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18・魔物にも厄介な奴がいるんだな

 僕もトルディたちも街門へと向かった。


 招集をかけた兵士たちや猟師も集まっている。


「魔物は?」


 僕が現場で指示を出していた兵士長に尋ねた。


「今のところ、襲って来る様子はありません。何がしたいのか分からないんです」


 と、良く分からない事を言う。魔物なんでしょ?


「アートヴァローナの中には人語を話す個体も居ると聞いたことがありますが、まさか、何か要求があるのでしょうか」


 トルディもおかしなことを言う。何、喋るの?


 僕は恐る恐る外の状況を見ようとトルディたちを連れて進み出る。


『ここの頭は誰だ』


 確かにそんな声が聞こえた。目の前には僕と変わらないくらい巨大なカラスが居る。


「僕だが、何か用か?」


 驚きつつも平静を装ってそう返事をしてみる。


『フン、小さいの。町の近くでカラスを随分狩っているそうだな』


 そう偉そうに言うカラス。


「こちらの荷物を襲っているから討伐しただけだ」


『餌をかすめ取っていると聞いたが、そうではないと言い張るか』


 餌?何を言ってるんだろうかコイツは。


「その餌というのは荷車に乗せた獣の屑という事であっているか?」


 そう聞いたとところ、後ろへカァと鳴いている。後方からもカァカァ聞こえて来た。


『どうやら、その事らしいな』


 そう言うと、いきなり突風を巻き起こして飛び立っていく。あ、さっき鳴いていたカラスたちが突かれている様だ。


 そして、ほどなくして舞い戻ってくるカラス。


『連中が都合よく言い訳をしていた様だ。お前たちに非はない。だが、山の獣が減っているのは事実だ。その分の分け前を差し出す気は無いか?』


 随分偉そうなやつだな。しかし、提案を蹴る理由もない。


「分かった。処理場の前に1日だけ置いておく、長期間置けばこちらが困るので毎日あるとも限らないが、それで良いならどうか」


『我らへの貢物をする心意気を認め、それを是としよう』


 本当に何だろうかコイツラは。


 そう思っていると一斉に飛び立つカラスたち。どうやら南へ向かうらしい。


「まさか、アレが魔人ではないだろうな」


 僕がトルディにそう尋ねる。


「魔人はその名のとおり人です。それだけは確認が出来ておりますので、アートヴァローナが魔人という事はございません」


 そうなのか。魔盆地とはカオスな土地なのかもしれないな。


 変な鳥が去ってから獣の解体が行われた日には、内臓や骨といった廃棄物は処理場の前に置かれることになり、カラスが突きに来ているという報告を聞いている。あれ以来、荷馬車を襲うことなく処理場で待つようになったそうだから、こちらの話を聞き入れたんだろうな。




 そんなおかしな騒動のあった冬が終わり、雪解けを迎えた頃には、大口径空気銃も数が揃っていた。


「冬の間に猟師や騎士達が使ってみた結果、近距離ならイノシシすら倒せることが分かった。サイカについては弓より遠距離でも仕留めることが可能だそうだ」


 そうフルチャに言うと満足そうだった。


「連発機構はどうでしょう?」


 そう心配しているが、クロスボウも改良型は連弩の様なものがあるので問題はなく皆が扱えていた。


 ただ、連弩はあるにはあるが、実戦的なモノというよりオモチャに等しく、あくまでクロスボウの訓練道具程度のモノらしいので、連発機構にはじめは違和感もあったらしいが。


「問題なかった」


 そう言うと、喜んでいるらしい。


「ご領主の話を聞いて造ってみやしたが、さすがに現場の意見を聞くまでは不安でしたからな。そりゃあ良かった」


 銃が2種類できた事で運用の見直しにも着手することになった。


 既存の銃については、一部を農作業の傍ら百姓たちに取り扱いを行ってもらおうと思っている。威力を見知っているので不用意な事はしないだろうが、取り扱い方法をしっかり教えなければ何が起こるか分からないので、その辺りは兵士たちに仔細は任せるしかない。

 そして、新型の大口径銃については、射撃に秀でた兵士を選抜して新たな銃班を編成することになる。なにせ射撃距離が倍以上に伸びる事から、これまで以上にウデが要求される。誰にでも持たしていては無駄になりかねない。


「さて、後は、そろそろ一度銃の点検を始めた方が良いかもしれないな。秋からこっち随分使い込んだ銃もある」


 そう、多少のクリーニングはして居るものの、火薬銃と違って使用者が出来るメンテナンスは少ない。分解整備となると部品の修理や交換を伴うモノになるので僕とフルチャがやるほかなくなる。


「そうですな。時間を作ってやりましょう」


 これは銃の整備に人を増やす必要があるんだが、人材はいるのだろうか。



 そんな心配をよそに、草や木が芽吹きだせばヤツが畑を荒らしに来る。


「今年もスケイルピジョンが来る季節になった。百姓たちにも取り扱いを覚えさせて欲しい」


 兵士長に教育係の選出を行わせ、銃を扱える素質のある百姓を見極めるように指示を出した。


 2週間もすれば畑でヤツを狩る百姓の姿を見る事が出来るようになっている。誤射だけはやめて欲しいものだ。

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