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何度倒してもタイムリープして強くなって舞い戻ってくる勇者怖い  作者: 崖淵
第4部 第22周回

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第47話 聖女…?

第22周回 4月下旬 帝国北東部戦場 右軍伏兵部隊長聖女マミア


「いっけー!どんどん突撃よ!」


勇者の立案した釣り野伏とかいう作戦がきれいに決まって、目の前の魔王軍は総崩れね。だから私は部下の兵達に一兵でも多くのゴブリンを屠れと指示を出す。複雑な指揮を出来る自信も無いしね。

私自身は白兵戦をする能力はほとんど無いので、前に出てもあまり意味は無いのだけど、私が前に出ると兵士のみんなのやる気が違うのよね。これも私の美貌ゆえに仕方が無いところかしら。


私も聖女として見出される前は大貴族の令嬢であったために、流石に指揮官としての教育は受けてはいないけど、貴族として上に立つ者としての教育は受けているから、何をすれば人がついていくのかはある程度知っているわ。


聖女マミアは、より魅力的に聞こえるように少し声のトーンを変えてこう言った。


「そうねぇ…一番活躍した人には、一晩だけお相手をしてあげてもいいかもしれないわね。」


その途端、目の前で戦っている兵士たちの間に衝撃が走り目の色が変わる。が、その言葉には続きがあった。


「メルウェルが。」


「しませんっ!」


間髪入れずに隣から大きな声で否定が入る。メルウェルは魔法使いで体力が無いので、撤退戦には向かないとみられマミアのいる伏兵部隊に配備されたのだ。


「あら、兵士さんとだって良いかもしれないわよ?そんなに邪険にするものではないわ。」


「なら、マミアさんがお相手すれば良いでしょう!?」


「私個人的には別に構わないのだけど、聖女という立場がある以上、教会が許してくれそうにないのよね。だからメルウェルちゃんに譲ってあげるわ。」


いらないわよっ。と返すメルウェル。まるで戦場に似つかわしくない言葉の応酬だが、ここ数日こんな遣り取りを飽きる程聞いているので、周りの兵士たちは慣れたものだった。


とはいえ、最初の発言も冗談と思っていても、ワンチャンあるんじゃないかと期待した兵士がいた事も事実だが。いや、むしろそれでもまだワンチャンあるんじゃないかと思っている者もいそうである。


そんなどうでもいい遣り取りをしていても全く問題無いほど、戦場の状況は帝国軍優位で推移していた。


戦場の様子としては、魔王軍を追撃して縦長のカステラ(魔王軍)を伏兵部隊が両脇から食いついた感じだ。右軍と左軍が出会えば、魔王軍は前後で分断されて、反転してくる本体と併せて前半分はただ貪り食われるだけだろう。


    ―――――

   |  魔  |

   |  王  |

   |  軍  |

    \ (後) /

左軍伏兵→> <←右軍伏兵  進

    /    \      行

   |  魔  |     方

   |  王  |     向

   |  軍  |     ↓

   | (前) |     ↓

   |     |     ↓

    ―――――

     ↑↑↑(反撃)

   ―――――――

  | 帝国軍本体 |

  | (勇者含む) |


図で書くとこんな感じだろうか。図内の上にいる魔王軍(後)は逃げようと思えば逃げられるだろう。だが、図内で下に表示されている大多数にあたる魔王軍(前)は左右軍が出会って魔王軍の分断が完了してしまえば、そこからその厚みを突破して後方に逃げるのは非常に困難になる。そのまま魔王軍(前)は三方向から攻撃されて逃げるところもなく全滅だろう。


それゆえに逸早く右軍と合流するべく聖女は味方を鼓舞(一部下ネタあり)して更なる攻撃を加えているのだ。魔王軍はほとんど秩序なく散発的に反撃している程度でどこを見まわしてもこちらが圧倒的に優勢に押し込んで前線をどんどん上げている。

だが、それがマズい事は魔王軍も分かっているのだろう。先程から左軍で先頭を切って今までは一番前線を押し上げていたあたりで、ゴブリン兵ではないちょっと身なりの良いリザードマン――指揮官クラスと思われる――が、一兵でも多く後方に逃がそうと左軍の鋭鋒を受け止めて退路を確保しているのが見える。

反対側の右軍は止め切れていないように見えるため、右軍との合流自体は時間の問題そうだが、あれをどうにかした方が中央突破の成功及び包囲の完成は早まりそうだ。


とはいえ、聖女に出来る事は少ない。聖女マミアも現時点ではまだまだレベルが低いので、攻撃魔法が得意ではない聖女では本当に火力が無い。

隣にいるメルウェルならあの指揮官クラスにも脅威である魔法を使えるが、周囲の味方の方が被害が大きくなりそうでそれはさせたくない。


戦力を集中してアレを討ち取れと周りに指示を出す。だが、敵も然るものでなかなか上手くいかない。その様子を見ながら、聖女は『ヤレー!そこだー!』とか『いいからとにかく突っ込めー!』とか『お前ら気合い入れろ、ち〇ち〇ついてんのか!?』とか好き放題言っているが、もちろんそれで何かが好転するわけでもなかった。メルウェルですらそれはちょっとどうなのと思いながら、純白のハンカチをキーっと悔しそうに噛みしめる聖女の事を見ていた。


その間にもそのリザードマン指揮官の後ろを我先にと争いながら、…本当に争ってるゴブリン達もいて醜い争いをしながら大量のゴブリン兵が後方に逃げていく。そのゴブリン指揮官のせいで、短時間とはいえ数百、いや一千以上のゴブリンが逃げおおせたように見える。そのリザードマンの指揮官はフリーだった右軍側がすぐ背後まで迫り包囲の完成間近なのを確認するや否や、潮時と見たのか近くの兵を引き連れて整然と退いて行った。


それから程なくして包囲は完成された。去って行ったリザードマン指揮官を追撃しても良いのだが、伏兵軍の元々少ない戦力を分散させるよりも包囲した魔王軍を殲滅させる方が優先と聖女は周囲の部隊に追撃は控えさせ、包囲した方の魔王軍を逃がさないように指示を出した。

ただ、聖女マミアは目の前でむざむざと大量のゴブリン兵――聖女マミアは人族の…特に女性の大敵である醜いゴブリンが大嫌いだった――の逃走を許させたのはちょっと悔しかったので、腹いせに聖魔力を込めた魔力球をそのリザードマン指揮官目掛けて振りかぶって思いっきり投げつけてやった。正直期待してなかったが、なんと見事命中したみたいだ。とはいえ、ちょっと痺れる程度で殺傷能力が全然無いので本当にただの嫌がらせだったが。


でもちょっとスッキリした聖女マミアだった。

カステラって美味しいですよね。

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