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 グロリアスの参加は、セツト達に予想以上に大きな影響をもたらした。


 長年海賊をやっている海賊は情勢に敏感である。そうでなければ独立諸国の間を飛び回ることなどできない。だいたいのベテランが王国と連邦の同盟がもたらすだろう結果を予想していたし、それによって海賊業そのものが破綻する可能性も予想していた。


 しかしながら、よく分からない要塞の誘いにほいほいと乗っかるのも危険だ。

  そう考えて日和見をしていた海賊達にとって、グロリアスの参加は要塞を『得体の知れないもの』から『可能性』へと押し上げるのに十分だった。


 日に10隻20隻と海賊たちの船がオシクル星系にやってきた。

 セツトが対応に忙殺されそうになったころ、グロリアスが海賊達のとりまとめを申し出てくれた。


「セツトは、この兵力をどう使うのかを考える仕事があるだろう」


 おかげでセツトには時間ができたが、それは将来のことを悩まなくてはならない時間と同義だった。


 船は集まりつつある。

 今のところ海賊が400隻、周辺の諸国軍が3000隻。砲とシールドの換装が終われば、こちらの艦隊だけで5000隻程度の艦隊とは互角に戦えるだろう。


 連邦艦隊がどれだけの数でいつごろ迫ってくるか。

 時間との闘いだ。

 連邦艦隊が、独立諸国領域に近いアートランテ星系に集結し根拠地にするだろうことは予想がついていた。アートランテ星系には、元々独立諸国で何かあったときのために艦隊を派遣する根拠地としての設備が整っていた。独立諸国への攻め込む艦隊への補給線を維持するのであれば、そこ以外にはない。


 そこからオシクル星系近傍まで、ノンストップの連続恒星間ワープで20日。ただしこれはワープアウト誤差で乱れた艦列を整える時間を含まない、戦列艦単艦での日数だ。

 連邦艦隊は通り道の独立諸国の武装解除を進めながら来るだろうから、さらに多くの日数を要するだろう。


 グロリアスの見立てでは50日。ミツキの予想も最短で45日。


 規模と日数を確認するために、現在グロリアス配下の船の一部が偵察に向かっている。


 帝国の動きも問題だ。

 近くの帝国派諸国に声をかけつつ聞いてみたところ、迎撃の艦隊を送るという連絡はあったということだ。その迎撃艦隊に共同するようにという要請も出ているから要塞には合流できない、という謝罪も添えられていた。


「帝国が正気なら必ず声をかけてくる。待とう」


 どちらから声をかけたかがその後の状況に響いてくることもある。

 セツトたちが帝国軍を探し出してお願いするのではなく、帝国にお願いされて協力する形を取りたい。


 それを見つけ出したのはミツキであった。


「閣下、星系内でドラグーン級1隻の恒星間ワープアウトを確認しました。現在本要塞との速度同期作業中。3時間後にはワープし管制エリアに入ってくるものと予想します」


 ミツキは現在、要塞周辺の宇宙船すべての管制を一手に担っている。音声通信を行うにあたり現実に声に出す必要がない彼女は、何百という通信を同時に処理し、的確に宇宙船を誘導していた。


 ある暇な海賊がカウントしたところ、同じ時刻に542人のミツキがいたと言う。


「どっちの国のものか分かる?」


 ドラグーンを運用しているのは帝国か王国だけだ。どちらか。


「はい。ワープアウト直後に自らアルク=ドラグ=リッヒ帝国子爵と名乗る通信を発しました。シーア=アズナ閣下に目通りを願う、とのことです。どうしますか?」

「もちろん会うよ」

「誘導はどちらに?」

「要塞に。ヴィーとヴェツィア提督も呼んでおいてくれ」


 セツトと帝国のつながりを疑うものは多い。今の状況では仮にそうであっても問題ないと考えられているが、2人にも同席して貰った方があらぬ疑いを拡大されずに済む。


「了解。6時間後に入港の予定です。一眠りしてきては?」

「今?」


 要塞内時刻はまだ昼過ぎだ。


「閣下は最近睡眠時間が不足しております。昼寝は重要です。脳を休め精神を再活性させてくれます」

「わかったよ」


 セツトはミツキの勧めに従って、自室に戻った。寝転がってみるとすぐに眠気がやってきた。


 一時間ほど眠ってしまったらしい。


 目が覚めてから身を整え、再びミツキのいる司令室に戻った。

 特にセツトが決めなければいけないものは何も発生していなかった。


 リッヒ子爵のドラグーンは予定通り入港してきた。

 セツトはリッヒ子爵を要塞の応接間に通して名乗りを交わした。リッヒ子爵はまだ20代の理知的な若者だった。


「それで、ご用件は?」


 セツトは尋ねた。


「はい。我が艦隊は現在、ヴァイエル伯爵の指揮の下こちらに向かっているところです。総数は5万。連邦軍と戦うために、閣下にも助太刀いただきたく参りました」


 渡りに船と言って言い、期待通りの要請だ。


「助太刀ですか」

「そうです。星系内の様子を見るに、閣下も戦う準備をしておられる様子。共同して連邦軍と戦うのがよいものと思うのですが、いかがでしょうか?」

「帝国では、連邦の動きをどのように予測してますか?」


 セツトは質問で返した。


「伯爵から、知っている限りのことを伝えて良いと言われていますので、私が知る限りでお答えいたします。連邦軍の動員数はおよそ7万から10万隻です。アートランテ星系に集結後独立諸国に攻め込むものと考えております。アートランテからの出撃はそろそろなされたころではないかと推測しています」


 セツトはうなずいた。7万から10万。途方もない数だ。


「作戦責任者はドラッド=サルコウ大将。主立った将官としてアリーチ=レイゼ中将、シェンツ=ファランジェ少将、セイ=リーク少将の参陣を確認しています」


 セツトは将官の名前を聞いても、人物の知識がなかった。


「連邦軍オールスターズだ。よりによって一番いいほうから4人選んでいるぞ」


 ヴェツィアがうなっていた。


「なんと恐ろしい。連邦軍随一の美人を連れ出してくるなんて」


 グロリアスは視点が違う。

 ヴェツィアの反応を見るに油断ならない相手であるようだ。


「伯爵は連邦軍に対して会戦を挑むお考えです。伯爵の構想はこうです」


 リッヒ子爵は作戦案の説明をはじめた。



真面目な話が続きます。あぁ、<黒銀の栄光>号の連中出したい。真面目な流れで軽口たたいてもらいたい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] テンポよく読めました。 [気になる点] 海賊たちはまだ良いとして、独立諸国の艦隊があっさりまとまっている部分に少し違和感。 仮にも国家なので、もっと責任の擦り付けや主導権争いなど色々ありそ…
[一言] こういう、小のために大を行うみたいなのいいですよね。ロマンある。
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