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何度倒してもタイムリープして強くなって舞い戻ってくる勇者怖い  作者: 崖淵
第5部 終わりの始まり

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第69話 帝都への進軍

第25周回 4月 要塞エルグレア アドラブル


我ら魔王軍は、無事に要塞エルグレアを陥落させた。

私は夜が明けてから要塞内に入城する。まだそこかしらから何本もの煙がたなびいており、先程まで行われていた戦闘の気配がまだ色濃く残っているようだ。

そして要塞を守備していた帝国軍兵士達だが、夜間で激しい戦闘になる前に終わったせいか、少しでも敵に情報を渡さないために易々と逃がすわけにもいかなかったため、少なくない数の帝国兵が捕虜になった。不倶戴天の敵である捕虜となった彼らを我ら魔王軍は見せしめのために皆殺しにした…訳ではなく、そのまま捕虜として要塞内の一角に縛っておいてある。


それら帝国兵については積年の恨みから皆殺しにする案を押す部下もそれなりにいたのだが、この周回で終わる可能性もあるのではないかとの期待を込めて、終戦後の交渉の材料に使えそうだとして捕虜としてある。まだまだ周回が続きそうなら今後は管理負担軽減のために皆殺しでも良いのだが、改めて内部からみたこの要塞の防御機構はとても優秀である。勇者が要塞強襲があることを知った次回以降の周回でこの要塞エルグレアを落とすのは難しいと言わざるをえないので、今回の周回で全ての決着をつけたいところだ。


捕虜の処理、要塞内の調査(まとまった兵が隠れているような作戦があると面倒なので)、部隊の再編制や兵の休憩などで二日間ほど費やしたが、当初の予定通り二万の兵を要塞の守備に残して速やかに帝都方面へ進軍する事となった。


この留守番の二万という兵の数字を決めるのにも何度も議論がなされた。

帝都東の森に我らの目的の物があれば良いがあるとも限らず、たとえあったとしても破壊してそこで全てが終わるかどうかも分からないので、最終決戦まであるのであれば本隊の魔王国への退路は確保しておかねばならないので要塞の守備は重要だ。とはいっても帝国領に侵攻する魔王軍本隊を五万未満にしてしまうと、そこで勇者率いる帝国軍…長くて面倒だな、以後『勇者軍』でいいか――魔王軍本隊が五万未満の兵力で、魔王軍より兵質に優れる勇者軍三万弱とぶつかるのも怖い。

要塞エルグレアの帝国領方面の城壁は、魔王国側の城壁と比べて薄くその高さも低いのだが、二万もいれば余裕をもって要塞を守備しつつ、退路や補給路を確保し続ける事ができるだろう。

もっとも勇者軍がこの要塞に押し寄せてきた場合は、どうなるかは分からないが。とはいえその可能性は薄いとみている。

ただその場合でも帝国領北西方面より五万の兵が要塞エルグレアに向かって来ているはずで、敵より多い兵数で要塞に立て籠る事が出来るのであれば、いくら勇者軍が相手でも対応としてはそれで充分だと思っている。もう北西部を出立している分、もし勇者軍が直接この要塞を目指したとしても勇者軍より早くここに到着するはずだ。




そして、本隊の出発の日となった。要塞の守備は腹心のハキムに任せる事にした。北西軍の受け入れや帝都方面への増援など、場合によっては様々な判断を必要とされるこの地を任せられるのはハキムをおいて他にいなかった。


そして魔王軍本隊は帝都へと繋がる公路を南下する。

先だって飛竜部隊や五千の兵を出発させて各地の村や小規模の街を盛大に焼かせている。

なぜそのような事をしているかというと、それは帝国への嫌がらせ…ではなく帝都まで大きな地方都市がいくつかあるが、この近辺にわずかにでも存在する帝国軍にそこに引きこもっていて欲しいからだ。町や村が焼かれれば、全てを守る事は出来ない帝国からすれば基本的には地方都市を守ろうと動くはずである。

小規模の敵兵力の集結を促してしまうきらいはあるが、そこは仕方ない部分だろう。最優先すべきは帝都及びその東の森であり、そこに逸早く着く必要があるのだから。


代わる代わる五千程度の兵に進行方向付近の村を盛大に焼かせつつ、精鋭部隊には本隊進軍方向の露払いをさせて先を急ぐ。

目論み通り各地方貴族の私兵や各地の小規模な守備兵は、地方都市を守る形になったようだ。それでもたまに帝都への道を倒木などで妨害しようとする敵部隊や物理的に強襲をかけてくる義勇兵などもいたが、精鋭部隊により速やかに排除された。

精鋭部隊の露払いが無かったらかなり時間がかかったのは確かだろう。

なお、帝都への途上で後を追いかけてきた要塞守備兵2万と合流して魔王軍の総兵数は出国時とほぼ同数の7万余となって進軍を続けた。要塞エルグレアに思ったよりも早く北西軍が到着したとの事で、ハキムの手配により早々に追いかけてきたようだった。


ただそれは後から追いかけてきた軍が追い付いたという事でもあったわけだ。

勇者の元に連絡が辿り着いて勇者軍がこちらに向かって追い付くのが先か、我らが帝都まで着けるのが先かの競走となった。


そして帝都への進軍を開始して三週間程度が経った。我ら魔王軍の目の前には白い無垢な城壁に囲われた巨大な帝都が見えてきていた。


その帝都前の平原に勇者軍は…



いなかった。

我ら魔王軍が勇者軍より先に帝都に着く事が出来たのだった。

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