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令嬢は名前を知らない【修正中】  作者: モノクロ猫
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十一話 『精霊術』

遅れてごめんなさい


前半【フェアリ視点】

後半【ウィリアム視点】


「 屋根の下に行きましたか?では、やりますね」



そう言って私はウィリアム様たちのクラスを前に立った。


何故こんなことになったのか?時間は少し溯る。



✣✣✣



「__であるので精霊術を使えるのは精霊との契約を交わしたものだけなのだ。……ノア、何か間違いがあるかな?」



急に話をふられ体が少し跳ねた。先生の話を思い返しながら特に問題は無いと判断してそのまま伝える。すると、ウィリアム様が質問をした。



「精霊術師に見習いとか、そういう分類はあるのか?」



私は一度先生の方を見て…首を振られた。どうやら知らないみたい。なので私が答えることにする。



「……精霊との契約にも信頼関係の深さによって色々種類があるんですが…見習いとかはハッキリはしていませんね。というのも、精霊術は契約精霊の属性や位、生まれてからどれくらい経っているのかで影響力も違いますから一概に【一人前】がどのくらいで【見習い】がどのくらいなのかを言うことができないんです」


契約の種類や精霊の属性、位、その精霊が生まれてからどれくらい経っているのか、それら全てが異なるためにその精霊術師の最大戦力というのも異なってくる。判断がつくのは家族間でだけのこと。

例えば精霊との魔力の相性がいい人がいるとする。その場合その子供や兄弟でも魔力の相性がいいことが稀にある。それでも精霊術師が少ないのは魔力の相性は良くとも性格が合わないことが殆どだから。

まぁ、そういうのは世間では知られていない精霊の間での常識なので知られていないことに特に問題は無い。



「では、質問がもうなければ精霊術を実演して見せようと思うが……いないようだな」



私は久々にワクワクしていた。私は私以外の精霊術師の精霊術を見たことがなかったから。



【Erde Kraft Wächter__Golem(ゴーレム)



先生が呪文を唱えると土人形が現れた。どうやらゴーレム生成をしたみたい。


(でも……)



「ノアのものに比べると規模も小さくて地味ですね…」


「そうだな…もっと派手なものだと思っていたが」



アクア様の声もウィリアム様の声も小さかったのによく響いた。先生にも聞こえてしまったようで落ち込んでいる。


(私だってちょっとは思ってたけど…さすがに可哀想)


先生の精霊術は私から見ても地味だった。けれど魔力制御は素晴らしいと思うし、精霊との相性だって問題は無い。ただ……地味だけれども。



「せ、先生。地の精霊術は派手ではない分魔力制御の力が顕著に出ます。それを考えれば先生の精霊術だって問題ありません」



そう言って先生の肩を叩く。

地の精霊術が派手になるのは魔力の制御が未熟か目立ちたがり。私だってそこまで派手な精霊術は使えない。ただ光の精霊術は基本的に派手に見えるものが多いだけだ。



『確かに地のは派手なものを好まないからな。だが、今精霊と契約している者は火か水か風みたいだ。ノアそれぞれ実演してみせる方がいいだろ』



サラマンダーが余計なことを言った。

元々、私は精霊の血縁者。母の曾祖父が精霊だったらしく私にもその力が残っている。

私自身が使えるのは母の曾祖父から継いだ水。ルスと契約したことで使えるようになった光。オリジンは精霊の女神だから契約した時点で使えない精霊術はなくなった。加えて、オリジンは女神なので力を貸してもらえば神聖魔法も使えるようになっている。


(だからといってそんなことを言えば先生を傷つけるかもしれないじゃない)


心のうちでサラマンダーに悪態をつきながら先生に視線を向ける。



「頼む!ノア!生徒たちに見せてやってくれ!」



懇願された。

ということで冒頭に至るわけだ。


私は全員が屋根の下に入ったのを確認して、手を組んだ。目を閉じ、言葉を紡いだ。



✣✣✣



【Der himmel Gib mir gnade__Regen()



祈るように、歌うようにその言葉は紡がれる。すると雨が降り出した。

雨に濡れるノアの周りで淡い青の光が舞うのが見える。



『水の精霊たちだな』



サラマンダーは何でもないことのように言うが、こんなふうに精霊たちが人の周りを舞うことなど知らなかった。



「いや…ノアだから、なのか」



精霊に愛される者。それがノアだ。

恐らく歴代の愛し子の中でも一番精霊に愛されていると言っていいほどにノアは精霊に()()()()()()いる。



「    」



ノアの口が動き、何かを告げたように見えた。それは精霊に対しての言葉だったようで此方までは聞こえなかった。しかし、サラマンダーには聞こえたようだ。少し顔を顰めた後にノアの元へと行ってしまう。



「……これほどに強力なのですね」



教師はそうこぼす。

ソレは自分たちには出来もしないノアの精霊術に対してなのか、多くの精霊と触れ合っても無くなる気配のないノアの魔力に対してなのか、ノアの愛し子としての力に対してなのか。


恐らくそれら全てだった。


俺はこの後質問責めに合うノアの姿を想像して、練習は暫くないなと小さく溜息をこぼした__

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