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何度倒してもタイムリープして強くなって舞い戻ってくる勇者怖い  作者: 崖淵
第5部 終わりの始まり

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第70話 魔法陣

第25周回 5月 帝都近郊 アドラブル


目の前には純白の聳え立つ帝都の城壁がある。

要塞エルグレアの城壁も風格があり見事だったが、帝都の城壁もまた見事であった。むしろこちらの方が傷も無く白亜で頻繁に磨かれているのか美しいものであった。

実用性は要塞エルグレアに比べて劣るかもしれないが、高さも十分にあるためこれを本気で落とそうとすれば苦労するのは間違いなさそうだった。


しかし、幸いなことに魔王軍の本命は帝都ではない。

帝都を攻める振りをするため帝都の《《東側》》に帝都に向けて陣を敷いた。そして精鋭部隊に命じ、背後にある帝都東の森の守備兵を排除させて森を調査させた。森の中の帝国兵の抵抗は激しく、罠も多数あり精鋭部隊は少なからず被害が出たようだ。


しかしその甲斐あってか、森の奥の一番激しい抵抗があった場所でいわくありげに装飾された洞穴を見つけたとの事だった。


グダンネッラを始めとして勇者対策会議の面々を引き連れてその洞穴に乗り込んだ。

その洞穴内は舗装されており、最奥には重厚な金属製の扉があった。その内部にはどす黒い血のような赤色だったり毒々しい紫色の光を放つ魔法陣がそこにあった。

アドラブルはなんとなく魔族の天敵である聖剣と同じような雰囲気を感じるなと思いつつ、それを指さしながら傍らに控える魔王国最高の魔法使いに尋ねる。


「グダンネッラ、分かるか?」


「この魔法陣が何を表現しているのかその効果を教えろという意味なら、それはにわかかには分からないと答えさせてもらうよ。とはいえ、この魔法陣が召喚魔方陣であることはほぼ確定だろうねぇ。ぱっと見た感じだが、先日話した送還魔法のレポートにあった召喚魔方陣の特徴及び送還魔方陣の特徴と類似性があるように思える。」


グダンネッラは俺の問いに答えながらも、その視線はちっともこちらを向かず魔法陣から離れない。よっぽど興味深いんだろうな。


「で、先程の回答とも被るが、この魔法陣自体に勇者が延々と蘇る秘密が隠されているのかは分からない。ただ、もう召喚の役目を終えたはずの魔法陣がこのようにいまだに煌々と光り続け魔力の作用を感じられるのには何か訳があるはずだ。それが勇者復活の秘密であっても不思議ではないし、むしろその可能性が高いと言えるんじゃないかのぅ。」


「ふむ。それで?」


「この魔法陣の解析は一朝一夕では適わない。むしろ当時の最高峰の魔王が送還魔法に生涯をかけた事を考えると、この魔法陣の完全な解析には新たな魔法を創造する程ではないにしろそれに近い年数が掛かっても不思議ではない。」


「なるほどね。グダンネッラで難しいのなら、誰がやっても難しいだろう。」


「そうさね。だがこの魔法陣の機能を停止するだけなら、そこまで時間をかける必要は無い。一部を破壊してやればいいのだから。ただ、それで全てが終わるのか、解決するのかは不明だがね。」


「そうか。ならば壊すか」


といって早速両手に魔力を込めようとしたところで、グダンネッラから慌てて静止が入った。


「ちょちょ、ちょっとお待ちよ。こんな貴重な物をただ壊そうとするんじゃない。せめて模写するだけでも時間をおくれ。本当ならこのままそっくり持ち帰りたいところだが、持ち帰ったところに勇者に復活されても困るからねぇ。」


「そりゃそうだな。しかしこの大きさ…5mくらいの土の地面に描かれた魔法陣を持って帰るって発想がすごいな。普通に無理だろ。」


「いや、1mくらい掘って崩れないように工夫して運べば…いけるのではないかの?」


勇者がこの遣り取りをもし目の前で聞いていたらこう思っただろう。

脆そうな土で作られた土俵をその台ごと運ぶイメージが一番近いか…?重機もなければトラックも無いこの時代でやろうとか…正気か!?と。


「いや、無理だろ。諦めろ。」


「むぅ…」


ぶつぶつと不満を言いながらグダンネッラは彼女の助手を呼ぶと地面の魔法陣を写し取らせ始めた。そして自らは魔方陣を解析しようと更に細かく読み取っているようだ。


―――このあたりが時を表してこのあたりが空間を制御しているのか、でここで時と空間を繋げている…?こっちは…これはなんだ?呪いで何かの存在を縛っている???意味が分からん。


とかぶつぶつ言っている。

そんなグダンネッラと不気味な魔法陣を見ながら、アドラブルは先程の会話からある事に気付いてしまった。


グダンネッラの戯言たわごとを真に受けて、本当に魔方陣をこのまま魔王国に持ち帰ったとしよう。

魔王国のしかるべき場所に設置して、まずはとりあえずなんとかこの周回を乗り切り終わらせる。そうすると一年前に巻き戻った際の勇者は魔王国にある目の前のこの魔法陣に復活するはずだ。復活したばかりの勇者は弱い筈で、その勇者を取り囲んでぼこぼこにする。そして巻き戻って復活してはまたボコボコにやっつける…というのを延々と繰り返せばひょっとすると勇者の心を折れるのでは…?

少なくない数の歴代の魔王が勇者に負けてきた中で、勝った僅かなパターンである勇者の心を折れる可能性がある?

魔法陣を破壊するという後戻りが出来なくて、かつそれが本当に正解なのか分からない不確実なルートを選ぶより、もしかするとこちらの方がいいのでは…?

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― 新着の感想 ―
よーいドン!でレベル90vs1とか手の施しようがないなw
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