アナザー・エール 水の大精霊 前編
本編から時間軸が大幅にずれるものを、「アナザー・エール」と位置付けさせていただきます。
本短編には、性暴力の描写があります。
また表現の都合上、全てをひらがな表記にし、通常より多くスペースを空けております。
わたしがうまれたむらのまえには、おおきくてきれいなみずうみがあります。
みずはつめたくてとうめいで、いつもきれいにぴかぴかしています。
いつもみずをくみにいかされましたが、みずうみはいつもきれいなままです。
おとうさんとおかあさんは、わたしのことがすきではありません。
おとうさんは、このごくつぶしが、といいます。
おとうさんからは、いつもへんなにおいがします。
おかあさんは、あんたなんかうまなきゃよかったといいます。
おかあさんは、いつもないているかおこっています。
おとうさんは、わたしをたたいたりけっとばしたりします。
おかあさんは、わたしをたたいたりさけんだりします。
おとうさんもおかあさんも、わたしのことがきらいなのです。
わたしがろくさいになったふゆ、しらないおじさんがいえにきました。
おじさんは、おとうさんやおかあさんやむらのみんなよりもきれいなふくをきていました。
おとうさんとおかあさんは、わたしにおじさんについていけといいました。
おとうさんとおかあさんは、おじさんからうけとったふくろのなかをみてうれしそうでした。
おとうさんとおかあさんが、うれしそうだったのでよかったです。
いえをでるとき、おとうさんとおかあさんは、わたしをみませんでした。
でも、おとうさんとおかあさんが、うれしそうだったのでよかったです。
おじさんは、わたしにきれいなばしゃにのれといいました。
おじさんは、わたしをみないし、それからわたしになにもいいませんでした。
ばしゃは、ごとごとはしりました。
すごく、はしりました。
いっぱい、はしりました。
あさになって、ひるになって、ゆうがたになって、ごとごといわなくなりました。
おじさんが、わたしにおりろといいました。
おしろみたいな、おおきなおやしきのまえでした。
おやしきのなかは、やっぱりおしろみたいでした。
おじさんは、だんなさまをよんでくれ、とおじいさんにいいました。
おじいさんは、そのままちかしつにいってください、とおじさんにいいました。
おじさんは、すごくいやそうなかおをしました。
かいだんまではすごくとおくて、なんかいもとびらをくぐりました。
おへやも、やっぱりおしろみたいでした。
くらくてじめじめしたかいだんをおりると、てつのとびらがありました。
おじさんは、だんなさま、といいました。
なかから、はやくはいれ、とこえがきこえました。
ちかしつのなかには、よくわからないけどなんだかこわいものがいっぱいおいてありました。
ちかしつのまんなかには、おしろみたいなべっどがありました。
べっどには、すごくふとったおじさんがすわっていました。
すごくふとったおじさんは、でていけ、とわたしをつれてきたおじさんにいいました。
つれてきたおじさんは、わたしをみないし、わたしになにもいいませんでした。
ふとったおじさんは、わたしにふくをぬげといいました。
わたしがいやだというと、てやむちでたたいてきました。
いたかったし、ちもでました。
わたしは、なきながらふくをぬぎました。
ふとったおじさんは、したぎもだといいました。
たたかれたくなかったので、わたしはしたぎもぬぎました。
ふとったおじさんは、わらっていました。
わらっていました。
わらっていました。
わらっていました。
わらっていました。
ふとったおじさんは、たのしそうにわらっていました。
わたしがふるえてないていると、ふとったおじさんはわたしにちかづいてきました。
そして、わたしはにんげんではなくなりました。
ふとったおじさんはそれからまいにち、わたしにいろいろなことをして、いろいろなことをさせました。
いたいこと。
きもちわるいこと。
いたいこと。
くすぐったいこと。
くるしいこと。
いたいこと。
はずかしいこと。
つらいこと。
くさいこと。
いたいこと。
くるしいこと。
いたいこと。
ちかしつには、ほかのおんなのこがいるときもありました。
そのおんなのこも、わたしとおなじことをして、おなじことをされていました。
ふとったおじさんは、まいにちわらっていました。
まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち、まいにち……。
あるひ、わたしはうごけなくなりました。
ふとったおじさんが、どなっても、てでたたいても、むちでたたいても、けっとばしても、ふみつけても、つばをはいても、わたしはなにもかんじませんでした。
わたしは、なにもみえなくなりました。
ばしゃがごとごといっていました。
わたしがめをあけると、かおのまえにはとうめいできれいなみずがありました。
すいめんには、いまにもしにそうで、ぼろぼろで、きたないなにかがうつっていました。
わたしは、いしをくくりつけられてみずのなかになげこまれました。
みずはつめたくてとうめいで、きれいでした。
わたしは、もううごけません。
わたしは、もうなにもみえません。
それでも。
わたしは、つめたくてきもちいいなとおもいました。




