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弓月の刻、ストーカーを捕まえる

 「竜種と戦ったり、傭兵蟻に助けられたりしたと思ったら今度はガーゴイルのストーカーか」

 「いきなりどうしたの?」

 「いや、ダンジョンって本当に何でもありだと思ってさ」

 「それがダンジョンだからなー」

 「そうだけどさ」

 「アンデット系の魔物が出るよりはいいと思いますよ」

 「あー、確かに」


 まぁ、どっちもどっちかな。

 虫系の魔物は生理的に受け付けないし、アンデット系の魔物は腐敗した肉や血が剣や鎧につくのは嫌だしね。

 

 「でも、傭兵蟻さんたちの事は受け入れていたよね?」

 「最後はね。だけど、あれがこっちに向かって来てたりしたら無理だったかも」


 不思議な事に虫ってわざわざ寄ってくるんだよね。

 しかも顔を目掛けて。

 傭兵蟻はそういった行動をしないし、魔物が現れるまでは後ろをついて来るだけだったから我慢できた。

 だからといって、好きにはなれないけどね。

 っとそれはいいとして、さっきから別の事が気になるんだよね。


 「シアとユアンはさっきから何してるの?」


 ガーゴイルの様子を確かめてから、二人の様子が少しおかしい。

 何かを打ち合わせするようにコソコソと何かやってるんだよね。

 

 「まだ何もしてない」

 「まだ、ね」

 「うん。もうちょっと待ってるといい」


 悪い事をする訳ではなさそうだね。

 何か企んでいるのならもっと隠そうとするだろうし、そもそもシアとユアンがそんな事をする筈がないだろうしね。


 「ん?」

 「どうしたの?」

 「いや……」


 気のせいかな?

 振り向いてシアとユアンを確認した時に、ちょっと違和感があった。


 「何ですか? 僕の顔をじろじろと見て?」

 「何って……ユアンだよね?」

 「そうですよ?」

 「スノー。疲れたなら休む?」

 「別に疲れてないよ」

 

 疲れてないけど……見間違いかな?

 これは確かめるしかないね。


 「わっ! も、もぉ……いきなり何をするのですか?」

 「確認だよ」


 うんうん。

 やっぱりか。

 ユアンに近づき、ユアンの耳をモフモフとさせて貰うと違和感の正体に気付いた。


 「確認って……スノーさん! そういう事をするのなら私も混ぜてください!」

 「いいよ。キアラも確認してみて」

 「わかりました! ふふっ、ユアンさん、失礼しますね?」

 「ちょ、ちょっと! キアラちゃんまでですか?」


 キアラもユアンの事が好きだよね。

 私の行動を怒る訳ではなく、自分までユアンをモフモフしたいって言うくらいだし。

 それだけ私達の仲の良い証拠って事だけどね。


 「もう、いいですか?」

 「はい!」


 満足したのかユアンが困ったように呟くとキアラはユアンから離れた。


 「それで、キアラはわかった?」

 「何をですか?」

 「何って……今のユアンはユアンじゃなくてシアだよ?」

 「えっ? ど、どういう事ですか?」


 やっぱりキアラは気づかなかったか。


 「なー? ユアンじゃないのかー?」

 「違うよ。正確にはシアでもなくて、影狼だよね?」

 

 まぁ、見た目はそっくりだからわからないのも無理はないか。

 

 「本当ですか?」

 「どうなんだー?」


 だけど、キアラもサンドラも私の言葉を疑っているみたいだね。

 真実をシアに聞こうとしている。


 「むぅ……スノーの言う通り。私の影狼」

 「ほらね?」

 「信じられないです……」

 「そっくりだなー」


 見た目だけはね。

 だけど、見た目が同じでも違いは沢山ある。


 「スノー、どうしてわかった?」

 「だって、全然違うじゃん」

 「どの辺? 私は自信があった」


 確かに口調とかも似ていたし、ユアンがとりそうな行動も真似できていたと思う。

 だけど……。


 「耳と尻尾の毛の質が全然違うじゃん。シアの毛の質と同じだよ」


 ユアンの毛はふんわりしているけど、シアの毛はさらさらなんだよね。

 その違いは触らなくてもわかるくらいにはっきりしているし、触れば確実に違いはわかる。


 「スノーさん、そこで判断したの?」

 「そうだよ? わかりやすい特徴だからね」

 「そうなのかー? 私にはわからないなー」


 興味をもったのか、サンドラが確かめるようにユアンの耳と尻尾を触りはじめた。

 でも、違いはわからないみたいだね。

 あんなにわかりやすいのに。


 「サンドラ、気にする事はない。スノーがキモイだけ」

 「キモイって……他に言い方はないの?」

 「わかった。訂正する。気色悪い」

 「どっちも同じじゃん!」

 「違う。気色悪いの方が上位。スノーはそのレベル」

 「そうかなぁ……好きなものならわかると思うんだけど」

 「無理だなー。というか、普通はそこまで見ないと思うぞー?」


 それはモフモフの偉大さに二人がまだ気づけてないからだと思うけどね。

 自分で言うのもアレだけど、私はそれだけモフモフが好きだし、それなりに拘りがあるから。

 まぁ、そこはいいとして……。


 「ねぇ、これユアンってさ何処まで本物に似せてるの?」

 「スノーに指摘されたところ以外は完璧だと思う」

 「という事はさ……ローブの下も?」

 「もちろん。耳と尻尾は毛の関係で再現は出来なかったけど、他はちゃんと再現出来てる自信はある」


 私の事をキモイとか言ってるけど、シアも大概だよね。

 ユアンへの愛が凄い事になってる。


 「ちなみに、ユアンは?」

 「消失魔法で姿を消して、ガーゴイルが動くのを探ってる」


 なるほどね。

 この偽物のユアンはガーゴイルの目を逸らす為の囮だった訳か。

 そして、その為にユアンはこの場に居ないと……。


 「ならさ、今のうちに……」


 私はある提案をみんなにしてみた。

 

 「スノーは悪人だなー」

 「そうかな? でも、興味はあるよね?」

 「そ、そんな事ないぞー?」

 「でも、後で怒られないかな?」

 「平気。その時はスノーが責任をとる」

 「その時はね」


 一応、シアからの許可は貰えたのかな?

 まぁ、ユアンは怒るかもしれないけどちょっとくらいね?

 という事で、私はみんなに提案した事を実行に移す事にした。





 シアさんの提案はとても面白いものだと思いました!

 ちょっと、みんなを騙すような真似をするようで後ろめたい気持ちがありましたが、それでも戦いの幅が広がるかもしれませんし、みんなが驚く所を見れるのは少し楽しみかもしれません!

 だって、まるで鏡に映った自分を見ているかと思うくらい、僕に化けた影狼はそっくりでしたからね。

 あれでは誰も気付かないと思えるほどの出来栄えだったのです。

 それだけ普段から僕の事を見ているという事がわかりますので、恥ずかしい気持ちもありますが、素直に嬉しいと思えました。

 っと、僕の目的はみんなを驚かせる事ではありませんね。

 こうやって危険を承知で一人で行動をしているので、油断は出来ません。


 (今の所は、動きそうにありませんね)


 僕がみんなの元を離れ、後ろをついてくるガーゴイルに向かっていると、みんなが足を止めるのがわかりました。

 そのせいで、ガーゴイルも止まったみたいですね。


 (んー……向こうで何かあったのですかね?)


 ですが、これはある意味好都合かもしれません!

 そのお陰で僕はガーゴイルの背後をとる事に成功しました。

 後は、静かにガーゴイルが動くのを待つばかりです。

 もちろん、ガーゴイルに近づく時は、気をつけましたよ?

 足元は火山灰が積もっているので、無暗に歩くと足跡が残ってしまいます。

 なので、僕はそんな失態をしないために、空から近づきました。

 これなら足跡は絶対に残りませんからね。

 そして、ついにその時は訪れました!

 探知魔法では動きはありませんが、シアさん達の方で楽しそうな声が聞こえ始めたのです。

 というよりも、歓声に近いのですかね?

 キャーキャー騒いでいるような声が届いてきました。

 ですが、その声がきっかけとなりました。 みんなの騒ぐ声は僕だけではなくガーゴイルにも届いていたようで、様子を確かめる為か、ついにガーゴイルが止めていた体を動かし、足を一歩踏み出したのです。


 「止まってください。動いた所、見ましたよ?」


 足を踏み出した瞬間、僕はサクヤを抜きガーゴイルの首元にぴたりを押し付けました。


 「ま、待ってください! 貴殿達に害を与えるつもりはありません!」

 「本当ですか?」

 「本当です!」


 会話が成り立つ事から、知能は高いみたいですね。


 「では、それを証明する為に一緒に仲間の所まで来て頂けますか」

 「わかり、ました」

 「ありがとうございます。ですが、もし怪しい行動を少しでもしたら容赦しませんからね」

 「はい」

 「では、先に進んでください」


 観念したように、ガーゴイルはゆっくりと手をあげ歩きだしました。

 もちろん、ただ歩いてもらう訳ではありません、サクヤで背中を押すように歩いています。

 何かあったら直ぐに刺しますよって警告ですね。

 

 「みなさん、終わりー……えっ、ちょっと、何をしているのですか!?」


 ガーゴイルは特に抵抗せず、大人しく歩いてくれたため、何事もなく僕は再び仲間と合流できました。

 ですが、そこには理解できない光景が広がっていたのです。

 だって、おかしいですよね?

 戻ったら、服を脱がされた僕がそこに立っているのですから。

スノーの獣愛は本物です。

ケモノスキーの皆さまもきっとわかりますよね?

自分は触ってみないとわからないので、とりあえずモフモフしたいです。

どうしてこっちの世界には獣人がいないのでしょうか……残念でしかたありません。


いつもお読みいただきありがとうございます。

今後ともよろしくお願いします。

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