アティが語る世界の過去
遅めの更新になりました。申し訳ないです…
拝啓 お父さん、お母さん。
ゆ
『主様、お話したいことがあります』
間髪入れずに入ってきた?!ちょっとアティ!
『邪神が復活するまで、時間は残されていません。それでも、主様は大丈夫だと言えますか?』
…!……分かった、話して
『では、主様の婚約者にも聞こえるようにしますね』
「フローラ?」
「ジーク様、アティが話したいことがあるって」
「邪神が復活するまで、残された時間はあまり長くありません。その前に主様たちにこの世界の過去の話をしておかなければならないのです」
「過去の話?」
「はい。眠っている間も僕は水を通じて、世界の記憶を見ていました。古の番人が眠りについたあと、しばらくの間は平和そのものでした。……しかし、今から500年前に魔物により、サコヴィナ王国を初めとする国々が次々と破壊され始めたのです」
「……え?」
「レヴィこと、シャドウ・リヴァイアサンも知っているでしょう?」
「レヴィ、そうなの?」
「…………そうだ。我はその戦績を認められて魔王より伝説の魔物と昇格したのだ」
「……そう、だったんだ」
「この主犯は邪神に毒された魔王です。邪神軍と魔王軍は対立をしていたのですが、神々との戦いにより邪神は封印されたのにも関わらず、魔王を唆したのです。……この世界を破壊しろと」
「…そういう経緯があったのか。魔王は500年前に人が変わったように、残酷になった。以前は冷酷非情でも、部下に慈悲は残っていたのに、一切の慈悲が無くなったのだ」
「邪神により、深い闇に囚われてしまったのかもしれませんね。この話にはまだ続きがあります。熾天使が介入し、人々を助け、魔物を遠ざけ、現代まで平和を守っているのです」
「熾天使が…」
「なので、人々は神々を信仰せず、熾天使を信仰しています。……その結果、今も神々が眠ったままなのです」
「人々が信仰しないと、絶対起きないってこと?」
「主様の言う通りです。ですが、今から神々を信仰しろと言っても無駄でしょう。神々が邪神との戦いのことは、僕たち、古の番人と熾天使以外知らないのですから」
「文献に残ってないの?」
「…残ってません」
「……古の番人のこともそうだが、邪神や神々のことに関しても文献は残っていないんだ、フローラ。ラゼボ王国に限らず、他の国もそうだがそれぞれ熾天使を信仰している。それほど熾天使が残した戦績は深い」
「………」
それじゃあ、いつまで経っても神様たちは目覚めないってこと?……そんなことって
「主、そう顔を暗くするな。我らだけでも神々のことを信仰すれば良いではないか」
「…レヴィは魔物なのに、神様たちを信仰していいの?」
「確かに我は魔物だが、今は主の従魔となっている。魔王とも関係は切られた。何も問題は無い」
「そんな簡単に切られるの…?」
「当たり前だ。お主の魔力が我の魔力を上書きした。それにより我は魔王軍の魔物では無くなったのだ」
「……」
「姫君よ、レヴィの言葉は正しい。古の番人である我らは元より神々を慕っているが、魔物は魔王の下についている。つまり、魔物は神々を信仰するなど有り得ない話なのだ。…だが、姫君の魔力が魔物の魔力を上書きし、姫君の従魔となれば魔王との関係は切られ、姫君の魔物として姫君に従う」
「……じゃあ、レヴィは」
「魔王軍に寝返ることは無い」
「主様、アストラルからも言われたかもしれませんが改めて僕からも伝えさせてください。…どうか、主様のその力で邪神を倒し神々を目覚めさせてください。貴女にしか出来ないのです」
「アティ…それは、大丈夫だけど…」
「お嬢は何を迷っているのですか?」
「……邪神が復活したら、地上にいる魔物は邪神側になるんじゃないかって」
「……主様はそのことを知っていたのですか?」
「え?」
「邪神が復活すれば、地上の魔物は邪神に毒され、より凶暴になります。よく、ご存知でしたね」
「いや、そうなんじゃないかなって思っただけで…」
だって、ゲームでそういうのがあったなって思ったから口にしただけなのにまさか当たるなんて思わないじゃん!!
ま、まさかこの異世界ってド○ク○にどこか似ている世界なんじゃ…そ、そんなことないよね?!
『主よ、ド○ク○とはなんだ?』
私の元いた世界で有名なゲーム!RPGだよ、RPG!
『RPG?以前聞いたことがあるな』
ロールプレイングゲーム、略してRPG!
勇者が魔王を倒して世界を平和にするの
『今の主と似ているな』
私、勇者じゃなくて伯爵令嬢なんだけどね…
『ちーと能力を持ってして何を言っておる。勇者同等の力だろう?』
「アティ、この世界には勇者はいるの?」
「いえ、いません。勇者も居なければ、聖女もいません。ただ、主様はこの世界にとって唯一の救世主と呼べます。この世界に存在しない無属性をお持ちなのですから」
「救世主…」
「邪神を倒すには、最後の古の番人であるクロノスを従魔にしなければいけません。……主様はクロノスを仲間にできますか?」
「しないと、始まらないじゃん。アストラルから強いって聞いたけど、俄然テンション上がってるから」
「……テンション?」
「そう!テンション!」
「アティ、主は強敵だろうがなんだろうがてんしょんが上がり容易く倒してしまうのだ」
「……我らはその被害者の集いであり、姫君に生涯の忠誠を誓っている」
「もしかしなくても、僕の時も魔法を放ってきたのは…」
「魔法無効化だろうと、容赦なく放ってくる。我の時もそうだったからな」
「ア、アストラルの時もですか?!魔法無効化なのに、何故…」
「魔法無効化がどれほどまでなのか試したいから、だそうだ」
「…………たったそれだけで」
「主の好奇心は今に始まったことではない。我の時も叫びながら、攻撃を避け魔法を放ってきたからな」
「シャドウ・リヴァイアサンは、冒険者一人で戦うのは無理なはずでは」
「それを覆したのだ、主は」
「………本当に主様は規格外ですね」
なんか従魔たちがうんうんと話し始めたんだけど、好き勝手言ってくれちゃって
「……フローラ」
ジークベルト様が私の名前を呼んだかと思うと、後ろから抱きしめてきた
「…どうかしたの?ジーク様」
「俺は、君の役に立てるのだろうか…」
「……どうしてそう思うの?」
「フローラは、精霊契約までしてしまった。それなのに、俺と婚約者で居てくれている。本当にそれでいいのかと思えてきて…」
「ジーク様は私のこと好きじゃなかったの?」
「もちろん、好きだ。戻れないくらいにフローラに溺れている自覚はある」
「じゃあそれで良いじゃん。私もジーク様のこと好きだし、大切な人だもん。ジーク様は、私と婚約者のままじゃ嫌なんでしょ?結婚して夫婦になりたいって」
「そう、だが……」
「私に溺れてるなら、今ここで迷わないで。私はジーク様以外、一生添い遂げないから」
「…!」
「だから、自信無くさないで。私のこと離さないでね?」
「……ありがとう、フローラ。愛してる」
「…私も、愛してるよジーク様」
『若造と甘い雰囲気になりおって…』
『私たちのこと完全に忘れてますね』
『両想いになってからは、主が若造のことをりーどしておるな』
『レヴィの言うことに一理あるな。公爵は姫君と両想いになってから不安になっている。それを姫君が受け止め、なだめておるしな』
『主様の婚約者は、主様に尻に敷かれるタイプなのかもしれませんね…』
『『間違いないな』』
次回!アティに進化アイテムを使おうの回!
お楽しみに!
そういえば!キングスライムを倒した時に進化アイテムがドロップしたんだった!
『あぁ、あれか』
アティに使ってみてもいいよね?!
『使ってみれば良いではないか』
そうだよね、もし使えなくてもレヴィに使うから
『…は?』




