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何度倒してもタイムリープして強くなって舞い戻ってくる勇者怖い  作者: 崖淵
第6部 終章

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第95話 魔王軍祝勝会

勇者軍との決戦後、現地でもささやかな宴が開かれたが、これは停戦の締結による勇者軍首脳部との懇親会的な要素が大きかった。

そのため魔王国に帰還後、魔王国の勝利を祝って祝勝会が大々的に開かれる事になった。


内容的には勇者に勝ったという祝勝会なので、勇者と聖女(実際にはその力を喪失しているので元勇者と元聖女であるが)を招くのはかわいそうかと思い、放置しておいたのだが、それを聞きつけた聖女がアドラブルの元を訪ねてきた。


「アドラブル様、祝勝会の件ですが気を使っていただいたのだと思いますが、勇者は未だ療養中なのでご勘弁いただくとしても、聖女《私》を出席させるべきだと思います。」


「そうか?」


「はい、聖女だけでは少し弱いかもしれませんが、勇者と聖女を倒して捕虜にした。これ以上ない勝利の証でしょう。皆様の士気が上がる事間違いなしです。」


「とはいえ、もう戦は終わりだ。別に無理をしてまで士気を上げる必要も無いだろう。あれから数日間そなたらと行動をともにして、私はもうそなたら仲間だと思っている。仲間を辱めてまでやる価値は無いよ。」


「ありがたいお言葉ですが、これは区切りでありけじめでもあります。

そして打算もあります。亡命する時にお伝えしましたが、捕虜として連行された事のアピールを帝国に戻った仲間や兵達のために公表して欲しいとお伝えしましたが、それの延長になります。私達への怒りのやり場を失った帝国首脳部にとって、勇者と聖女が祝勝会で晒し者になった、辱めを受けたと伝われば、大いに留飲を下げるでしょう。それはかつての仲間たちへのせめてもの援護射撃です。ですので、その情報をむしろ大袈裟に帝国に流してほしいくらいです。」


とにっこりと笑う聖女。まさしく聖女の微笑みとも言え、この笑顔を見た人族はほとんどが魅了されてしまうであろうなとアドラブルは思った。アドラブルには全く意味が無かったが。


「しかし、しおらしくなったものだな。あのように毎回のように我が護衛兵を口汚く罵って挑発した聖女とはとても思えぬ。」


そう。毎周回の記憶があるアドラブルはもちろんの事、自らの過去の記憶ではないものの、勇者の杭を祓ったことによって勇者の記憶が流れてきた聖女にも勇者視点での過去の聖女の暴言の記憶が受け継がれているのだった。


「…ええと、それは無かった事に。」


「ならないだろうな。むしろ、あれが素なのであろう?猫を被らずとも良いのだぞ?」


「…さて、先日ご依頼された勇者と魔王軍の戦記の執筆の件ですが、その最後のシーンとして祝勝会は外せないのでその資料としても参加したいですね。」


「話をそらしたな。」


「ええ、露骨に逸らしましたね。」


いつのまにか同席していたタリアトが横でしたり顔で頷いていた。




祝勝会当日。

その頃になると多少体調が良化していた勇者も参加する事になった。どちらかといえば、形式上の事だとわかっていても聖女一人が大勢の前で辱めを受ける事を良しとしなかったのかもしれない。


祝勝会の開会直後の数分のみ未だ幼い魔王陛下が臨席し、開会の挨拶があった。


「魔王都を旅立つ皆の雄姿が目を瞑れば脳裏に浮かぶようだ。余はあの姿を一生忘れぬ。さて、名誉の戦死を遂げてここに戻れなかった勇士も数多くいるだろう。彼らの分まで今日は飲み騒ぎ疲れを癒してほしい。」


と魔王陛下がたどたどしくも言い切ると、大歓声が上がる。そしてどこからともなく『乾杯!』と声があがり次々と『乾杯』の声が会場中に唱和され、大いに盛り上がった。祝勝会の始まりである。皆がめいめいに酒を飲んだり料理を楽しみんでいる中、会場の中央ではアドラブルが戦功を挙げた勇士を次々に表彰していく。

勇者と聖女は服装こそ上等な物を身に着けているが、まず目につくのが首に枷をつけられている事だ。そしてアドラブルの傍らに控え、表彰されている者たちに拍手を送る事を強制されている。勇者に勝つ為に功をあげた者たちに対してだ。どう見繕ってもいい晒し者といえるだろう。これを帝国軍の間者が見たら勇者と聖女は魔王国で辱めを受けていると報告されるに違いない。

なお、この祝勝会においては、帝国の間者を見つけても放置するよう言い含められている。半ば過ぎからは追い払う事になっているが。


大いに盛り上がり、勝利の美酒に酔いしれる魔王軍士官たち。

宴もたけなわとなり、いよいよ勇者対策会議室の面々が表彰される番となった。

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