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何度倒してもタイムリープして強くなって舞い戻ってくる勇者怖い  作者: 崖淵
第5部 終わりの始まり

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第65話 第24周回北東攻防戦

第24周回3月 魔王都総司令部 アドラブル


さて、前周回も無事に終える事が出来て今は次の周回である。そして、ここ最近の周回の要となっている北東攻防戦の時期が近くなってきた。

勇者一行率いる帝国軍の動きを探らせているが、今のところ前回と帝国軍の動きはほとんど変わらず、前回同様に帝国領北東部へ向かうようなルートで順々に帝国内の反乱を潰しているようだ。という事でまたもや今周回も来月あたりに帝国領北東部で魔王軍と帝国軍が激突する――北東攻防戦が行われる事になりそうだ。


で、今はその北東攻防戦を魔王軍はどのように戦っていくかの方針を決める勇者対策会議である。まずは勇者対策会議の議長であり私の腹心中の腹心であり私の副官でもあり総司令部の参謀でもあるハキムから発言があるようだ。

…あれ?もしかして私はハキムを働かせ過ぎかな?


「前回、エルデネト率いる諜報部隊により敵魔法使いをおびき出して仕留めたと報告書にあります。しかし前周回と同じ事が絶対に通じないと言われる勇者相手に同じ事をしても逆にやられるだけですので、このような個別襲撃とは違う方法で挑みたいと思っております。

そこで今回は聖女率いる伏兵部隊ごと、バルダッシュの精鋭部隊に潰してもらおうと思います。もちろん既に現地入りしている諜報部隊との連携や事前偵察は欠かさず臨機応変にいきます。ですがこちらの想定と全く同じ行動でなくても、基本的には聖女及び魔法使いは少ない手勢を率いて別働隊を率いると見られますので、そちらを強襲して討ち取る事をめざします。」


ぱちぱちぱちと拍手が起こる。

前回は北東攻防戦中に暗殺という手段を用いて勇者一行の一員である魔法使いメルウェルを仕留めた。恐らくその影響が年間を通じてあったのだろう。最終決戦における勇者一行自体にキレが無かった。そのため最終決戦を総括すれば基本的には危なげなく勝つことが出来たと言える。最後の最後で勇者は一人で驚異的な粘りを見せたが、それ自体は些細な事だ。

そのため今回も勇者一行のメンバーを欠けさせる方向でいきたいと思っている。そこを満たしているハキムの提案に否は無いな。他の者も概ね同様の反応だ。


「なお、万が一帝国軍が別働隊を設けずに一丸となって魔王軍本隊5万に襲い掛かってきた場合は、そのままぶつかると数万のゴブリン兵がやられるだけで特にこちらにメリットがないので、後背を精鋭部隊に突いてもらうような動きが必要ですね。」


そうだな。


「ただし、後背からバルダッシュ殿が帝国軍を襲撃しそれが成功して挟み撃ちのような恰好になったとしても、帝国軍の前面に位置する部隊は非常に弱いので、それで出来るのはせいぜい膠着状態を作り上げるくらいで、勇者一行の誰かを討ち取るような決定的な戦果をあげる事は難しいと言えます。

ここで決定的な戦果を挙げなくても負けではありませんが、

『敵が想定した中でもこちらの希望通りに動いてくれなくてダメでした。だから何も戦果無しです。』

では少し寂しいので、その場合に備えて何かもう一手欲しいですな。」


ふうむ…そうだな。

基本的に作戦を伴うような行動をとれる部隊は魔王軍においてバルダッシュの部隊くらいなので、なかなかとれる手段が無い。兵を伏せるような行動も単純そうに見えてダメだ。ゴブリンたちに大人しく隠れていろというのは無理がある。

もう一部隊作ってさらに側面から攻撃というのも…出来なくはないか。ただ普通に配置したら相手の斥候に普通に見つかるだろうから、一工夫いるな。


あーだこーだと軍議の結果、この場合に備えて私が5万の兵を率いて後詰をする事になった。

ただしその後詰の存在を勇者に知られて警戒されてしまっては不味いので、相手の斥候の警戒範囲より外側で駐留する必要がある。そのため北東魔王軍とはそれなりに距離を離して待機しなければならないので、すぐに戦場に辿り着ける訳では無い。なので帝国軍の動向を逸早く知り私へ伝達する必要はあるし、私が戦場に着くのが間に合わないパターンもあるかもしれない。その場合に備えて北東魔王軍に特別軍監としてハキムを派遣する事になった。

帝国軍が別働隊を作って聖女や魔法使いがそちらを指揮するようなら私の後詰部隊は解散しハキムは撤退する方向で、帝国軍が別働隊を作らないで北東軍と全軍激突を望むようなら、私が戦場に赴き元々の北東軍五万と併せて合計十万の兵を率いて帝国軍と戦う。帝国軍は二~三万と聞いているので、十万なら弱兵揃いとはいえお釣りが来るだろう。

それでも欲張らずにそこで帝国軍を上手く足止め出来れば、バルダッシュ率いる精鋭部隊が隙をついてその後背を討ってくれる手筈だ。そこを一気に逆襲に転じれば運がよければ勇者一行の誰かを討ち取れるかもしれない。そこまで上手くいかなくても、勇者の虎の子である直属の帝国軍に大きな被害を与えることが出来れば、それは悪くない結果だろう。


ちなみに特別軍監のハキムの役割だが、万が一私が戦場に間に合わない場合に現地司令官(元々は勇者に気持ちよく勝ってもらうために指揮能力は低い)に代わって指揮を執り、私の到着まで防御中心に指揮を執ってもらうためだ。


これで方針が決まった。


この会議に列席しているバルダッシュの名前を呼ぶ。

帝国北東部及び北西部で略奪に従事しながらゴブリン兵の進化を目指す作戦で進化したゴブリン兵はまだそれほど多くないのだが、既存部隊からの引き抜きで進化済ゴブリン兵のみで構成された精鋭部隊はバルダッシュの元で1月から訓練されている。そちらは中々の訓練度だと聞いている。


短く精鋭部隊を率いて勇者一行である聖女と魔法使いを討ち取るように命じた。


バルダッシュは誇らしげに


「必ズヤ成シ遂ゲテ見セマショウ。閣下ハ安ンジテオ待チアレ。」


というや、指揮権を表す黒光りする指揮杖を私から受け取るとそのまま颯爽と出陣していった。


そして、結論からいうと北東攻防戦は大成功に終わった。

勇者率いる帝国軍は予想通りというかこちらの希望通り部隊を分けてくれたので、バルダッシュが聖女らの伏兵部隊を強襲する事となり、私は後方で待機したままとなった。

そして前回と同じく主戦場では3万余のゴブリン兵の犠牲が出てしまってはいるものの、こちらの本命である聖女と魔法使いの両名に関しては無事に討ち取る事が出来たとの事だ。

報告書によると敵伏兵部隊は多少の陣立ての変化はあったものの、基本的に布陣場所や指揮官等の配置は前回と変わらず、前回得た情報を最大限に活用して、聖女と魔法使い両者を奇襲によりきっちり討ち取る事が出来たとの事。


まだ4月で精鋭部隊の数も練度も大した事は無いはずなのだが、バルダッシュは精鋭部隊を率いるのによっぽど適正があるのだろうな。毎回、結果を出してくれる。そこで今回の戦功を大いに褒めてやると


「…情報通リダッタ。誰ガヤッテモ出来タ。大シタ事無イ。」


と横を向いて素気なく言い放ったが、そこに照れがあるのは諸将からは明白だった。しかし照れるリザードマンとかすっごいレアだと思うの。いつもは無骨な老戦士なのだが、とてもかわいく感じてしまった。

腹心のハキムなんかは『あんな殊勝な態度なのはアドラブル閣下の前だけですよ。』とかなんとか言っていたが。




今回の北東攻防戦もこちらの望む通りの結果に終わった。

配下の軍事部門は聖女と魔法使いの2名が勇者一行から失われたとはいえ油断せずに最終決戦に向けて準備を整えていた。しかも次の周回で自分たちの活躍具合の上映会が開催される(今の自分たちは見れないけど)となれば、より一層の気合が入った。そして私はなるべく天幕の中にいないで最初から天幕の外にいて戦場を見ていて欲しいと皆からお願いされる始末。私が外に出て無いとジンベも外を見なくて自分の姿が上映シーンに出てこないって事だろうけど。まぁ、いいけどさ。

一方で研究開発部門は、より良い結果を次の周回に引き継ぐべく各部署で研究開発を進めていた。こちらもモチベーションは上々で様々な成果が期待が出来そうだった。そんな良い空気が魔王軍に流れている時だった。


勇者対策会議室のメンバーでもあるグダンネッラがアドラブルに面会を求めてきたのだ。

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