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転生遺族の循環論法  作者: はたたがみ
第1章 民間伝承研究部編
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転生少女の新生活1

 波乱の卒業式から数日、私たちは王都某所のとある宿に集合していました。コヨ君は外で待機です。

 先日晴れて冒険者登録を済ませ、私たちはFランク冒険者となりました。


 ランクにはFからA、さらに国から認められた者のみがなることのできるSランクが存在します。基本的にはクエストをこなせば成績に応じて昇級できますが、BとAランクは試験をクリアしないといけません。Sですか?基本なれませんよ。

 パーティーにも同様にランクが適応され、これはメンバー各人とパーティー全体の成績から決められます。私たちの場合、リムノさんはAランクですが他にFランクが3人いるのでEランクパーティーとなります。

 大手になれば既に優秀な人材が揃ってることとパーティーとしてそれなりの成績を挙げてることから新人を何人か入れてもランクが変動することはありませんが。


 と言うわけで私の冒険者ライフもスタートしたわけです。


「それでそれで?これからどうする?」


 リムノさんがウッキウキで訊いてきました。そんなにパーティー組みたかったんですか。


「取り敢えず拠点を決めましょう。最悪リリィは転移(テレポート)が使えるからいいにしろ、俺とイデシメは学園の寮を使ってたんでどこかの宿に泊まることになるでしょうね」

「なら私もご一緒します。両親からパーティーのメンバーとは寝食を共にすることを勧められたので」

「おいおい、いいのか?ゴードンさんとセシリアさん寂しがるだろ」




「ぐああああああああああああああ!!!!!」

「あなた、どうしたの⁉︎」

「リリィがああああ!俺の娘がああああああ!!!」

「あなたああああああ??????」




「ご心配は無用ですカール君。2人ならきっと大丈夫です」

「そうで、カール君。あの2人なら絶対応援してくれるき!」

「そ、そうか」

(ゴードンさんが発狂する様子が浮かんできたんだが……。さては無理してかっこつけたな)


 納得してくれたようで何よりです。

 さて、それではカール君の言う通り目下の課題の拠点を決めましょう。実家暮らしはどこか気まずいのでパスです。どこかの宿に泊まるにしてもお金がいりますしね。政治や行政のことはよく分かりませんが支援制度くらい設けてくれないものでしょうか。

 そして今のところ頼れる資金源(おサイフ)はリムノさんだけ……


「「「じーーーーーっ」」」


 イデシメさんに加えてカール君までもが視線を向けてます。けど仕方ありません。お願いしますリムノさん。私たち恵まれない子供に慈悲を!


「あら、みんな揃って私のヒモになりたいの?」

「「「ぎくっっっ!」」」

「そう来ると思ったわ。実はこんなこともあろうかと思って……」


 まさか、既に宿の準備を!


()()()()()()()()()()


「「「…………え?ええええええ!!!???」」」

「あら、そんなにびっくりした?」

「当たり前ですっ!」


 家を買った?文脈から判断するに私たちで住む家を?コヨ君(ペット)OKの家を?お金はどうしたんですか!ローン?まさか伝説の……


「あ、ローンなら心配しないで。もう全額払ったから」


 キャッシュだーーーーーーー!!!!!嘘だドンドコドーン!いくらAランクって言ってもどこにそんなお金があると言うんですか!


「そそそそそそんなお金、一体どこで?」

「それがね、その家が所謂幽霊屋敷みたいなもので、値段が相場より2、3桁安くなってたのよ」

「なんて物件買ってるんですか!」

「リムノさん、今幽霊屋敷って言いましたけど住んで大丈夫なんですか?俺たちが祟られたりとか」

「大丈夫よ。いい人だったし」


 ……ん?何ですか今の()()()()()()()()()()()話し方は。ひょっとしてリムノさんまさか……いやいや流石にあり得ませんよね。でも一応確認を。


「リムノさん、まさかとは思いますけどその幽霊に」

「会ったわよ。内見の時に」


 うん、もう驚き方を使い果たしました!どうにでもなりなさい!


「噂には聞いてたけどびっくりしたわ。知り合いに勧められてなければ絶対に行かなかったわよ」


 リムノさんの知り合いさん、何やってるんですか。おかげで私たちがとんでも物件に住む羽目になってますよ。


「その幽霊さん、自分の屋敷に住むのに相応しい人間じゃなきゃ嫌って言ってたのよ。今まで住もうとしてた人たちは生前覚えた魔法で追い払ってたみたい。

 でもあなたたちのことを話したら快く住むことを許してくれたわ」

「その幽霊、信用できるんですか?」


 カール君の表情が険しくなっています。流石にここまでの所業をされたら先輩でAランクといっても少し、いやかなり不安になってくるものです。

 しかも相手は幽霊でありながら魔術師。肉体を失っても魔法が使えるだけの魔力が残っているとなると、相手は生前とんでもなく強かったということになります。もし悪い人だったら……最悪です。


「安心して。悪い人じゃないと思うわ。だって……その人、()()()()()()()だから」


 …………え?

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