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何度倒してもタイムリープして強くなって舞い戻ってくる勇者怖い  作者: 崖淵
第4部 第22周回

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第42話 両軍激突

―――明朝 魔王軍陣地 魔王北東軍総大将バルダッシュ


北東部での略奪行為は勇者率いる帝国軍の横槍によって中断されており、魔王軍の戦略的観点からは頓挫している状況ではあるが、目の前の戦場での戦況は順調だ。連日、倍以上の兵を頼みに魔王軍は帝国軍を攻め続けている。

しかし今日は帝国軍陣地からは朝から盛んに煮炊きの煙が上がり、何かがいつもと違う事が魔王軍からも見受けられた。


「帝国軍ノ陣地ノ様子ガ変ダナ…何カ、アルノカ…?」


バルダッシュは質の高い戦士が多い事で有名な蜥蜴人族リザードマン出身である。総じて脳筋が多い蜥蜴人族リザードマンにおいて、指揮官もこなせる稀有な存在であるバルダッシュは戦の経験が豊富で魔王軍総司令官アドラブルの信頼も高く、北東魔王軍の総大将を任された。そんなバルダッシュは護衛として周囲を固めている同族である蜥蜴人族リザードマンの戦士たちにそう話しかけた。

もっとも個々の武力の強さを誇りに持ち血の気の多い同族たちは、いいからやっちまえ的な発言が多く全く参考にはならなかった。ただし、蜥蜴人族リザードマンにしては思慮深いバルダッシュはそれらの同族の意見にそのまま同意することなく、敬愛する総司令官であるアドラブルより付けられた軍監*に意見を求めた。


※軍監…本国より遠征軍等に派遣される戦況を監視し、第三者の目で本国に経過を報告する者。ある程度の戦争の知識と客観的な視点が求められる。軍の監督者。


すると軍監はこう答えた。


「バルダッシュ殿の思うように何かを変えてこようとしているのだと思います。帝国軍が現状の防戦一方の状況を何らかの策を用いて撃って出てくる…攻勢を目論んでいるのか。はたまた真逆の一時退却するというのもありえそうですな。」


「フム…。」


バルダッシュは少々考えた…とはいえ魔王軍は連日の攻勢で勢いに乗っている。それに兵の大多数であるゴブリンは、攻勢が得意という訳ではないが、少なくとも守勢は苦手だ。守勢に回らされる前に攻撃をしかけ攻勢を続けるべきと判断したバルダッシュは、何かを変えることなく、いつも通りに早朝から帝国軍へ向けて攻撃を開始させた。


しかし、最初の一当てで魔王軍は帝国軍よりかなり激しい反撃を食らい、短時間に魔王軍にそれなりの被害が出た。帝国軍の士気は高そうだ。それを見たバルダッシュは一旦態勢を立て直そうと前掛かり一辺倒ではなく、少し引き気味にするよう前線部隊に指示を出した。


やっとその指示が行き渡り、魔王軍が少し攻勢を控えたその瞬間、それとタイミングを合わせるかのように帝国軍がサーっと砂浜に寄せた波が引いていくように退いていく。


「帝国軍ガ狙ッテイタノハ、コレカ!」


今朝は魔王軍に対して昨日までと一転して激しい防衛戦を展開し、魔王軍を怯ませたところで一気に撤退する。言うは易しだが簡単な事ではない。魔王軍は練度が低いので到底出来ないだろう。ただその練度が帝国軍にあったとしても見事な指揮だと思った。だが感心してばかりもいられない。

退いていく帝国軍を追撃するべく慌ててバルダッシュは攻撃指示を出した。


元より兵の練度や規律といったものが低い魔王軍はその指示が行き渡るのに時間がかかる。特に、攻撃に逸るゴブリンたちを止めるという今朝の指示はかなり難しいと言える。

一方で今回の指示である攻撃を仕掛けさせるという指示は通り易い。

直前に攻撃を控えろという指示が出ていたため、退いていく帝国軍を指を咥えて見ていたゴブリン達だが、攻撃指示が出ると我先にと追撃を始めた。


ただし一度距離が離れ、進軍の勢いに差がついた今は、小柄なゴブリンと人との歩幅の差もあり両軍の距離は容易には縮まらない。


「逃ガスナ、追エ!」


ゴブリン兵たちに更なる追撃を指示する魔王軍総大将バルダッシュ。

逃げる帝国軍とそれを追う魔王軍。昨日までの魔王軍の戦果は、連日一方的に帝国軍陣地を攻撃している割には帝国軍の被害が小さいのをバルダッシュは把握していた。ただ、ここで撤退する帝国軍に追撃を与え、背後から思うままに蹂躙出来たならば、今までと違い少なくない被害を帝国軍に与える事が出来るだろう。魔王軍のゴブリンと違い、人族の兵士は兵の補充が容易ではない。その戦果にはアドラブル様もお喜びになるはずだ。


早朝から始まった魔王軍と帝国軍の本格的な激突は、緒戦で一度は激しく交戦したものの、その後は撤退する帝国軍とそれを追撃する魔王軍といった追撃戦へと移った。だが、帝国軍の統率のとれた撤退の見事さになかなか魔王軍は追い付けなかったが、それでも太陽が中空の一番高い位置に昇る前には魔王軍は帝国軍に追い付く事が出来た。


ただし、追い付いた帝国軍のそのすぐ向こう側には、不気味な沈黙さを保つ鬱蒼とした森が広がっていた。

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