サージェント兄妹、阿吽の呼吸で圧倒する
拝啓 お父さん、お母さん。
終焉の種子という魔物を倒す時間がやって参りました。完全に消滅させようと思います
『主、そう上手くいくのか?熾天使でも消滅することが出来なかった魔物だ。いくらお主とはいえ…』
大丈夫だって!!頼りになるレヴィたちもいるし、何よりアシェルお兄さんとレーヴィお兄さんが居るんだよ?どうってことないって
『……そうか』
「レーヴィ、フローラ。相手に不足はない。早いところ討伐して家に帰ろう」
「アシェル。フローラの実力を見てみないか?俺たちはフローラを援護する形で」
「それもそうだな…フローラ、先陣切れるか?」
な、な……?!先陣を切るだなんて、そんな……
「任せてください!アシェルお兄様!」
レヴィたちが地面に滑り込む。ズコーッて効果音が聞こえてきそうな感じに
何?急に倒れたりしてどうしたの、みんな
『お主が予想外なことを言うからだろう!』
『断る場面だと思ったのに…お嬢は私たちの予想を遥かに超えてきますね』
『兄たちに姫君のちーと能力がバレてしまうが、良いのか?』
レヴィたちが力を貸してくれたって言えば何とかなるんじゃない?
『我らとて、終焉の種子は戦ったことがない。どうなるか知らんぞ』
んー…アストラルが強化魔法を使って、ヴァイスが相手に合わせて属性を変えて、物理攻撃はイグが蒸発させて、最後にレヴィが影の水龍たちで攻撃すれば何とかなるんじゃないの?
『姫君はどうするのだ?』
下手に動けば、アシェルお兄さんとレーヴィお兄さんに勘づかれちゃうしなぁ。かといってこのままチート能力を隠し通すってのも難しくなりそうだもんね
『ちーと能力を使うのか?』
レヴィに問われる。
………しょうがない。チート能力を使うか!
全部は使わないようにして、魔法と剣術だけにするね
『また、終焉の種子でも試すつもりか?』
アストラルが聞いてくる。
もちろん!どんな魔法が効くのか、物理攻撃は貫通するのかって試してナンボでしょ!未知数な相手はとにかく攻撃しまくるに限るから!
『『………』』
あら、黙っちゃった…。なんで?
『…我らは姫君に忠誠を誓っているが、それと同時に被害者同士でもあるからな』
被害者??
『お嬢はレヴィだけでなく、古の番人である私たちの時でも魔法やら剣術を試していたではないですか。試されたこちらのことも考えてください』
それは、なんかごめん。とにかく、先手必勝!
風属性魔法発動!疾風神速!
私は速さを上げ、終焉の種子に近づき魔法を発動させる
火属性魔法発動!灼煌焔滅!
ギ○グレ○ド級の火柱が終焉の種子を襲う
「「………」」
『…主、飛ばしすぎだ。兄たちが唖然としておるぞ』
やべっ、ついうっかり☆
『うっかりで済ますな。だが、今の攻撃でダメージは与えられたようだな』
ここで攻撃を続けないと、レヴィは水球!アストラルは全員の魔力をリンクさせて強化してそのまま魔法を発動させて!ヴァイスとイグはそれぞれ魔法を放って!
『『御意』』
「アシェルお兄様は火属性で攻撃を!レーヴィお兄様は風属性で援護をお願いします!!」
「「…!了解!」」
アシェルお兄さんが前に出て焔獄の審判 を放ち、そこにアシェルお兄さんの隣に来たレーヴィお兄さんの嵐王の千閃が加わり、焔獄の審判が強化される
光属性魔法発動!神滅天雷!
全員の攻撃が終焉の種子に直撃する。
「……やったか?」
「…!みんな、下がって!!」
終焉の種子は幻惑の香を吐き出してきた
私以外のみんなが幻惑の香を吸ってしまう
「フローラが二人…?どっちが本物なんだ?」
「フローラに剣を向けるなんて、そんなの出来るわけない!」
従魔たちも身動き取れずに居た。
……あの攻撃を受けても尚、幻惑の香を吐いてくるなんて。とりあえずみんなの幻惑を解かないと!
無属性魔法発動、真実覚醒!
そう唱えると、レヴィたちは正気を取り戻した
「終焉の種子、幻惑の香は封印させてもらう!」
無属性魔法発動!空間隔離!
説明しよう!この魔法の効果は対象の周囲の空間を切り離し、外界への干渉を一切遮断する透明な檻を作る魔法。つまり相手の攻撃は一切こちらに届かないということだ!
「アシェルお兄様、レーヴィお兄様!剣を構えて剣に魔法を纏いながら走り出してください!」
私の言葉にアシェルお兄さんが右から、レーヴィお兄さんは左から、まるで獲物を挟み込む猛禽のように対角線を描いて疾走する。
私はアイテムボックスから雷鳴剣を取り出し二人の後を追いかけるように真っ直ぐ走り出した。
「燃えろ!焔獄の審判 !!」
「遅い!嵐王の千閃!!」
アシェルお兄さんは敵の右側を焼き払いながら左へ抜け、レーヴィお兄さんは敵の左側を切り刻みながら右へ抜けると、敵の周囲には炎と風が渦巻く巨大なX字の軌跡が残った。
赤と緑の閃光が敵の目の前で交差し、強烈な熱風が渦巻いたその瞬間、終焉の種子に止めを刺すように二人の背後から、眩いばかりの光を纏いながら私は空を舞った。
「これが、私たちの絆!── 三位一体の極光!!」
振り下ろした雷鳴剣が中心点に触れた刹那、アスタリスクのような紋章が浮かび上がり、世界が白銀の輝きに飲み込まれた。
「「…………」」
光が消えた後、終焉の種子の姿は無かった。
「しゃあっ!完・全・消・滅!」
私は思わずガッツポーズをした。
「レーヴィ、フローラは俺たちよりも強くなってるな」
「そうだな、アシェル。だけどフローラ自身が楽しそうならそれで良いんじゃないか?」
「……確かに。フローラが居なかったら終焉の種子は討伐できなかった。…あんなに楽しそうなフローラは初めて見たが、可愛いな」
「いつものフローラも可愛いけど、今のフローラも可愛い」
二人が可愛いと言いながらうんうんと頷いてることは露知らず、私はレヴィたちと話していた
「主、やったな」
「流石は姫君だな。見事な連携技だった」
「お嬢が居れば百人力ですね」
「主君の連携技で終焉の種子は消滅したみたいだしな」
「褒めても何も出ないからね?…でも全員の攻撃を受けても尚、倒れなかったことには驚いたな」
「…それほど邪神の力が終焉の種子に影響を与えていたのかもしれん。神々と互角の力、それ以上の力がある邪神を主は倒せるのか?」
「レヴィ、舐めちゃ困るね。今ので実感したけど邪神を倒すには私一人の力じゃ無理だけど、みんなで力を合わせれば倒せるって分かったの。…その為にも残りの古の番人を従魔にしないと」
「……主らしい答えだな。我は主に従うまでだ。……お前たちもそうだろう?」
「当たり前だ。我も姫君に従うまで。最期まで一緒に居るつもりだ」
「私もです。お嬢に救われたのですから、その恩を返すのは当たり前でしょう」
「俺も主君に従うぞ。主君以外従う気は無いがな」
「いつの間にか、団結力が生まれてる…まぁいいや。みんな、これからもよろしくね」
そう言うと各自頷いてくれた。
「フローラ、そろそろ帰ろう」
アシェルお兄さんに呼ばれる
「はーい!」
「姫君、我の背中に乗るといい。兄君らも乗れ」
アストラルの背中に乗り、帰路に着いた
次回!お待ちかねの海底遺跡へ!
え…?海底遺跡に行けるのは嬉しいけど、海の中にあるんだよね?どうやって行けばいいの?
『我が居るだろう』
レヴィ?
『我が海底遺跡まで連れて行ってやる』
いや待とうよ。着くまでの息継ぎどうするの?!絶対溺れるから!
『お主の魔法で何とかできるだろ』
無責任な!そこまで信頼してくれるのは嬉しいけども!




