15・厄介者を討伐できる威力は十分にあるようだ
そして10日後、僕は必死で何とか5丁を造った。
「おお、ご領主!」
約束通りに30丁を兵士を連れて受け取りに行ったのだが、そこには30丁どころではない数が並んでいた。
「造っていて思ったんですが、この吹き出し口、金属だけじゃあちょっと密着が緩そうだったんで、革を使って改造しましたぜ、サイズは変えてないのでご領主の作った物にもそのまま付きやす」
魔法の良い所は一度触った物を記憶して、寸分違わぬ品が造れることだろう。そのため、僕が初めに作った銃を僕もフルチャも同じサイズで作れている。
うん、造りながら改善点を見付けていく余裕があるうえで更に増産しやがったのか。本当にすげえな。
「30丁のはずが、どう見ても50丁近くありそうだが?」
僕がそう聞くと、頭を掻く。
「いやぁ、50丁を目指したんですが、出来たのは46丁ですよ」
たいして違わんよ。僕は本当に5丁が限界だったというのに・・・・・・
すでに刈り取り時期なので今更鎌の製造はしていないし、鍬や鋤の修繕依頼も来ていないそうだ。つまり、暇だったから46丁も作れたと。
「それで、弾はどうなっている?」
そう、銃だけあっても弾が無ければ意味が無い。ポンプは僕が何とか10個ほど作れたので問題は無いだろう。
「弾なら弟子に作らせやした」
なるほど、確かに弾ならフルチャ本人でなくとも可能か。
「ご領主、こちらがご依頼の弾になります」
めっちゃ可愛らしいキツネ耳をした男の娘が箱を抱えてやってきた。
「ありがとう」
ふとフルチャを見る。
「息子です。コイツにはまだ早いんで手伝いだけさせてまさぁ」
そうだったのか。フルチャの嫁は狐獣人か。人間と獣人から生まれた子供は7割がた獣人の特徴を持って生まれるという話だが、まさにその様だな。このオッサンには似ても似つかない可愛らしさだ。
さて、フルチャの息子から弾を受け取り、連れてきた兵士たちに所定の数銃を配布する。
「まずは、この道具で空気を詰めてもらいたい。数が少ないから交代でやる様に。道具の方にある時計の様な器具に色付けしている。そこに針が来たら完了だ」
そう言ってまずは空気の充填を行う。そして、フルチャにポンプの量産も依頼した。
「いっそ、別のデカイボンベを造って、ソイツにまずは溜めてから小分けにしたらどうでしょう?」
なんと、フルチャからそんな提案が来た。
「ああ、その方が良いかもしれないが、常にそのボンベが使えるとも限らないだろう?」
そういうと納得していた。
兵士たちが充填を終えた後、一通り使い方を説明するとクロスボウの要領が分かっているので難しくないという返事が返ってきた。
なので本当に簡単な扱い方を教えた後、早速見回りを行う事にした。
「弓と同等の飛距離を持つ、むやみに撃たずに、まずは畑に人がいない事を確認するように」
そう言ってまず、百姓たちが休憩しているであろう小屋へと向かった。そこで一通りスケイルピジョンを討伐する話をし、周りの畑へも伝えてもらう。
「もう、早い所は刈り取りを始めてます。いっそ、ハゼに集まる奴らを狙いますか?」
兵士長がそう提案してきたので、その案を採用することにした。
「安全確保もやり易いだろう。まずはそれで行こう」
そう言って兵士たちを連れて歩き出す。
すぐに麦刈りをしている人々を見かけるが、あれは神銀の大鎌だろうか、死神の鎌よりデカそうな鎌を難なく扱っている姿があった。
ああやって大鎌で刈り倒した麦を集めてハゼに掛けていくと兵士長が説明してくれた。
その姿を見ながら進むと、麦を積み重ねたハゼばかりが見える一帯へとやってきた。
「人がいない事に安心してつついていますね」
兵士長が言う通り、ハゼを突くスケイルピジョンの群がある。
「その道具の射程は50mはある。ここからでも十分狙えると思う。まず、一班、射撃してみろ」
僕が兵士たちにそう指示を出す。まずは10人が構えて狙いをつけるが、顔は半信半疑だ。
パパパン
破裂音が響くが、鳩の所ではそう大きな音はしていないだろう。本当に豆鉄砲を食らった鳩状態になってやがる。
ん?という事は、軟鉄弾程度では鱗を抜けない?
「二班、弾を赤い方を込めて撃て」
そう指示を出す。金属色そのままの弾は軟鉄。赤色は魔鋼弾芯にライフリングにかませるように軟鉄を被覆した弾だ。もしもを考えて徹甲弾モドキを作っておいた。
すばやく弾を込めた二班が射撃を行う。すると今度はバタバタ倒れる鳩が出ている。
「よし、全員、赤い弾だ。飛び去るまで間引け」
そう指示を出して僕も射撃に加わる。
30丁余りが断続的な射撃を始めた事で騒ぎに気が付いたスケイルピジョンが飛び立っていく。なるほど、魔法で飛ぶってこういう事か。
僕たちが居るところまで突風のような風は吹きつけてくる。ハゼのいくつかが飛ばされそうになっている。
「あ、どこに落ちるか分からないから飛んでいる奴は撃つな」
が、遅かった。上空を飛んでいく鳩へ何人もが射撃している。
1羽?に命中したらしく、休憩小屋へと真っ逆さまに墜落して小屋を破壊した。
小屋を破壊するドォンとかなりの音が鳴り響いた。今の時間、この辺りの小屋に百姓は居ないハズだが、確認のために兵士を走らせる。
「誰も居なくて何よりだ」
知らせを受けて僕は胸をなでおろした




