不健全なパーティーに行く高級娼婦でもしないような、教育上よろしくない服装の吸血鬼が極めて教育的な台詞を吐き、また子供たちがそれに一糸乱れず応える様を見ていると、教育とは何か、という根本的な問いが俺の頭の中で湧き上がりそうになる。
いつも適当にはぐらかされるミレイユの転移前の経歴は、ある意味でアリス以上に意外なものなのではないだろうかと、最近の俺はにらんでいた。
水属性では最古の上位精霊。
その主人の大精霊こと『魔王』。
そのパートナーで世界3位の魔導士である『魔王の恋人』。
『魔王』の配下にして指名手配犯の『鬼火』。
その庇護を受ける元奴隷及び元採掘集落民で、今は全員が精霊と契約を交わした魔導士である10人の子供たち。
ある意味でウォルの日常と言えるような光景が、濃い緑と豊かな土の香り、沢のせせらぎと遠巻きにこちらを覗いている何羽かのノウサギに囲まれつつ、穏やかに展開される中。
しかし一方で、そこに全く溶け込めていない人間もこの場にはいた。
「イン姉イン姉、凄すぎるよね、この状況?
キスカちゃん、こんなの見たことないよ?
このお仕事、報酬もいいけど結構面白そうだよね?」
「キ、キスカ、黙ってなさい……!
あ、ああ、すみません、すみません、静かにしてます!」
「……いえ」
ミレイユの右斜め後ろ。
つまり、こちらに正対しているシムカを中心に扇状に座っている俺たちのかなり後ろでおろおろとキスカを叱り、今は俺とシムカに平身低頭しているイングラムは、エレニアと同じネコの獣人だ。
白に近い金髪は緩いポニーテールにまとめており、黒い毛に覆われたネコの耳は元々そういう形らしく、いつもくしゃりと折りたたまれている。
やや垂れ気味の黄緑色の瞳は19歳にしては気弱そうで、喜怒哀楽のはっきりしていたあのバカネコとは、また違ったタイプのようだった。
一方のキスカは、一見して何の獣人なのかわからない。
種族名を聞いてもピンと来ないし、ショートにした黒い髪で隠れる程度の耳の動物となると候補が多すぎた。
朱色の瞳はイングラムとは対照的に鋭く、そして常に不敵な笑みをたたえている。
12歳という年齢を勘案してもその体躯は小柄で、小さな口の両端はニマリと上げられていた。
年相応の遠慮のない好奇心に満ちた朱色の視線と、その持ち主の小さな頭を押さえつけながら半泣きになっている黄緑色の視線。
それを受け止めたシムカはしかし、無言のままにその透明な視線を2人からそらす。
森林を流れる沢の水で構成されたその顔の表情は沈黙を貫いたまま、何もない、造り物のような「無」を表していた。
「それでは、まずは魔法が発動する過程からですが……」
やがて数拍を置いて説明を、歴戦の老教師のように再開したシムカの声は背筋が伸びるほどの厳しさと、硬質な気真面目さを内包していたが。
しかし、それはどこか……優しさを感じさせるものでもあった。
1……引き起こす現象のイメージと、そのために費やす魔力の量を決定する。
2……契約詠唱で、そのイメージと渡す魔力の量を精霊に伝える。
3……魔法名詠唱で精霊に魔力を渡し、精霊がそのイメージを具現化する。
シムカの説明を要約すれば魔法が発動、つまりイメージが具現化するまでのプロセスはこの通りだった。
上位精霊と契約している場合は契約詠唱が省略、もしくは不要になるらしい。
ただし、それなりに仲良くなっておく必要があるそうだ。
霊術の場合は、契約詠唱の代わりに霊墨で霊字を描く魔法陣を用いる。
外国人とのコミュニケーションと同じで、言葉が通じない相手に絵文字で意思を伝えるという、あらためて考えてみれば単純な方法論なわけだ。
尚、霊術よりは魔導が、ただ精霊と契約しているよりは上位精霊と契約している方が、同じ魔法でも基本的に威力は上がり必要な魔力は下がる。
筆談よりは一方通行の宣言の方が、一方的な宣言よりはお互いに意思疎通した方が、確かにそのイメージは伝わりやすいだろう。
ゲームの協力プレイでアルゴリズムに沿って動くNPCとのプレイと、互いに会話しながらリアルタイムでコミュニケーションをとれるPCとのプレイとではその成果や効率が違ってしかるべき。
つまりは、そういうことである。
「したがって、皆さんが練習するべきは『明確にイメージすること』と『魔力の量を体感で理解できるようにすること』。
そして、『その2つを正確に精霊に伝えること』となります。
後は習熟して、その精度を上げていただくしか……ございません。
……精霊として私がお伝えできるのは、この程度かと」
「うん、よくわかったシムカ、ありがとう。
面倒をかけて悪いが、……もう少し付き合ってくれ。
……よし、ここからは属性毎の説明と練習に入る!
水属性はシムカ、火属性はミレイユ、木属性はアリス、土属性はイングラムとキスカから、それぞれ指導を受けろ。
アンゼリカは、俺とだ。
……アリス、ミレイユ、後は任せる」
一礼したシムカに礼を言いつつ、俺は立ち上がって全員を見回した。
ここから先はそれぞれの魔導士に付いて、個別に学ぶことになる。
どうせこの場にいてもあまり役に立たない俺は、アンゼリカの付添だ。
「「はい!」」
「……かしこまりました」
「承りましたわー、旦那様。
それでは、ロザリアちゃんとタニヤちゃんはこちらですわー」
「いってらっしゃい。
……ランティア、ニア、ガラ、こっちに」
「え、えっと、ではネリスさんと、ヨークさん……でしたっけ、こちらへ……。
……えっ、ネルさんと、ヨーキさんですか!?
す、すみません、すみません!」
「んっふっふっふ~、ビッシバシ行くからね?
イン姉はともかく、キスカちゃんは厳しいからね?」
興味津津に金色の瞳を輝かせるサーヴェラと逆に若干ぼーっとしたところのあるルーイーに挟まれて、やや困惑した表情を浮かべるシムカ。
すれ違うアンゼリカの頭をふわりと撫でた後、普段の調子でテキパキと授業を始めるミレイユ。
俺とアンゼリカに小さく微笑んだ後、静かな表情に戻るアリス。
土属性の精霊と契約できた2人の名前を間違えて、逆に生徒に平身低頭しているやはり半泣きのイングラムと、その隣で腰に手を当てて平坦な胸を張るキスカ。
「じゃあソーマ様、よろしくお願いします!」
「よし」
新たに付け加えられる、ウォルの日常。
その光景を見渡した後、笑顔のアンゼリカと一緒に、俺はラルクスへ転移した。
「……浮気ですか?」
「違う」
「違ったんですか、ソーマ様!?」
「……おい」
「アリス様には、黙っていますから」
「……アンゼリカ」
「冗談ですよ」
正午過ぎで猫足亭の酒場はまだ開いていなかったので、隣のレストラン『赤いクチバシ』でアンゼリカと昼食を済ませた後。
冒険者ギルドのフロント近くのテーブルで、俺は口元を歪めて嗤ったテレジアに明確な否定を示し、どこか鬼気迫るアンゼリカの冗談に溜息を返していた。
本当、冗談でもやめてくれ。
……アリスに無表情で【死槍之召喚】を向けられる恐さを、お前らは知らないんだ。
結局、アンゼリカたち10人は血を飲ませてから1週間ほどで全員が精霊を見えるようになることが、つまり精霊と契約することができた。
予想通りと言うか何と言うか……サーヴェラが水属性の精霊と契約したのを皮切りに、食事班班長としてずっとミレイユの側にいたロザリアは火属性精霊と。
その日の夕方には、ランティアとニア、農業班と森林班の両班長で恋人同士でもある2人が揃って、木属性の精霊と。
さらに1日空けて宿泊班のタニヤが赤色、家禽班のネルは黄色の光が見えると駆け込んできて、それぞれ火属性と土属性。
その翌日には販水班のヨーキが土属性、さらに翌日には清掃班のルーイーが水属性、その昼過ぎにヤギ班のガラが木属性精霊と契約し。
最後にアンゼリカが、数少ない命属性精霊の契約者となった。
ウォルとしては10人の魔導士が誕生したわけで、当人たちに加えてアリスとミレイユも大喜びの中、しかし俺の頭の中は彼らの教育課程をどうするかでいっぱいだった。
魔導士……というか人間が契約できる精霊は1属性だけのため、火、水、木、土、命の5人の高位魔導士が、教師役として必要になったからだ。
もちろん木属性はアリスが教えればいいし、火属性はミレイユが教えればいい。
土属性は、ギルドを通して外部の魔導士を雇えばいいだろう。
問題は、水属性と命属性だ。
と、いうのも実は……。
……俺は、通常の水属性魔導は使えない……のだ。
いや、より正確に言うのなら。
詠唱を必要とする通常の手段では魔導を発動できない、と言った方が正しい……か。
シムカの説明通り、魔法とは「精霊が引き起こす超常現象」を指す言葉だ。
そして、「人間が詠唱と魔力の譲渡をもって契約している精霊に、イメージした魔法を発動してもらう行動」が魔導である。
が、俺は自身が大精霊であるという、非常にイレギュラーな立場にある。
要するに、俺は自分のイメージを自分の魔力だけで、そのまま魔法として具現化できてしまうのだ。
もちろんこれは別に弱点でも何でもなく、俺の戦闘能力を否定するものではない。
【死波】や【氷艦砲】のような大技までいかずとも、【氷撃砲】や【白響剣】の段階で充分に既存の高位魔導よりも強い。
【水覚】や【青殺与奪】に至っては、アリスいわく理解不能の性能と威力、だそうだ。
魔物を閉じ込める際に使う氷棺の生成や領域内の雨の操作など、地味だが他の誰にも真似できない芸当さえ俺はほぼ使い放題で、重複発動もできる。
ただし、これらは決して人に教えられるものではない上に、それが可能な故に、俺に魔導士としての経験と知識と指導力が完全に欠如しているのも。
そして、それに気がついたのがつい先日で、アリスとミレイユから生温い視線を向けられる羽目になったのも、また否定のできない事実だった。
電卓の悲劇、と言うべきか。
つまり、俺は電卓を持っているために、計算能力自体は優れている。
が、その過程の途中式はわかっていないし、知らないのだ。
契約詠唱をしたことがないためその加減どころか、実は文言さえ知らなかった。
そのあおりを食ったのが、今はサーヴェラとルーイーに契約詠唱を教えているであろうシムカである。
契約詠唱の師匠が詠唱される方の精霊、というおそらくは前代未聞の出来事を引き起こした背景には、こうしたやむをえぬ理由があったのだった。
……うん、まぁシムカには悪いとは思っている。
ただ、俺のこの特殊すぎる境遇を作り出した原因はアイザンと、その側にいたはずのあいつにもあるわけだからな……。
ちなみに土属性魔導士の方は、単純に金で解決した。
魔導の教導を含む、ウォルに住込での土製品の製造及び修繕作業。
種族は問わずBクラス以上の土属性魔導士1~2名で、期間は6ヶ月。
報酬は生活経費別で、1人あたり金貨300枚。
ギルドに貼り出されたこの求人依頼を見て、「魔王領」への住み込みという恐怖を打ち消すための金貨300枚に釣られてくれたのが、イングラムとキスカである。
氏名 イングラム=シィ=ヤムティア
種族 獣人
性別 女
年齢 19歳
魔力 55,720
契約 土
所属 冒険者ギルドAクラス
備考 パーティー「ロングテイル」
氏名 キスカ=スゥ=ミリオン
種族 獣人
性別 女
年齢 12歳
魔力 54,400
契約 土
所属 冒険者ギルドAクラス
備考 パーティー「ロングテイル」
俺としては魔力3万そこそこのBクラスを1人雇えれば充分という算段だったのだが、まさかAクラスを2人も捕まえられるとは思っていなかった。
国内の魔物の激減と主立った盗賊団の壊滅によって、どうやらアーネルの冒険者事情は相当不景気らしい。
面接の席で聞けばあまりに仕事がないため、最近はもう2人のパーティーメンバーと荷物運びの依頼を日雇いで受ける日々だったと、イングラムからは切々と語られた。
まぁその辺りは事情はどうでもいいにしろ、汎用性の高い【創構】、そして水の販売作業の負担を軽減できる【減重】を使える土属性魔導士の育成は、今のウォルにおいては最優先事項だ。
自陣片の照会や待遇の確認など短い面接の後で採用を即決し、2人にはその翌々日からウォルに移ってもらうこととなった。
正直2人の、特にキスカの人格面には不安がないわけでもないが……、『ホワイトクロー』の例を見る限り、子供たちとはいい組み合わせになるかもしれないし。
妙なマネをすれば、ミレイユが対応するだろうしな。
そして、命属性は。
「待たせたな」
俺が修練場の光景に想いを馳せつつ、30分程度の雑談ですっかり打ち解けて年相応の笑顔を交換しているテレジアとアンゼリカの横顔を眺めていると、ようやく待ち人が昼食から帰ってきた。
低く張りのある声をテレジアに投げかけてきたのは、40歳ほどの全身が赤銅色に日焼けした禿頭の男。
テレジアが着ているようなギルド職員のローブではなく、グレーの普段着の上からクリーム色のエプロンを着けている。
「あ、先生、お帰りなさい。
こちらがソーマさんからお話のあった、アンゼリカさんです。
アンゼリカさん、こちらグレッグ先生です」
「ウォルの、アンゼリカ=イルフォースです!
今日から、よろしくお願いします!」
グレッグ=ダズ。
彼こそが、冒険者ギルドが抱える数少ない命属性魔導士。
そして、俺がギルドを通してアンゼリカの教導を頼んだ人物である。
氏名 アンゼリカ=イルフォース
種族 人間
性別 女
年齢 15歳
魔力 62,800
契約 命
所属 -
備考 -
「魔力6万オーバーなら、【完全解癒】や【完全解毒】も使えるな。
……と言うよりも、俺の2倍以上あるじゃないか。
ソーマ、お前さんこの娘に何をしたんだ?」
「ソーマさん、……まさか本当に」
「断じて違う」
「いえ、ソーマ様の熱い液体は……今も私の中で息づいています」
「「!?」」
「ア、ン、ゼ、リ、カ!」
「もちろん冗談です」
「……グレッグ、さっさと本題に入れ」
グレッグは、俺が初めてギルドを訪れたとき以来何度か顔を合わせている、数少ない知人でもある。
クスクスと笑うアンゼリカを軽くにらみつけ、俺はそのグレッグにムスッとした視線を向けた。
が、まぁこれからのことを考えれば、アンゼリカとはこれくらい打ち解けてくれていた方がいい。
テーブルでアンゼリカの自陣片を囲みながら、笑顔のアンゼリカと含み笑いのテレジア、そしてグレッグが今後のスケジュールを詰めていくのを、俺は苦笑いしながら眺めていた。
アンゼリカが即Aクラス入りできる魔力と共に命属性精霊と契約できたのは純粋に喜ぶべきことだったが、その教育となるとこれはかなり厄介な問題だった。
ウォルで命属性魔導を教えられる者は、本当に誰もいない。
火、水、木、風、土と違って命属性魔導士はそもそもの絶対数が少なく、またそのほぼ全員が都市の中枢に勤務しているため、さすがにそれを辺境の地の教師役として引き抜くのも不可能だった。
さらに回復魔法の練習には当然、その対象となる怪我人や病人がコンスタントに必要となる……。
これらの事情を踏まえてアリスとミレイユ、アンゼリカ本人、そしてギルドとも相談した結果、アンゼリカは来週から3ヶ月に渡ってラルクスに住み込み、冒険者ギルドで見習いとして働きながらグレッグの指導を仰ぐこととなった。
ここならばテレジアとエバもいるし、冒険者や市民などの傷病者が日々担ぎ込まれてくる。
部屋は正面の猫足亭を使えばいいし、食事や生活面の後見はメリンダに頼んでおけばいいだろう。
夕方になったらメリンダとバッハにも事情を説明して、費用は前払いしておくつもりだ。
ウォルの方も、心配はない。
アンゼリカの仕事はロザリアとタニヤ、そして生活班と教育班の副班長に分散して引き継ぎを命じているし、ミレイユもいる。
アンゼリカと同じく、俺とアリスも数ヶ月ほどウォルを留守にするわけだが、まぁ問題はないだろう。
むしろ問題なのは、ネクタ大陸……。
いや、アリスの実家で何が起こるかの方、だろうか。
打ち合わせに口を挟みながら、俺は。
アリスの、恋人の父親への手土産を何にするべきか、真剣に悩み始めていた。
ややこしいので、10人の契約属性と性別、年齢、担当班の一覧です。
サーヴェラとアンゼリカのみ、2班を兼任しています。
火属性…ロザリア(女、13、食事班)、タニヤ(女、12、宿泊班)
水属性…サーヴェラ(男、12、畜産班・グリッド班)、ルーイー(女、12、清掃班)
木属性…ランティア(女、13、農業班)、ニア(男、14、森林班)、ガラ(男、12、ヤギ班)
土属性…ネル(女、14、家禽班)、ヨーキ(男、14、販水班)
命属性…アンゼリカ(女、15、生活班・教育班)




