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補助魔法使い達、魔物と遭遇する

 それは、船で砂漠を進んでいる時に起きました。

 時刻はお昼を過ぎた頃、昼食を終え甲板で風を浴びながら代わり映えのない風景をボーっと眺めていると、遠くから近づいてくる影を僕は捉えました。


 「んー……んっ? あれは……!」


 最初は何かが近づいてきてるなくらいでしたが、その姿が近づくにつれ、その存在が何なのかがハッキリとわかるようになりました。


 「どうしたの?」

 「あっ、シアさん! あれです、あれ!」

 「ん。理解した」


 僕が少し大きな声を出したからでしょうか、甲板でお昼寝していたシアさんが、跳び起きて僕の隣にやってきたので、異変をシアさんにも伝えました。


 「とりあえず、船を止める」

 「そうですね……キアラちゃん、船を止めて貰っていいですか?」

 『何かあったのですか? とりあえず、止めますね』

 

 船が速度を落とし、そして止まりました。


 「なー? どうしたんだー?」

 「何かあったのかい?」

 

 船が止まると、船内で休んでいた人達も何事かと甲板へと集まってきました。


 「はい。見てください」

 「うわ……出た」


 僕の指を差す方をスノーさんが見ると、嫌そうな顔をしました。


 「魔物か……。丁度いい運動だ。私が仕留めてこよう」

 「ダメですよ!」

 「どうしてなのだ? このままだと魔物が襲ってくるぞ?」

 「あの魔物は大丈夫ですよ」


 エレン様が魔物を倒してに行ってしまいそうだったので、僕は慌ててエレン様を止めました。


 「しかし……」

 

 ですが、エレン様は納得がいっていないみたいですね。

 どうやらエレン様はあの魔物事を知らないみたいですね。


 「本当に大丈夫なので安心してください」

 「ユアン殿がそういうのなら様子は見るが、もし危険だと判断したら勝手に動かせて貰うぞ?」

 「はい、その時はお願いします」


 となると、そうなる前に安全だという事を証明しなければいけませんね。

 ですが、それを証明しようにも手段が乏しいので難しいですね。

 それに、魔物の様子も少し変です。

 船が止まると、その場でぴょんぴょんと跳ねながら前足をパタパタと忙しく動かしています。


 「とりあえず、挨拶でもしてみますか?」

 「うん。まずは意思の疎通をする」

 「そうですね」


 僕は右手を大きく上げました。

 すると、魔物も右の前足をあげました。

 とりあえず、大丈夫そうですね。

 ですが、直ぐに魔物は前足をパタパタと動かし始めました。

 どうやら何かを伝えたいみたいですね。


 「もしかして、助けを求めてるのでしょうか?」

 「うん。こっちに来てと言っているように見える」

 「傭兵蟻は賢いからなー。それに可愛いしなー」

 「可愛くはないと思うけどね」


 そうなんです。

 僕がキアラちゃんに船を止めてもらったのは、近づいてきたのが傭兵蟻さんだったからです。

 これが別の魔物だったら無視して進んだと思うのですが、傭兵蟻さんは何故か人に対して友好的な魔物で、実際にガンディアのダンジョンで僕たちを手伝ってくれた経歴があります。

 もちろん別の個体なので全ての傭兵蟻さんが同じだとは思いませんが、わざわざ近づいてきたので何か意味があると思ったのです。


 「どうしますか?」

 「とりあえず、話だけは聞いてあげたいですね」

 「魔物と話なんて出来るのか?」


 エレン様は半信半疑で僕にそう尋ねます。


 「出来ますよ。ちょっと回りくどいやり方になりますけどね」

 「ふむ。興味深いな。どうやるのだ?」

 「見ていればわかる」


 そうですね。

 説明するよりも実際に見てもらった方が早いですね。

 という訳で、キアラちゃんにキティさんを呼んで頂きました。


 「主殿、お呼びですか?」

 「うん。急にごめんね。悪いけど、傭兵蟻さんに要件を聞いてもらえるかな?」

 「畏まりました。少しだけお待ちください」


 ラディくんではなくキティさんを呼んだのは周りが砂だからです。

 ラディくんなら足をとられる砂漠でも問題なさそうですが、砂漠に足をつけなくても移動が出来るキティさんの方がより安全という事で今回はキティさんにお願いをしました。


 「傭兵蟻殿、どうかなさったのか?」

 「キーキーッ!」

 「そうでしたか。場所は?」

 「キッキッ!」

 「わかりました。主様に伝えて参りますので、そちらでお待ちください」


 やりとりは一瞬で済み、キティさんが船へと戻ってきました。


 「何て言っていたの?」

 「どうやら仲間が魔物の罠にはまり、窮地に陥っているようで、助けを求めているとの事です」

 

 やっぱり傭兵蟻さんは賢いですね。

 自分たちではどうにもならないと判断し、助けてくれそうな人を探していたようです。


 「どうしますか? 挨拶はしましたけど、まだ餌を与えていないので契約はしていませんけど」

 

 僕はみんなに判断を仰ぎました。

 流石に僕一人で決めれる事は出来ませんからね。

 

 「なーっ! 助けにいくぞー!」

 「そうですね。助けを求められている以上は助けるべきだと思うの」

 「私はみんなが行くのなら手助けするよ……あまり近づかないでいいならだけど」

 「私も。挨拶をされたからには無関係とはいえない。義理は通すべき」


 僕たちのメンバーは助けに行く事に決めたみたいですね。


 「私はどっちでもいいかな~?」

 「私はユアン殿に従うよ。それが役目だからね」

 「ふむ。面白そうな事をするのならば、私も参加しよう」

 「ルリは船を動かすだけだからどっちでもいいんだよっ!」


 反対意見はないですね。

 となれば、決まりですね。


 「わかりました。傭兵蟻さんを助けに行きましょう。ただし、船はこの場に置いて行くので、救出組と待機組に分かれます」

 「船を置いて行くのかー?」

 「はい。傭兵蟻さんは罠に掛かったと言っていましたからね。罠がどれだけあって、どの規模なのかはわかりません。そんな所に船で行って故障してしまったら困ります」

 

 傭兵蟻さんを助けた結果、僕たちの身動きがとれなくなってしまったら元も子もありませんからね。

 それに、シノさんから正確な金額は聞けませんでしたが、この船を壊してしまったらと考えると怖くて仕方ありません。


 「となると、歩いて行かなきゃならないね」

 「そうなりますね」


 大変ですけど仕方ありませんね。

 

 「なーなー?」

 「はい、どうしましたか?」

 「これって緊急事態だよなー?」

 「状況はわかりませんが、緊急事態といえば緊急事態だとは思います」

 

 傭兵蟻さんを見る限り、慌てている感じもしますからね。

 

 「それなら、龍化していいー?」

 

 龍化ですか。

 それなら空から進めますし、傭兵蟻さんに案内してもらえれば目的地に直ぐにつけますね。

 問題があるとすれば……。


 「ユアン殿、どうかしたのか?」


 僕の視線を感じたエレン様が首を傾げました。

 

 「えっと、エレン様のお父様って空を飛べますか?」

 「それは……言えぬな」

 

 なるほど。

 大丈夫そうですね。

 エレン様が明らかに動揺したのがわかります。

 つまりはエレン様もクジャ様から正体を聞いている可能性が高いという事です。

 普通なら空を飛べるかと聞かれたら、飛べなかったら飛べないと言いますからね。

 まぁ、僕とシノさんみたく魔法で飛べる人も中には居ると思いますけど、エレン様とクジャ様の関係からするとそっちよりもクジャ様が龍人族という事を知っている可能性の方が高いと思います。

 そうなれば、エレン様に隠す必要はありませんね。

 まぁ、そもそもサンドラちゃんの頭に翼があって、腰から尻尾が生えている事も隠していないので今更になりますけどね。


 「サンドラちゃん、お願いします」

 「わかったぞー!」


 んんんーーー!

 とサンドラちゃんが力を溜めると、サンドラちゃんの体が龍へと変わり、船の横へと着地しました。


 「なっ! サンドラ殿が……もしかして、サンドラ殿も龍人族なのか?」

 「き、気づいていなかったのですね」


 それに、サンドラ殿『も』と言っている事から、やっぱりクジャ様が龍人族である事を聞かされていたみたいですね。

 それはさておき、今は一刻を争う事態です。


 「では、傭兵蟻さんの救出は僕たちで行ってきます。みなさんは船をお願いしますね!」

 

 役割はこうです。

 僕たち弓月の刻は傭兵蟻さんを助けに行き、それ以外のメンバーは僕たちが戻るまで船の防衛です。

 

 「キティは悪いけど一緒にお願い」

 「わかりました。傭兵蟻殿の通訳はお任せください」

 

 さらに僕たちのメンバーにキティさんも加わりました。

 キティさんも僕たちとまでは行きませんが、それなりに戦えて配下も召喚出来ますので戦力的に凄く助かりますね。

 罠が仕掛けれられているというくらいですので、戦力はあって困るものではありませんからね。

 

 「サンドラちゃん、お願いします!」

 「わかったぞー!」


 サンドラちゃんの背中に乗るのは帝都に行くとき以来なので久しぶりですね。

 僕たちは地上を走る傭兵蟻さんを空から追いかけるのでした。

野生の傭兵蟻と出会いました。

これは契約のチャンスですね! 

そして、蟻の天敵といえば……。



感想ありがとうございます!

小説を投稿している人ならわかりますが、あの赤文字はいつでもテンションが上がります!

本当に嬉しいものです!


今後とも楽しんで頂けたら幸いです。

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