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何度倒してもタイムリープして強くなって舞い戻ってくる勇者怖い  作者: 崖淵
第4部 第22周回

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第56話 私こそが最強の魔法使い

第22周回 12月31日昼過ぎ エルデネサントの野 勇者と呼ばれる男


「くっ、飛竜で重騎士隊の突撃を防がれたか。」


そんな俺の独り言に傍にいるタスクが反応した。


「あの飛竜部隊ワイバーンの話は勇者から聞いてないし、今回が初めてだったんだろう?魔王軍があんな隠し玉を持っているとはな…。」


「いや、確かに初めてなんだが、北東攻防戦で勝手に追撃に出た奴らがいただろう?結果的に追撃は追いつく前に止めたらしいんだが、その時責任者からの報告書には、

『先行した軽騎兵だけが先に追い付きそうだったけど、ちょうどそのタイミングで野良の飛竜の群れにやられたみたいだった。騎兵隊に被害が出て追撃が難しくなったから無理せず撤退しといた。』

とか言ってたんだよ。勝ち戦だったからそのまま流したけど、その飛竜は野良じゃなくて魔王軍の部隊じゃねーかよ!」


「む、そんな報告があったのか。それはそんな報告書を書いてきたやつは罰さないといけないな。」


「もう今更だ。この時期に分かってもどうしようもない。」


「まぁ、そういうな。次回以降で生かす時があれば生かせばいいさ。」


「いや、もう次回はねーよ。今回で終わらせる!」


「そうありたいものだな。しかしあの北東攻防戦時に、この飛竜部隊が表舞台に出てこなかったのは、向こうもまだ出せる状態じゃなかったという事か?」


「そうだろうな。結果的にうちとしては作戦の要である重騎士隊の勢いを止められてしまったが、反撃されてかなり討ち取られて慌てて空に逃げて行ったからな。本当に上手く運用できれば重騎士隊を止めただけでなく、完封されかねない可能性を秘めた部隊だ。まだ慣れてないんだろう。」


とはいえ、この世界に空戦という概念はまだ無いだろうから、この結果でも十分過ぎるほどで、そこまでの圧倒的な成果は無理だろうなと勇者は思った。


「まぁ、そうかもな。」


そんな会話をタスクと交わしていると、決死隊が予定よりだいぶ早く重騎士隊の隙間を縫って、敵の精鋭部隊に斬り込むところだった。


「敵もる者だな。」


重騎士の突撃に合わせて精鋭部隊を温存するような形で一旦下げて、魔王軍の中では弱兵の通常ゴブリン兵を前面に押し出してきたかと思えば、飛竜部隊で重騎士の勢いが完全に止まったとみるや、弱兵のゴブリンを下げてこちらの勢いを上手く殺していた精鋭部隊をまた前に出してきたか。

動きのとまった重騎士隊では、あの精鋭部隊相手に数を削る事は出来ても、そこから更に前に進んで距離を稼ぐ事は難しいだろう。だからここでの決死隊の斬り込み開始は妥当な判断に見える。とはいえ…


「しかし困ったな。まだ敵本陣まで遠過ぎる。止むを得ないとはいえ、決死隊だけでここからあの敵本陣までの距離を稼ぐのは無理だろうよ。力を温存しておきたいのはやまやまだが、どうする。うちらが出るか?」


タスクも同意見のようだ。


「そうだな。メルウェルに適度に範囲魔法を使ってもらうのが、あの相手に対しては相性がいいだろう。」


「《《適度》》に…?」


「言うな。…メルウェル、聞いてただろう?

お前の力を借りたい。今は決死隊が前線を切り開いているが、決死隊だけではあの本陣まではとても持たない。決死隊と戦っている敵前線の後方、敵本陣と前線との中間あたりに範囲攻撃魔法をいくつか撃って欲しい。」


「ええー、めんどくさいんだけどぉ。どうせなら、敵のアドちゃんに私の魔力の丈を全てぶちかましたいから、私も魔力はとっておきたいなー。」


といいながらも満更でもなさそうにこちらをチラチラと見ている。

こんな状況でこいつは…。ぴきぴきと思わずこめかみに力が入る。


「こっのやろ…」


と言ったところで横から白くて細い手が、俺を抑えるかのように俺の目の前に伸びてきた。聖女マミアだ。


「メルウェルちゃん?」


「ひゃ、ひゃいっ」


「おねーさん、いつも言ってるわよね?」


「えっ、えっ、何をですかねー?」


と言いながら目が泳いでいるメルウェル。


「へー、そういう事言っちゃうんだ?」


というと、がっとメルウェルの肩を掴んで引き寄せる聖女マミア。そして耳に何やら囁いている。途端に顔が赤くなったり、青くなったり…おいおいマミアは何を言ってるんだ。そして十数秒後…


「ゆ、勇者様。やってもいい…じゃなくて、やりますやります。むしろ、ありがたくやらせていただきますので、どうかお許しを…」


「え、別に許すも何も…」


と言ったところで、マミアがウィンクしてきた。話を合わせろって事か?よくわからんが、まぁいいか。


「しょうがねぇヤツだな。今回は見逃してやるが、次回からは気を付けろ…よ?」


と、言ってる内容はこのようにすっごい偉そうなんだが、とはいえ半ば訳が分からないからイントネーションは少し変だ。最後なんてちょっと疑問形だし。


「はい、すいません。もう勇者様には逆らわないので、どうかお許しを…」


俺の顔と下半身のあたりを視線を往復させながら『勇者様ったらそんな趣味が…』とか聞こえる気がするが、気のせいだろうか。というかマミアは何をメルウェルに吹き込んだんだろう。

…まぁよくわからんがこのお転婆娘がいう事聞いてくれるんなら別にいいか。


早速、火球をいくつか作ってぽんぽんと敵陣に投げ込んでいくメルウェル。メルウェルもLv65なのでその威力は絶大だ。軽く作ったように見える火球もかなりの魔力が感じられ、事実着弾するとその場に直径4m高さ5mくらいの火柱が立ち上がり、その着弾点を燃やし尽くした。いかに精鋭兵といえどゴブリン兵では高魔力のメルウェルの火柱の魔法は抵抗できるものではなく、火柱が収まるとそこにいたであろう数匹の精鋭兵がまとめて消し炭となっていた。火球1つでその惨状なのに、それをお手玉をするかのようにぽんぽんと次から次へと作っては投げ込んでいくのだから、魔王軍の精鋭ゴブリン兵にとっては正に悪夢だろう。精鋭であるはずのゴブリン兵の動揺が手に取るように伝わってきた。

でもたまに味方近くに着弾して、顔を蒼くした決死隊数名が同時に焦ったようにこっちを振り返るのはご愛敬…。メルウェルだから仕方ないネ…。


敵の精鋭部隊は密集体形からの連携力で勝負していたせいか、メルウェルの範囲魔法がハマった。一つの火球で数体をまとめて葬ることができた。火柱が上がった地点は空白地帯となったので、メルウェルにどんどん火魔法を投げ込ませると空白地帯が次々に出来た。その空白地帯目掛けて決死隊がすかさず斬り込んでいった。メルウェルに火柱の魔法を撃たせては進軍というのを繰り返し、空白地帯を繋げるように進軍してかなりのスピードをもって前進する事に成功した。それを三十発程度繰り返すと敵本陣はもう一息というところまで来れた。

メルウェルの魔力にまだまだ余裕はありそうではあったが、相手はアドラブルだ。ここでメルウェルの魔力を使い果たす訳にはいかないと、メルウェルに魔力の温存を指示した。

そういえばアドラブルといい勝負が出来る時は、決まってメルウェルの魔法が上手くハマった時だ。…って事は、勝てるかどうかはメルウェル(こいつ)にかかってるって事?やだなぁ…。


―――ここでっ、私の力をっ!


さて、ここからの残りの距離をどうやって攻めて詰めるか…って考えているうちに魔力の高まりを近くで感じたので、ふとメルウェルの方を見る。


セイヤァァァァァッ!(見せつけるっ!)


そのメルウェルから裂帛の気合とともに、坂上の敵本陣に向けて一直線に真っ白いぶっといレーザー光線みたいな魔法が放たれた。


此方から敵本陣入口までに結構な精鋭ゴブリン兵がいたが、白い光に飲み込まれたゴブリン兵達は跡形も無く消失していき、なおも勢いを弱めない白い光線は敵本陣を貫通するかのように突き進んでいった。


っていうか、何そのやっぱい魔法、初見なんだけど。


っていうか、メルウェル君。俺、君に魔力節約の指示したよね…?

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