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クール・エール  作者: 砂押 司
第1部 水の大精霊

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23/181

アナザー・エール 水の大精霊 中編

引き続き、非常に不快な表現が出てきますが、これを避けてしまうと全ての意味がなくなってしまいますので…。

どうぞ、最後までおつき合い願います。

「起きろ、娘」


そんな、しずかなおじいさんのこえがきこえました。


「……」


「起きろ」


「ー?」


だれー?とききたかったのですが、こえがでませんでした。


「クロムウェル様、答える体力がないようです」


やさしそうなおんなのひとのこえもきこえました。


「ふむ……、レブリミ!」


「はーい、なーんでしょーーかーーー!?」


「レブリミ!!」


おじいさんのあとに、げんきそうなおとこのこ。

そのあとに、さっきのおんなのひとがおこっているこえがきこえました。


「よい、シムカ」


だけど、おじいさんはたのしそうにわらっていました。


「お前たちとこうしていられる時間も、もうさほどないのだ。

レブリミ、私はお前のその明るく元気なところも。

シムカ、お前のその気真面目さと優しさも。

私は、気に入っていたのだ。

しばらく、そのままでよい」


「……は、はい」


「……かしこまりました」


おじいさんがたのしそうに、でもさびしそうにいったあと。

おとこのこはふるえながら、おんなのひとはかなしそうにへんじをしていました。


「さて、レブリミ。

昔、冒険者が置いていった薬の瓶が湖のどこかに放ってあったはずだ。

あるだけ探して、すぐにここに持ってくるのだ。

他の子供たちや魚たち、みなにも手伝わせろ」


「は……、し、しょーちしましたーーー!」


おとこのこは、なきそうになっていたのが、とちゅうからげんきになって、へんじをしてどこかにいきました。


「さて、それでは……、ふむ、……駄目そうだな。

シムカ、すまないがこの娘の周りの水をどけてくれ。

どうやら、私にはもうそれもできないらしい」


「……かしこまりました」


しずかにはなすおじいさんのあとに、おんなのひとがかなしそうにへんじをします。

わたしは、じぶんのまわりのみずがなくなっていくのがわかりました。





「もっどぅぉりましとぅぁあーーーーー!!!」


「ふむ……」


すこしして、やけくそみたいにさけびながらおとこのこたちがもどってくると、おじいさんはなにかかんがえこんでいるようでした。


「ふむ、これ……だったか……?

シムカ、娘に飲ませるのだ」


「は」


「……ぐ!」


つめたくてほそいてがわたしのくちをあけさせて、すっぱくてすこしにがいくすりをわたしにのませました。


「我慢して、飲むのです」


はきだしそうになったわたしを、おんなのひとがやさしくおこって、わたしがぜんぶのむまであたまをささえてくれていました。

てがつめたくて、きもちいいなとおもいました。


「シムカ、少しだけ水も飲ませてやるのだ。

子供には、あまり得意な味ではないのだろう」


「御意に」


おんなのひとが、わたしにゆっくりみずをのませてくれます。

みずはきれいでつめたくて、とてもおいしかったです。


「ふむ、シムカ、こちらへ。

周りの水も、もう戻してよい」


「は」


わたしのからだを、またみずがおおっていきました。


すこしして、わたしはじぶんのからだがあまりいたくないことにきがつきました。

めもみえるし、おきあがれそうです。


ゆっくりおきあがると、まわりはみずで、とうめいなとうめいでないようなひとたちがたくさん、わたしをかこむようにひざをたててしたをむいてすわっていました。


「ふむ、それでは改めて、娘よ」


おじいさんのこえがきこえましたが、おじいさんのようなひとはいません。


「ここだ」


「どこー?」


「足元だ」


わたしがじぶんのあしをみると、そのとなりにわたしのりょうてくらいのおおきさの、とうめいでとうめいでないいきものがいました。

りょうてがはさみで、かおをあらうのにふべんそうだな、とおもいました。


「なーに?」


「ふむ」


「……?」


「娘……、お前は人間としてのせいを、捨ててもよいと思うか?」


「???」


おじいさんがなにかむずかしいことをいいましたが、わたしはばかなのでよくわかりませんでした。

でも、おじいさんもみんなもやさしそうだったので、ちがうことはちがうといってみることにしました。


「わたし、ニンゲンじゃないよ?」


「……娘、お前は人間だと思う……が?」


おじいさんがこまったようなこえをだしたので、わたしはおしえてあげます。

わたしはニンゲンではないのです。





「ちがうよ?

わたしはドレイか、バイタか、ゴミか、クズか、ノロマか、キタナイノか、ベンキか、オイコラか、オモチャ、だよー?」





ほかにもたくさんあったのですが、わたしはばかなのでこれだけしかおもいだせませんでした。


「……」


おじいさんは、なにもいいません。

どうかしたのでしょうか?


「なーに?」


「……ふむ。

わかった、娘。

お前が人間かどうかは、気にしないでよい」


「だーかーらー、わたしは、」


「よい!!」


おじいさんがこわいこえをだしたので、わたしはくちをとじました。


「……すまないな、娘。

決して、お前に……、そう、お前に怒っているわけでは、ないのだ」


そのあと、おじいさんはまたしずかなこえでいいました。

おじいさんのはなしは、むずかしいです。


そして、おじいさんは、またしずかなこえでわたしにこういいました。


「娘、お前は、精霊になりたいと思うか?」


「セーレーって、なにー?」


なりたいかといわれても、セーレーなんてわかりません。


「ふむ……、シムカ!」


「は、クロムウェル様」


「ふむ、シムカ。

悪いが私の隣に立ってくれ」


「は!?

い、いえ、失礼いたしました。

しかし、この場でそのような不敬は……」


「よい、これは大精霊としてのめいだ。

この娘に、お前の姿を見せてやるのだ」


「……かしこまりました、失礼いたします」


おじいさんとおんなのひと、シムカさんは、なにかむずかしいことをいいあったあと。

シムカさんはおじいさんのよこに、まっすぐとたちあがりました。


「うわぁー、きれーーー!!」


とうめいでとうめいでないシムカさんは、ながいかみがすてきな、あのやさしくみずをのませてくれたおんなのひとでした。


「ふむ、待たせたな、娘。

これが、水の精霊だ」


「シムカさん、きれーーー!

ほーせきみたい!!」


「……あ、ありがとうございます……」


もじもじしているシムカさんは、ほんとうにほーせきでできているみたいにきれいでした。


「ふむ、気に入ったなら、何よりだ。

精霊になる、ということは、お前もこのような姿になることだ」


「ほんとー!?」


「ああ、本当だ」


「なるー!!」


こんなにきれいになれるのなら、まようことなんてありません。

わたしは、セーレーになりたいとおもいました。


「そうか」


「なるー!」


「わかった。

だが娘、お前の家族は……、いや、なんでもない」


「???」


おじいさんはなにかをいいかけてやめましたが、わたしはシムカさんをみているのにむちゅうだったのできいていませんでした。


「それでな……、娘。

精霊になった場合、お前にはやらなければならないことがある、のだが」


「うん、なーに?」


おじいさんは、すこしこまったようにいいました。


「何年かに1度、精霊には人間がにえとして捧げられるのだ」


「ニエって、なーに?」


「ふむ……、食べ物、だな」


「たべていーの?」


「食べてもらうために、捧げられるのだからな」


「いーよ?」


「そ……、……娘よ、……いいのか?

人間が、贄として捧げられるのだぞ?」


なにがだめなところがあるのでしょうか?

おじいさんはびっくりしたようにきいてきますが、わたしにはいみがわかりません。


わたしはニンゲンではないし。

あのちかしつではふとったおじさんからでたものを、なんどもなんどもなめさせられたり、なんどもなんどものまされたりしたからです。

ほかにもいろいろなものをたべさせられました。

ふとったおじさんはわたしをみてわらいながら、わしはニンゲンだ、おまえとはちがう、とわたしになんどもいっていました。

たのしそうにわらっていました。


だから、わたしはニンゲンをもうたべたことがあるのです。

くさいし、まずいけれど、がまんすればたべられます。

だから、だいじょうぶなのです。


そんなことでほーせきのようにきれいなセーレーになれるのなら、わたしはセーレーになりたいとおもいました。


「うん、たべられるよー?

たべたこともあるよー?」


「「……」」


おじいさんもシムカさんも、なにもいいません。

わたしは、なにかへんなことをいったのでしょうか?


「……わかった」


しばらくして、おじいさんはしずかにそういいました。


「やったー!」


「「……」」


セーレーになるのがうれしくて、わたしがそういってばんざいをすると、おじいさんとシムカさんはまたなにもいいませんでした。

ばんざいを、しらないのかもしれません。

これは、とてもうれしいときにするのです。

わたしも、ばんざいをしたのは、おやしきにいくまえ、ずっとちいさかったときがさいごですが。


「クロムウェル様……」


「よい、シムカ。

私が決めたことだ、……それに、きっとこの娘のためだろう。

もう、ひかえよ」


「……失礼いたしました」


シムカさんがなにかをいおうとすると、おじいさんはしずかにそういいました。

シムカさんは、おじいさんにおおきくあたまをさげると、ほかのセーレーたちとおなじように、ひざをたててしゃがみます。


わたしも、はやくセーレーになりたいです。


「それにな、時間もないのだ……」


「「……!」」


おじいさんのさみしそうなこえに、シムカさんやほかのセーレーたちがびくりとふるえました。

わたしがおじいさんをみると、おじいさんのかたほうのはさみにはひびがはいっていました。


「おじいさん、だいじょーぶ?」


「ああ」


わたしがしんぱいしてあげると、おじいさんはみじかくへんじをしました。

つづけて、しずかなこえでおじいさんはわたしにききました。


「娘、お前の名は?」


「わたしはバイタか、」


「わかった、よい!」


「なによー!?

いえっ、ていったのにー」


おじいさんは、かってだとおもいました。


「悪かった、悪かった。

……ふむ、それでは、精霊となるにあたり、お前に新しい名をつけてやろう。

今後はその名を名乗り、お前の今までの名は全て捨てるのだ」


「うん、いーよー?」


「よいな、全てを捨てるのだ」


「わかったってー」


おじいさんは、しつこいとおもいました。

そして、おじいさんは、あたらしい、きれいなセーレーになるわたしのなまえをくれました。





「そうだな……、ふむ。

では、今よりお前は、アイザンと名乗れ」





「アイザン?」


ふしぎな、なまえでした。

でもなぜか、まわりのみずとおなじで、とてもきれいななまえだとおもいました。


「そうだ、娘。

人間であることを捨て、愛を残されなかった少女よ。

できることならば、私がお前にそれを教えてやりたかったのだが……。

残念なことに、もうその時間はない」


おじいさんのはさみには、いつのまにかりょうほうにひびがはいっていました。

でもおじいさんは、むしして、はなしをつづけました。


むずかしくてわからないところもあったけど、わたしはきちんときかないといけないとおもいました。


「故に……、故にアイザンよ。

お前には、このシムカやレブリミたち、私の愛しき全ての子供たちと、私の力の全てをのこす。

……そして、すぐでなくともいい。

人間たちと話をしてみるのだ」


「えーーー!?」


おじいさんのはさみのひびはどんどんおおきくなっているけど、わたしはニンゲンとはなすのはいやだな、とおもいました。

だけど、おじいさんはおだやかに、やさしくいってくれました。


「ずっと先、お前の気が向いたらでよい」


「むー」


おじいさんがそうまでいうのなら、ちょっとだけかんがえてみようとおもいます。


「いいか、アイザンよ。

全ての感情の中で、最も美しいものが愛だ。

そして、全ての生き物たちの中で、最も深く愛を抱くのは人間だ。

あのにえたちも、己の大切な者たちを想うが故に、その身をこの湖に捧げるのだ」


ひびは、おじいさんのおなかやあしにもひろがっていました。

でも、おじいさんはわたしにはなしつづけます。

でも、アイがなんなのか、わたしはばかなのでわかりません。


「アイザン。

お前はまだ幼い、これから長い時間を生きられるだろう。

ゆっくり、少しずつでよい。

人間を、愛を知るのだ。

いずれ、お前が人間となり、愛をさんずることができるように、私は永遠とわに祈っている」


「むつかしくて、わかんないよー……」


これはきっと、だいじなはなしなのです。

でも、わたしにはわからないのです。


おじいさんのはさみは、さきからくずれていっています。

わたしは、おじいさんともっとおはなしがしたいとおもいました。


わたしは、かなしくなりました。

はながいたくて、めのまえがぼやけます。


「後のことは、シムカたちに聞くのだ。

……泣かずともよい。

いずれお前にも、アイザンにも、必ずわかるようになるとも。

……シムカ!」


「は!」


「アイザンのことを、頼んだぞ」


「お任せください。

……我らが父であり母であり主君、我ら水をつかさどりし偉大なる当代の大精霊、クロムウェル様。

我ら兄弟姉妹一同、これまでお仕えできましたことを、心より御礼おんれい申し上げます。

……御身おんみ、どうか永遠とわの流れと共に」


「「永遠とわの流れと共に!」」


はさみがくだけ、あしがくだけ、おなかがわれていくちいさなおじいさんに。

シムカさんが、たくさんのセーレーさんたちがいっせいにふかくあたまをさげました。

わたしも、いそいであたまをさげました。


りゆうはわからないけれど。

そうしないと、ずっとこうかいするとおもったからです。


おじいさんのからだはかんぜんにくずれ、みずうみのみずのなかにきえていきました。

とうめいできれいな、みずうみのなかに。


「これが、私の……最後の……命だな……。

シムカ……、我が子供たちよ、これまでよく……仕えてくれた。

この……クロムウェル……、心より……礼を言う……。

この湖と……、アイザンのことを……、たのん……だぞ…………」


どこかとうめいになったおじいさんのこえも、みずうみのなかにきえていきます。





「アイザンよ……、……し…………に…………」


おじいさんのさいごのことばを。

わたしは、ききとれませんでした。

















それからわたしは、アイザンとして50年以上を生きた。


精霊……、いや大精霊になって最初の頃はシムカにくっついて、湖の中をひたすら見て回った。

シムカは真面目で、少し堅苦しくなるときもあったけど……、優しい先生として、わたしになんでも教えてくれた。

シムカはすごく長生きしているので、おばあさんなの?、ときいたらすぐに、違います、と返ってきた。

あのときは割と……、こわかった。


レブリミは、クロムウェルが死んでから少しの間塞ぎ込んでいたけれど、しばらくすると元気を取り戻した。

元気のいい喋り方でわたしに話しかけてくると、シムカがすごく怒るので、何回も2人でからかっていたら喋り方がうつってしまって、シムカは頭を抱えていた。

わたしとレブリミは、それを見てまた笑った。


他の精霊たちもみんな優しくて、わたしは湖から1歩も出ずに、毎日遊んで暮らしていた。

だけど、クロムウェルがわたしに言ったことは、いまだに何も理解できないままだった。


生贄を食べることにも、やっぱり何の抵抗もなかった。

別に美味しいわけでもないのだけれど、本当にみんな、村に住むカゾクのためにも食べてください、とお願いしてくる。

そんなものなのか、と思って食べた。


6人目の生贄は、不思議な恰好だった。

今までの生贄とは全然違う服に、大きな赤い鞄を背負っていた。

小さな女の子でもう死んでいたので、さっさと食べた。

着ていた服の繊維が丈夫で、土に還るまでかなり長い時間がかかった。


なんだったんだろう、あの子は。


わたしがようやく人間と話すようになったのは、この女の子を食べた後からだった。

この頃には、わたしは自分がすごく強いこともシムカから聞いて知っていたので、他の精霊と一緒に、冒険者や魔導士と話すことも何度かあった。


でも、周りの村の人間と話す気にはなれなかった。


レブリミが魔導士と契約したのも、この頃だった。

名前は、マミーか、マモーか……、多分そんな感じだった。

シムカくらいの外見の女の人で、レブリミが契約しているところをのぞきに行ったら、その場でわたしを拝みだした。

兄弟やリョウシンに一生の自慢ができます、カゾクにとってもほまれですと叫んでいたので、まあ頑張ってね、といって手を振ってあげたらビャービャー泣きだしていた。

レブリミがいなくなってから湖は随分静かになったし、何も言わなかったけれど、シムカも少し寂しそうだった。





「ねーシムカー、リョウシンって、なんなのーーー?」


わたしがシムカに聞いたのは、その後だ。


これだけ人間と話していれば、自分が人間だったということくらいは理解している。

同時に、過去のおぞましい記憶に苦しめられもしたが、あまりに長い時間精霊として暮らしていたせいもあって、半月くらいで立ち直ることができた。

……自分が人間であり精霊でもあると割り切れるまでは、シムカたちにはすごく心配をかけてしまったけれど。


クロムウェルの話も、少しだけ理解できるようになっていた。


兄弟姉妹、はシムカの口癖なので、意味は知っている。

シムカとレブリミみたいに、他の精霊たちみたいに、よく似ていてすごく仲のいい関係のことだ。

でも、リョウシンとカゾクは知らない言葉だった。


「両親は父と母、家族は一緒に暮らす者たちのことです」


「えーっと、じゃーー……」


「そうですね。

我ら兄弟姉妹からすれば、アイザン様は母にあたります。

父もアイザン様なのですが……、人間の区分では男しかなれないようですので……。

……そうですね、亡き先代のクロムウェル様が、父にあたるでしょうか」


「えーーー!?

クロムウェルはー、おじいちゃん、だよーーーー」


「……わたくしからは何も申し上げられません……」


「ふふふーーー」


「家族は、この湖に住む全ての者です。

それに、世界中の兄弟姉妹たち、……レブリミもそうですね」


「ふーーーん」


両親と、家族についてはそれでなんとなく、わかった。

やっぱり、シムカは賢い。

あと、やっぱりレブリミがいなくなって寂しいんだ。


……だったら、これもわかるだろうか?





「じゃーねー、アイって、なーにーーー?」





「……愛、ですか……」


「うん、アイーー。

クロムウェルも、アイがどーこー言ってたでしょーーー?」


「……そうですね」


「アイーーー」


「愛とは……」


「とはーーー?」


「守りたい、という気持ちでしょうか……」


「……守る?」


シムカも、少し自信がなさそうに、でもゆっくりと話す。


「そうですね……。

たとえば、我ら兄弟姉妹はアイザン様をお守りしたいと常に思っております。

これは、愛……であると言えると思います」


「うん、わたしもみんなのこと、守りたいと思ってるよーーー?」


「ありがとうございます、アイザン様。

……それから、我ら兄弟姉妹がお互いに抱いている感情も、愛だと思います」


「ふーーーん、……シムカとレブリミみたいにーーー?」


「……他の兄弟姉妹たちもです」


「ひゅーひゅーーー!」


「……当代様?」


「はい、ごめんなさい」


「いえ、失礼いたしました。

でも、そうですね……。

もしもレブリミに危険が迫るのならば、私は助けに行くと思います

私自身の、全てをかけて」


「うん……、わたしも、きっとそうするよ」


「ありがとうございます……、アイザン様」


それに、とシムカは懐かしそうにこう言った。


「先代のクロムウェル様が、アイザン様に注がれたのも、深い愛に間違いありません」


「……そうだね、わたしはアイザンという名をつけてくれたクロムウェルに、感謝してるよ」





愛をさんずる。


わたしはもっと早く、クロムウェルやシムカたちに出会いたかったな。

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