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【3章完結】ダンジョンに行けなかった鬱憤晴らし

拝啓 お父さん、お母さん

優月です。ダンジョンに行きたかったのに、レヴィたちが勝手に行って私は凄く怒ってます。進化アイテムを取ってきたのは別に気にしてないけど、私抜きでダンジョンに行くなんて看過できない。


「フローラ、俺はどう動けばいい?」


「ジーク様はこの片手剣を使って、私が魔法を放った後に動いて」


「分かった」


ジークベルト様に雷鳴剣を手渡し、アイテムボックスから双剣の蒼渦(そうか)剣舞(けんぶ)を取り出し装備する


「従魔共、この勝負はどちらかが降参と言うまで続ける。覚悟は良いな?」


「…(姫君の声が低い)承知した。姫君、本気なのだな?」


「本気に決まってるでしょ。手加減も無しで良いよ」


「ならばこちらも本気で行かせてもらおう」


私とジーク様が剣を構え、従魔たちも戦闘体制に入る。


「風属性魔法発動!疾風神速!からの光属性魔法発動!神滅天雷!」


ギ○デ○ン級の雷がレヴィたちを直撃する。

その隙にジークベルト様が片手剣で斬り掛かる


「はぁっ!!」


「くっ…!中々やるではないか、若造。だが甘い!我の新たな技を喰らえ!影龍の葬列!」


レヴィの影から無数の水龍を呼び出し、ジークベルト様にダメージを与えようとする


「無属性魔法発動!無属性(ノーブランド・)破壊(ブレイク):局所(ローカル)崩壊(デモリション)!」


私が指をパチンと鳴らすと、無数の水龍が水風船が弾け飛ぶようにして消えてしまった


「何っ?!」


「フローラ、助かった」


「ジーク様!次の魔法を放つからその場から一旦離れて!」


ジークベルト様が離れたのを確認し、私は次の魔法を放つ


「火属性魔法発動!灼煌(しゃくこう)焔滅(えんめつ)!」


「私の前では効きませんよ、お嬢!」


ヴァイスが盾となりギ○グレ○ド級の火魔法を防いだ。


…ここは新しい魔法じゃないと厳しいか。


「ジーク様!何でもいいから水属性魔法を唱えて!」


「光よ、水よ、絶対零度の雷と化せ、絶対零度(コールド)雷光(サンダー)!」


「光属性魔法発動!神聖(ホーリー)天翼(ウィング)!」


神聖(ホーリー)天翼(ウィング)はジークベルト様の雷光を光の翼が包み込み、回避不能な速度まで加速させ、光の羽一枚一枚が鋭い刃となって凍りついた敵を粉砕する、私たち2人の新しい連携技だ


「ここは我に任せよ!………くっ!!」


魔法無効化のアストラルが止めたか。…いや、ダメージは蓄積したはずだ。


従魔たちとの攻防が続き、私以外は疲れが見え始めた。


「…フローラ、どうする?」


「……ジーク様、その剣で光属性の魔法を纏ってみて。頭の中で雷をイメージして、剣に纏うように」


「……こうか?」


「そう、そのままキープして、私の魔法の後に一撃を放って。光属性魔法発動!虚無崩落!」


イ○グラ○デ級の爆発が従魔たちを襲う。次の瞬間、ジークベルト様が片手剣を思い切り横に振り払うと、ギ○スラッ○ュのように全体攻撃が当たった


「……出来た(俺もフローラのように全体攻撃が出来てしまった)」


「ジーク様、ナイス!このまま畳み掛ける!従魔共これでも喰らえ、光属性魔法発動!魔力極限解放!!」


一言で言えばマ○ンテだ。魔力∞だからこそ使える魔法。高原全体が真っ白に包まれる


───どうやら、勝敗は着いたようだ。


「「……………」」


従魔たちは地面に倒れ込んでいる。ジークベルト様は私の無属性魔法の絶対防御で守ったから無傷だ


「あー!スッキリした!!光属性魔法発動!一刻全癒」


ベ○マ○ン級の回復魔法でレヴィたちを癒すと、レヴィはピクシードラゴンの姿になり、アストラルは肩に乗れるくらいの大きさの狼に、ヴァイスは1mいかないくらいの蛇に、イグはケロベロスから炎の戦士のような姿となった


「主よ、なんださっきの技は!魔力極限解放など今まで使ってなかったではないか!」


「使う必要無かったからだけど、今回の件は凄く怒ってたから」


「……姫君、先程の魔法は二度と使わないでくれ。世界が消滅しかねん。ここが広い高原で救われたが、もしダンジョン内で放ったとなると瓦礫の下敷きになっていただろう」


「大袈裟じゃないの?」


「大袈裟じゃありませんよ、お嬢。最悪の場合、私たち従魔が消し飛ぶ可能性だって十分に有り得ますから」


「主君の魔力∞だからこそ成せる技だ。他の者が同じ技を使おうと思っても無理だろうな。魔力切れを起こすとその場に倒れてしまう」


「フローラが守ってくれなかったら、俺もレヴィ殿たちのようになっていたと言うことか…?(今後、彼女を怒らせないようにしないといけないな)」


「レヴィたちは私に何か言うことは無いの?」


「「………」」


従魔たちは顔を見合わせ、頷き、頭を下げた


「「生涯お供します、我が主」」


「詫びと言ってはなんだが、主は海底遺跡に興味はあるか?」


「海底遺跡…?」


「言葉通り、海の底にある遺跡だ。我の予想ではそこに古の番人の中で二番目に強いリトスが居るであろう」


「水の精霊だっけ…」


「あぁ、ダンジョンの代わりになるか分からないがどうだろうか」


「行く。絶対に行く」


「では早速行こうではないか。善は急げと言うだろう」


レヴィが私の背中を押そうとした時、通信魔導具が鳴る


「……フローラです」


『フローラ、セドリック王子からの呼び出しだ。すぐに帰ってきなさい。ジークベルト殿も一緒に城に来て欲しいとのことだ』


あの、馬鹿王子ィ…タイミングが悪いんだから…


「分かりましたわ、お父様。すぐに帰ります」


通信が切れると、私は盛大にため息をつく


「主、あの馬鹿王子からか?」


「そう。海底遺跡に行こうとしてたのに…」


「お嬢、王子は何か分かったのではないですか?」


「あー…じゃあ一応聞くか。ジーク様行きましょう、手繋いで。従魔たちは私の体から離れないようにして」


「あ、あぁ」


「「御意」」


ジークベルト様が私の手をしっかり握り、従魔たちも私の体から離れてないのを確認し


「無属性魔法発動、空間(ディス)歪曲(プレイス)


一瞬でサージェント家の庭に帰る


「一瞬で、着いてしまった…」


「早く王子の話を聞いて海底遺跡に行きたいからね。このままお父様に」


私の言葉は遮られた。……アシェルお兄さんに


「フローラ!帰ってきたんだな!」


アシェルお兄さんは私を抱きしめる


「ただいま帰りましたわ、アシェルお兄様」


「父上からラゼボ王国のエステル王女に俺の可愛い妹のフローラが罵倒されたって聞いた時は殺意が沸いて、俺とレーヴィと母上の3人でアーチャー公爵家に行って事情を聞きに行ったら、操られていたんだ。そのまま5人でラゼボ城に行けば、肝心のエステル王女は声を出せないようになってたし、国王からは謝罪されたよ」


そ、そんなことになってたのか…


「全ての元凶はエステル王女殿下です。…王女殿下は禁忌の魔法を使った可能性が高いとジークベルト様が」


「それは本当か?ジークベルト殿」


アシェルお兄さんはようやく私の隣にいたジークベルト様に話しかける


「…えぇ。その禁忌の魔法は使った者の命と引き換えに発動します。エステル王女殿下は従者に使わせていました」


「非道だな…声を出せなくなったのは誰かの怨みか?」


「それは分かりません。ですが、俺がこうして無事なのはフローラが助けに来てくれたお陰です」


「………アルフォンス公爵もそう言っていたな。フローラ、結婚式場に押しかけたのか?」


「…押しかけました。ジークベルト様を取られたくなくて……」


「……(もしかするとフローラがエステル王女の声を奪ったのか?まさかな…)そうか。俺を頼ってくれても良かったんだぞ?」


「時間が無かったので…ごめんなさい、アシェルお兄様」


「良いんだ。…誰かに頼ることは悪いことじゃないと、覚えててくれ」


「…はい」


アシェルお兄さんと話していると、レーヴィお兄さんも私を見つけると抱きしめてきた


「アシェルばかりずるいな。俺にもフローラを堪能させて欲しい」


「レーヴィお兄様、苦しいです」


「ごめんね、フローラ。父上が呼んでるから3人で行こうか」


「レーヴィ殿、フローラは俺の婚約者ですので、俺がエスコートしますよ」


「いやいや、ジークベルト殿。フローラは兄である俺たちが、連れていくので気にしないでください」


アシェルお兄さんとレーヴィお兄さん、そしてジークベルト様の3人の笑顔が怖いよ。

なんか久しぶりだね、この感じ…


次回!第一王子からの報告!そして家族にも報告します


ジークベルト様って独占欲ある方だよね


『若造にとっては主が初恋だからだろう』


大事にされるのは嬉しいんだけどねぇ


『何かあるのか?』


大事にされ過ぎてもなんか、自分に魅力が無いんじゃないかって不安になるんだよ


『なら若造に我からあどばいすをしてやろう』


レヴィからジークベルト様に何をアドバイスするの?


『それは男同士の秘密だ』


レヴィのケチ!

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