表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何度倒してもタイムリープして強くなって舞い戻ってくる勇者怖い  作者: 崖淵
第4部 第22周回

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/98

第35話 そして次の周回へ

第22周回 1月1日帝都近郊某所


勇者の死亡によるループ処理が行われた結果、所定の時間まで巻き戻った上で召喚魔方陣にある地に呼び戻された勇者と呼ばれる男は、しばし呆然としていた。


「えっ…こんな(ループの)終わり方ってあり?」


召喚の儀の眩い光の中で何をするでもなく、ただ立ち尽くす勇者と呼ばれる男。


この男、常人であればかなり苦痛を感じるであろうこの(今のところ)終わらないループをゲーム感覚で楽しんでいた。とはいえ、全く徒労感を感じない訳ではない。


この男はアドラブルと雌雄を決する最終決戦をかなり楽しみにしていた。1ループ(1年間)の集大成ともいえるし、高い壁である魔王軍とその首魁であるアドラブルに対してこの1ループ(1年間)でやってきたことをぶつけて、その成果を確かめるのはこの男にとって大きな楽しみであった。

その一番の楽しみを味方のミス――あれはミスなのか?――悪ふざけ?――ふざけてはいない気がする――なんと表現していいか分からないが、とにかく味方のやらかしによりその楽しみを目前で奪われたのだから、そのショックは一際大きかった。


「はぁぁぁぁぁ。メルウェル…まったくお前ってやつは。あーあ。」


分かっていたつもりだったけど、メルウェルがここまでアレなやつだったとは。最終決戦に臨まずに周回が終わったのってやらかした初回以来じゃないのか…ん?あれ?もしかして最終決戦まで行かなかったからペナルティとかあったりする?


あわてて賞罰欄を確認する勇者と呼ばれる男。


しかし、賞罰欄には何も増えていなかった、

ああ、よかった。最終決戦に参加できなかったペナルティは無いみたいだ。ああ、そういえば、早期に魔王軍の襲撃をくらって巻き戻った事が一回あったな。あの時もペナルティ無かったし、故意の不参加でなければ大丈夫って事なのかな。ふぅ、一安心。


ちなみに、賞罰欄のペナルティの有無を確認した時にちらっと


〇|始源より大地に根差す叡智の結晶:英知の書を手に入れた事がある

[永続:英知の書がある地にいけば即座に英知の書を取得可能(英知の書初回取得時に必要だった種々のクエストを再度クリアする必要なし)]


という文章が見えた気がするが、見なかった事にした。うん、賞罰欄には何も増えていないな。


あれは二度と触れてはいけないものだという事を学んだ周回という事にしよう。せめてそうだと思わねばやってられない…と。


勇者召喚の儀式による男を包む眩いばかりの光が段々と収縮していく。


また次の周回が始まるのだ。

勇者と呼ばれる男は、気を取り直して次の周回へと挑むのだった。






第22周回 1月1日新魔王就任式


時が巻き戻って、新魔王就任式にて新魔王に忠誠を誓う儀式として頭を下げているアドラブル。アドラブルもまたこのはじまりの時に舞い戻った。


時の巻き戻りによる一瞬の意識の混濁を終えて、周囲の景色の変化を認識し時が巻き戻った事を実感するアドラブル。しかし、ある事に気付いたアドラブルはそのまま頭を下げながら頭の中で頭を抱えていた。むしろ、リアルでも頭を抱えていたいくらいだった。


―――えっ、なんで???どうして???


なんで、まだ11月なのに時が巻き戻って次のループに行ってるの?最終決戦どこいった?次の周回に持ち越そう思っていた各種の研究成果とかをまとめて暗記する予定にしていたのにまだ何も記憶していないんだけど。というかそれ以前に、各所からの研究成果とか何にも提出されてすらいないんだけど。


そりゃそうだよね。

12月末の最終決戦の直前に記憶するんだから、その研究成果をまとめたものなんて早くても12月上旬…大体は中旬とか下手すりゃ下旬や最終決戦直前に挙がってくるわけなんだから…現時点である訳がない。はぁ、この一年間の研究が無駄になった?


11月末にいきなり周回終わるとか…勇者何やってんの?何してくれてはるん?


―――はぁぁぁぁぁ。


アドラブルは一際大きなため息をついた。

いつも泰然としている魔王軍総司令官であるアドラブルの大きなため息に、周囲の出席者は珍しいものを見たという表情をしていた。

が、周囲の様子を窺う余裕のないアドラブルはそのまま小さく独り言をつぶやいた。


「これが計算だとしたら…勇者め、やはり恐ろしいやつだな。」


もちろんそんな事はないのだが。




不俱戴天の敵同士である両者は、全く違う場所でありながら全く同時に頭を抱えていたのだった。


メルウェルぇ…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
メルウェルのやらかしが致命的過ぎて草w もしこのループも含めた戦争が後の世に伝わることがあれば、実はメルウェルは魔王軍の間者だった、みたいな説が出るかもしれない。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ