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弓月の刻、風の龍神を探す

 「風が強くなってきましたね」

 「うん。ユアンとサンドラは飛ばされないように気をつける」

 「流石にそこまでではないですよ」

 「そうかもしれない。だけど、落ちたら大変」

 「大丈夫ですよ。僕は空を飛べますし、サンドラちゃんだって龍化すれば飛べますからね」

 

 確かにシアさんの言う事には一理あります。

 こんな場所で下に落ちたら、普通の人では生きて帰ってくるのは困難でしょうからね。


 「それで、龍神様の反応は?」

 「今の所はありませんね。ですが、何となくですがいるような気配というか、魔力を感じます」

 「そうなんだね。だけど、龍神の谷って言うだけあるね」


 スノーさんが恐る恐る身を乗り出し、下の様子を眺めています。

 僕も怖いですが、スノーさんと一緒に下を見ました。

 正直、あんな場所には行きたくはありませんね。

 谷の幅が狭いせいか、太陽の光が届かず、谷の底には闇が広がっていますし、谷の底には沢山の魔物の反応も確認できます。

 

 「でも、いつかは降りなきゃいけない」

 「噂だとそうなりますね」

 「問題はどこから降りるかだね」

 「その前にどうやって降りるかだよ」

 「狭い所を飛ぶのは嫌だなー」


 僕たちは今、エルフ国の西側を進んでいます。

 噂によれば、ここの谷の底の最深部に龍神様が眠っているという話しです。


 「オルフェさんを連れてこれれば良かったかもしれませんね」

 「仕方ない。オルフェはオルフェさんで頑張ってる」

 

 結局の所エルジェ様とナイジェル様との話は結論を出す事は出来ませんでした。

 当然ですよね。

 エルジェ様はナイジェル様の考えを勘違いしているようでし、ナイジェル様はエルジェ様に自分の考えをしっかりと伝えていないみたいでしたから。

 なので、二人にはしっかりと自分の意志を伝え話し合って頂く事になったのです。


 「ですが、上手く話しを纏められますかね?」

 「大丈夫だと思うよ。オルフェさんは人の話を聞くのは上手いし、どちらの意見にも耳を傾けるからさ」

 「そうですけどね。ですが、相手がエルジェ様ですからね……」

 「そこが心配。エメリアみたいなのは困る」

 「シア」

 「訂正。昔のエメリアみたいだから困る」

 「それならいいよ」


 良くないと思いますけどね。

 まぁ、このやりとりも数回目となりましたし、二人の間でのネタみたいものですかね。

 

 「まぁ、二人の事はオルフェさんに任せて僕たちは龍神様を探しましょうか」

 「うん。とりあえず谷に沿って進む」

 

 そういう訳で、僕たちは龍神様を探す冒険へと出かける事になりました。

 もちろん、エルジェ様とナイジェル様の許可は頂いています。

 まぁ、それがオルフェさんが残る事になった条件でもありますけどね。

 どうやら二人で話すのは凄く久しぶりみたいで、何を話していいのか二人は困ると言っていましたからね。

 オルフェさんはその仲介役として残ってもらった形です。

 ですが、一つ気になる事がありますね。

 二人で話すのが久しぶりと言っていましたが、エルフ族の久しぶりってどれくらいなのかが凄く気になります。

 もしかしたら、十年とか話していなかったりもしそうですよね。

 

 「っと、何か雰囲気が変わってきましたね」

 「そう? 私は何も感じないけど」

 「スノーは鈍感だから仕方ない」

 「そういうシアはわかるの?」

 「わかる。魔素が重くなった」

 「正確にはマナらしいですけどね」

 

 スノーさんはみぞれさんとの繋がりが強くなり、魔力の器が少し大きくなったみたいですが、こういう事を感じるのはまだ苦手みたいですね。

 

 「ちなみにですが、みんなの体調はどうですか?」

 「問題ない」

 「私も平気かな」

 「いつも通りだと思います」

 「平気だぞー」

 

 大丈夫みたいですね。

 ハーフエルフの人達にとってマナは毒みたいなものと聞いていたので、もしかしたら僕たちにも影響があるかと思いましたが、今の所は大丈夫みたいですね。


 「ですが、もし体調に異変を感じたら直ぐに言ってくださいね」

 「その時はね。だけど、最初からマナを遮断しちゃダメなの?」

 「それでもいいですが、今みたく変化に気付けないとわかる事もわからなかったりしそうなのですよね」

 「そういう事ね」


 探知魔法だけで探れるとは限りませんからね。

 龍神様を探す手掛かりに繋がりそうな事は些細な事でも感じ取れた方がいいと僕は思います。

 もちろん、みんなに悪影響が出そうならば直ぐに防御魔法に搾取ドレインを組み込む予定ではいます。

 事前にマナも同じように搾取ドレインで取り除けることは確認済みなので問題もありません。


 「ところでさ、この風ってどこから吹いてるの?」

 「谷からじゃないですか?」

 「どうして?」

 「どうしてって言われても……」


 困りますよね。


 「確かおじいちゃんの話では、谷底に大きな空間があって、そこに吹き込んだ風が行き場をなくして谷底から風が吹くと言っていた記憶がありますよ」

 「そうなのですか?」

 「聞いた話なので、本当かはわかりません」


 キアラちゃんが申し訳なさそうにしていますが、誰も知らないので謝る事ではないですよね。

 

 「だけど、それが本当ならそこに龍神様が居てもおかしくないんじゃない?」

 「そうですね。谷から吹く風には魔素が含まれているので、龍神様から溢れている可能性もありますね」


 マナではなくて魔素というのがポイントですね。

 その違いを伝えるのは難しいですが、何というか、空気の中に違う空気が混ざっているような感覚がするのです。

 もっと簡単にいえば、冷たい空気の中に暖かい風が流れてくる感じですかね?

 

 「もしかしたら風の龍神様の鼻息かもなー」

 「そうだったら面白いですね」

 「鼻息でこんな風が起こせるなら近づけないと思うけどね」

 「そんな事ない。スノーなら平気」

 「どういう意味かな?」

 「別に意味はない」

 「絶対に重いからって言おうとしたよね」

 「気のせい。スノーは太ってない。一昨日見たからわかる」

 

 一昨日いうと、お酒を飲んだ日ですね……って!

 シアさんから聞き捨てならない言葉が聞こえました!


 「シアさん、一昨日の記憶はないって言っていませんでしたか!?」

 「あっ……勘違い。この前、スノーと一緒にお風呂に入った時に見た」

 「嘘ですよね! もぉ、あの日はシアさんのせいで大変だったんですからね!」


 あの日みんなでお酒を飲んだ結果、シアさんが暴走し、僕はみんなからメチャクチャにされました。

 むしろ、メチャクチャな事をされました!

 なので、僕は次の日の朝に、シアさんを怒りました。

 ですが……「覚えてない。何があったか教えて欲しい」と言われてしまったのです。

 そこで僕は覚えていないのなら仕方ないと怒るのをやめましたが、今の話ですとしっかりと覚えているみたいなのです!


 「大変だったって言うけど、何が大変だったのかな?」

 「ふぇっ!? えっと、それは……」

 「スノーの言う通り。具体的に話してくれないとわからない」

 「そうですよ。シアさんばかり責めちゃ可哀想だと思うの」

 「なーなー? 私はオルフェと寝ちゃったから知らないー。何があったか教えてー」

 「え、えっと……それはですね?」


 ど、どうしてですか?

 何故かみんなして僕に質問をしてきます。

 まさか逆に問い詰められるとは思いもしませんでした。

 ですが、あの時の事を思い出すのは恥ずかしいですし、口に出すのはもっと恥ずかしいです!


 「えっと、何でしたっけ? 僕も忘れちゃいました」


 なので、僕は誤魔化す事にしました。

 シアさんを叱る事は出来ませんでしたが、この方が安全だと僕は思ったのです。


 「忘れてないよね? ユアンはこの中でお酒一番強いみたいだし」

 「五杯も飲んで何ともなかったですよね?」

 「忘れたものは忘れました! それよりも、龍神様を探しますよ!」

 「逃げた」

 「逃げたなー」


 何とでも言ってください!

 僕はもうこの話題には触れないと決めましたからね。

 むぅ……こういった時ばかりみんなして息を合わせるのはずるいですよね。

 普段はシアさんがスノーさんをからかったりして、キアラちゃんが僕のフォローをして味方してくれたりするのに、こういった話になると直ぐにみんなして僕をからかうような気がします。

 ちょっとずるいですよね?

 まぁ、その事に対して僕が言えないのも悪いと思いますが、それが普通ですよね?

 逆にそんな変な方向の話を平気でするみんながおかしいと思います。

 せめてサンドラちゃんだけでも健全に育って欲しいと思いますが、これだとそうもいかないきがします。

 まぁ、サンドラちゃんのその辺りの事情は知らないので何とも言えませんけどね。

 もしかしたら生まれ変わる前に……いえ、やめておきましょう。

 という訳で、僕はみんなからの追及を逃れ、先に進む事にしました。

 後ろからは「残念」だとか「また一緒に」とか変な話が聞こえましたが、それを無視して進みました。

 そして、昼食をはさんで暫く進むと、僕はついに大きな反応を捉えました。

 トレンティアと同じように大きな赤い点を探知魔法で捉えたのです。

みんなでワイワイできる話はスイスイと書けるので好きです。

毎回、こういう話しばかり書きたいものです。

まぁ、そうもいかないので物語を進めていきますね。


いつもお読みいただきありがとうございます。

今後ともよろしくお願いします。

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