4章開幕!第一王子の報告。魔の手が明らかに
拝啓 お父さん、お母さん。
優月です。またもや第一王子から呼び出されました。今回はジークベルト様とレヴィの3人で行きますがすでに退屈です
『主、本当に良かったのか?アストラルたちを留守番にさせて』
大丈夫だって。あの馬鹿王子にはレヴィ以外従魔がいるって知られたくないの!
『そうか』
話は変わるけど、アシェルお兄さんたちの話は長かった…
『危うくお主のちーと能力がバレる所だったな』
勘が鋭いと本当に危ないって…
私はさっきの会話を思い出す
──20分前
「フローラ、随分と賑やかになったな。4体の従魔を連れているなんて」
とカイトパパが話しかけてきた
ヤバい。ヴァイスまでは知っててもイグのことは知らないんだった。それにレヴィを除くアストラルたちは古の番人だなんて口が裂けても言えるわけない
私の左肩にアストラルが乗ってて、レヴィは私の右肩に乗って、ヴァイスは私の首に巻きついてて、イグは私の右後ろに待機している。そしてジークベルト様は私の右隣に立ってて、この話を真顔で聞いてる。
「……フローラ、魔法が使えるようになったからって従魔契約できるほどの魔力は無いはずだ。アズ殿のように、自ら従魔契約をしたのか?」
「…そうだ。姫君の力は我らよりも強い。その力を見込んで従魔契約をしたのだ」
アストラル、何言っちゃってるの?!
アストラルたちより強いとか言ったらダメだって!!
「…その狼も喋るのか」
「フローラが魔物よりも強い…?」
「火属性だけ使えるフローラが?」
ほら!アシェルお兄さんとレーヴィお兄さんが首傾げちゃったよ!
「ここにいる従魔は主の可愛さから自ら従魔契約したのだ。魔物である我らより強いはずが無かろう」
レヴィ…!救世主!!
「なるほど…フローラの可愛さあまりに契約したんだな」
「それなら納得いくな」
ほっ…双子がシスコンで良かった
「…フローラ」
「何ですか?お父様」
「あまり無理はしないように。一人で解決するより、私たちを頼ってくれても良いから」
「…分かりました」
多分、カイトパパは気付いたのかもしれないな。私がスキルを隠してるってことに
「早速だが、第一王子に会ってきてくれ。また帰ってきたら話そう」
「行ってまいります、お父様。ジークベルト様、第一王子に会う前に自室に行ってきますね」
「私も行こう」
「ジークベルト殿はここに残ってくれ。話すことがある」
「……分かりました」
カイトパパからそう言われたら従う他ないよね…
私は自室に戻り、レヴィたちに話しかける
「えー…あの馬鹿王子と会う前に、アストラルとヴァイス、イグはお留守番してもらおうと思います」
「…何故だ、姫君よ」
「レヴィ以外従魔が増えてたらめんどくさいことになりそうだから。お願い!」
「お嬢がそう言うなら仕方ありませんね…」
「レヴィ、主君のことをちゃんと守れよ!?」
「我は主の初めての従魔だからな。任せろ」
「レヴィ、初めてを強調しなくても…」
「我も古の番人の中でも初めに従魔にされたが?」
「アストラル?張り合わなくて良いから…」
「レヴィもアストラルもずるいですよ!ですが、私はお嬢の初めての剣捌きを受けてますからね」
「……ヴァイス?」
「俺だって主君の新たな技を受けたことあるからな!?」
「イグまでも言わなくていいから!みんなお留守番よろしくね!!」
「「御意」」
レヴィと共に部屋を出るとジークベルト様が向かってきていた
───と、ここまでが回想。
今は馬車でお城に向かってるところ
「フローラ、俺が守るから安心して欲しい。第一王子の好きにはさせないから」
「ジーク様…」
「…着いたみたいだな。フローラ、手を」
「…っ(イケメンすぎて直視出来ない)」
王族騎士の人に案内されると第一王子と第二王子が待っていた
第二王子が居るなんて聞いてませんけど?!
「フローラ嬢、ジークベルト殿、呼び出してすまない。フローラ嬢に頼まれていたことが分かったんだ」
「頼まれていたこと?……フローラ?」
「こほん。セドリック殿下、ルーカス殿下お招きいただきありがとう存じます」
完璧なカーテシーをしてみせる。
そういえばジークベルト様は知らなかったよね、この第一王子に頼んでること
席に座り、セドリック王子が話し始める
「フローラ嬢、父上のことだがルーカスとそれとなく詮索してみたらどうやら父上じゃなかったんだ」
「………」
「…ということは、つまり国王陛下は何者かか乗り移っていると?」
「…あぁ。俺のスキルで少しだけだが見えたんだ。──アザゼルと」
「「!!」」
私とレヴィ、そしてジークベルト様が息を呑んだ。
「こちらでアザゼルに関して調べてみましたが、成果はあまり得られませんでした。…文献が無くなっていたのです。分かったことと言えばアザゼルは魔王の名だということしか…」
ルーカス王子がそう言うと、今度はセドリック王子が言葉を呟く
「フローラ嬢の期待に応えられただろうか…」
「………まぁ、及第点ですね。これからは友人として、よろしくお願いしますねセドリック殿下」
「っ、良かった!嬉しいよ、フローラ嬢」
セドリック王子は嬉しさのあまり握手して来た
その瞬間、ジークベルト様の顔が怖くなってる。なんで?
『十中八九、嫉妬だろうな。若造は第一王子に妬いているのだ』
これで嫉妬するんだ…可愛いね
『お主も大概だな』
失礼な。ジークベルト様にはあとで上目遣い攻撃したらなんとかなるから大丈夫だよ
『……若造が可哀想だな』
「魔王がまさか国王陛下になっていたなんて…」
どこかでこの設定というか、話を聞いたことあるような見たことがあるような…?
「魔王を倒さないと、父上は元に戻らないんだ。……だが俺とルーカスだけでは敵わなくて」
「魔王なら私が倒しますわ、セドリック殿下」
「えっ」
「ですが、このまま丸腰では勝てる相手ではありません。そこで、セドリック殿下とルーカス殿下にもこちら側に味方になって欲しいのです」
「フローラ、何か考えがあるのか?」
「もちろん。お二人には魔王の気を逸らす役目を受けてもらいます。恐らく魔王はセドリック殿下の闇堕ちを狙っていてルーカス殿下ばかり褒めたのでしょうけど、セドリック殿下は闇堕ちしなかった。……これは魔王の誤算になります。つまり、セドリック殿下が鍵に」
私の言葉は誰かに遮られた
「こんな所で話していたのか、セドリックにルーカス」
「……父上」
まずい。今の話を聞かれたかもしれない
「おぉ、サージェント嬢にジークベルト殿も来ていたのか。…サージェント嬢の従魔は、ピクシードラゴンか。……本当に従魔にしていたのだな」
「ピクシードラゴンをご存知なのですね、国王陛下」
「文献で目を通したことがあるからな。サージェント嬢は確か能力無しと判断されたはずだが、測定器が壊れていたということか…?」
「父上、私とルーカスはちゃんと測定されていました。壊れていたわけではないと思います」
「それもそうか。……ゆっくりしていくといい。では私は失礼するよ」
国王陛下は去っていった。
「……面倒なことになりそうかもな」
私は小さく言葉を零す
『何か感じたのか、主よ』
まぁ、ね。魔王だったら属性とか書き換えられると思って。
『国王陛下の属性は土属性だったか?それに鑑定スキルもある』
で、魔王は闇属性。厄介な相手かも…
『お主でも厄介な相手だと思うのだな』
何その言い方。私がいつも簡単に倒しているように聞こえるんだけど
『我らを容易く従魔にしたお主だぞ?珍しいくらいだ』
「フローラ嬢、引き続き父上を詮索していくからまた話をしよう。今度はちゃんと人払いをしておく」
「お願いしますわ、セドリック殿下。ルーカス殿下も」
「フローラ、帰ろう」
「えぇ、ではご機嫌ようお二人共」
城を後にして馬車に乗るとジークベルト様が手を握ってきた
「……フローラ、俺以外簡単に触れさせないようにしてくれ」
「…嫉妬したの?」
「するに決まってるだろ?…俺の大切な婚約者なのに」
うっ…!ジークベルト様が可愛く見える!
犬のしょんぼりした垂れた耳が見える気がする
「ジーク様以外興味無いから、ね?」
そう言って抱きしめると、抱きしめ返して来た
「…キスしてくれたら許す」
「っ?!」
『我は窓の景色を見ているから、すると良い』
ちょ、レヴィ!?見捨てないで!!
『知らん。若造を嫉妬させた主が悪い』
レヴィの人でなし!!
『人ではなく魔物だ』
次回!双子の仕事の手伝いをする流れになって無双する?!乞うご期待!
え、アシェルお兄さんとレーヴィお兄さんの仕事って騎士団じゃなかったっけ…
『そう言えばそうだったな』
無双したらチートスキルがバレちゃう!!
でも魔物とか見たら倒したくなるし…
『令嬢が魔物を倒したくなるなど聞いたことがないぞ』
魔物を倒すことは私にとってロマンだよ!
『何がろまんなのだ…』




