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弓月の刻、リコ達の村を目指す

 「こっちの方だね~」

 「結構、険しい道を進むのですね」


 僕たちは今、子供達を村へと返すために、リコさんと共に山を登っています。

 ですが、これが思った以上にきついのです。


 「ユアンさん、大丈夫ですか?」

 「はい、大丈夫ですよ」


 問題はないです。

 ですが、想像以上に体力を消耗するのですよね。

 それなのに、リコさんとジーアさんは何事もなく、まるで平地を歩くかのようにスタスタと坂道を登っていきます。


 「ユアン、抱っこする?」

 「いえ、大丈夫ですよ。思った以上に険しいので驚きましたが、この程度なら問題はないです」


 最近は馬車とか使うようになりましたが、ルード帝国付近にあった村を出た時はすごく貧乏だったので馬車を使う事は出来ず、沢山歩いていましたからね。

 それに、僕よりも大変そうな人がいるので、頑張れる気がします。


 「キアラ~……おんぶして」

 「えぇっ! スノーさんは重くて無理だよ」

 「重くないしー……シア~」

 「自分で歩く」


 まぁ、こんな感じでスノーさんが一番辛そうですね。

 最近こそ冒険者に転職し、歩く事は増えたみたいですが、スノーさんは元々騎士です。

 しかも、皇女様の騎士団、副団長でした。

 なので、移動ともなれば馬を使う事が多く、逆に長時間歩くことはあまりなかったみたいです。


 「休憩を挟みましょうか?」

 「いえ、今日中に進める所まで進みましょう。夜は家に戻るつもりですからね」


 今回、子供達は連れて来ていません。

 危ない目に合ったばかりなのもありますが、リコさんの話によると、そろそろ雪が降り始める頃らしいので、出来るだけ速やかに移動をする事にしたからです。

 といっても、スノーさんがこの有様なので、子供達が居ても進む速度はあまり変わらない気がしてきましたけどね。

 こんな事なら、スノーさんは大人しく家で留守番をして貰った方が良かったかもしれません。


 「ごめん……頑張るからそれだけは勘弁して」

 「なら歩く」

 「うん……」


 シアさんに促されてスノーさんの歩く速度が上がりました。

 よっぽどお留守番させられるのが嫌みたいですね。

 まぁ、それも仕方ありませんね。

 実はスノーさんは領主のお仕事を休んで僕たちについてきています。

 アカネさんを説得し、どうに頂いたお休みなのですよね。

 なので、ここで帰らされたらきっとスノーさんは領主のお仕事を再開しなければいけない、そう思っているみたいです。

 休みが自由にとれる僕たちと違って大変ですよね。改めて僕が領主をやらなくて良かったと実感するほどに。


 「今夜はこの辺りで休みましょう」

 「もうですか? まだ、日は落ちていませんよ?」

 

 空が朱く染まり始めていますが、まだ足元はみえるほどに明るい時間帯です。

 それなのに、ジーアさんは野営の準備をすると言っています。


 「日が落ちたら直ぐに暗くなります」

 「暗い森の中で歩き回るのは危険だし、いつのまにか方向を見失っちゃうからね~」

 「それは確かに危険ですね」


 知っている場所であれば、何となく方向がわかりますが、僕達が向かっているのはリコさん達の村で、初めて行く場所です。

 村は山の中にあると言っていましたが、ただ山頂を目指して登れば辿り着くという訳でもないみたいです。


 「それに、山は夜になると急激に冷えます」

 「そんな中で歩いてたら凍えちゃうよ」


 それは困りますね。

 シアさんは慣れているみたいですが、ルード出身のスノーさんも僕も寒いのは苦手です。

 キアラちゃんも得意ではないみたいですが、ある程度の寒さなら大丈夫みたいですけど。


 「それでは、私は薪を集めてきます」

 「私は手ごろな石を拾ってくるよ」

 「僕たちも手伝いますよ」


 そして、野営の準備が始まりました。


 「この時期は乾燥した木が多いので、薪となる木が豊富です」

 「どれでも大丈夫ですか?」

 「はい、この辺りの細い枝であれば問題ないでしょう」


 リコさんとジーアさんが二手に分かれた為、僕はジーアさんの手伝いに回り、一緒に薪となる木を採りにきました。


 「あ、キノコですよ」

 「それは、椎茸ですね。焼いてお醤油を垂らすと美味しいですよ」

 「そうなんですね。こっちにもありました!」

 「それは……毒キノコですね。食べたら幻覚をみたりする危険なキノコです。味は美味しいみたいですが」


 僕には違いがわかりません!

 ですが、ちらっと見ただけでジーアさんはわかったみたいです。


 「ずっとこの森の中で暮らしてきましたので」

 「そうなんですね。ですが、どうしてこんな森の奥に住んでいるのですか?」

 「それは……着けばわかります。私からは答えられません」

 「そうですか」

 「ごめんなさい」

 「いえ、大丈夫ですよ。謝られるほどの事ではありませんので」


 もしかしたら、ジーアさんの髪の色が関係しているかもしれませんね。

 危うく触れてはいけない所に触れてしまう所だったかもしれません。

 折角なので、ジーアさんに森の食材の事も聞くことにしました。

 けど、思った以上にそれが大変でした。

 食べれる食べれない食材がこんなに多いとは思いませんでしたからね。

 しかも、大半が毒を持った食べ物なんて知識がなかったら大変な事です。


 「あれだけ探して、これだけしか採れませんでしたね」

 「はい。動物たちが冬を越すために、食べつくしてしまいます。夏になればまた違った景色がみられると思いますけど」

 「僕は寒いのが苦手ですので、出来るなら夏に来たかったです」

 

 こうやって会話が出来るほどに、ジーアさんも少しずつですが打ち解けてくれるようになりました。

 最初は僕達を警戒し、委縮してしまっていましたからね。

 ご飯を一緒に食べたりしたのがやっぱり大きかったのかもしれません。

 

 「遅いよ~。ほら、寒くなる前にほらほら

 

 一夜分の薪を集め終わり、野営場所に戻ると、既にリコさん達は戻っていました。


 「すみません。えっと、ここに置けばいいのですか?」

 「うんうん。中央に置いてくれる? ただ並べるのではなく、空洞ができるように枝同士で支え合うようにさっ」

 「こんな感じでしょうか?」

 「うんうん。上手上手」


 リコさんに褒められました!

 まぁ、この辺は僕たちも冒険者で野営で焚き火はよくやりますからね。

 むしろ出来なかったら冒険者失格です。

 ただ、僕たちがやる焚火とはずいぶんと違うみたいです。


 「この石は意味があるのですか?」

 「あるよ~。風が吹いたら火が消えちゃうかもしれないからね」

 「それに、火が流されれば山火事になってしまう事があります。乾燥した時期は気をつけないととても危険です」


 石が壁となり、風から火を護る役割と同時に火が燃え広がらないようにしているみたいです。


 「勉強になります」

 

 ジーアさんにはキノコなど、食べていいものなのかいけないものなのか、リコさんには焚火のちょっと工夫を教わったり、知らない事を教えて貰えるのはありがたいことです。

 そんな感じで僕たちはリコさんの村を目指していきました。

 もちろん、スノーさんはずっと一緒という訳にはいきませんし、キアラちゃんもスノーさんのお手伝いをしていますので、転移魔法陣で送ったり、時間を見て迎えに行ったりすることになりましたけどね。

 そして、進む事五日。

 予定よりも僕たちは早くリコさん達の村へとたどり着くことが出来ました。

前日、スノーのイラストをあげさせて頂きました。

なので、今回は少し短めですが、ご了承ください。

この後、少し村でお話があるかもしれません。そして……新たな仲間が?

お楽しみに。


いつもお読みいただきありがとうございます。

今後ともよろしくお願いします。

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