進化アイテムで強くなる従魔たち
拝啓 お父さん、お母さん。
この異世界では進化アイテムで従魔が強くなるみたいです!とてもわくわくします!
広々とした高原に来てます
『元の姿に戻ったとて、お主には敵わん気もするが…』
なんでそんなに弱気なの?伝説の魔物なのに
『主の実力を間近で見てきたのだ。弱気にもなる』
『姫君の力は規格外なのだ。我ら古の番人を従魔にするだけでなく、レヴィことシャドウ・リヴァイアサンも従魔にしてしまう人間は姫君以外現れないだろう』
それは、魔力∞だからじゃない…?
『仮に魔力∞であっても、従魔契約出来ないと意味を成さない。姫君には無属性があるだろう?それによって我らを従魔に出来ているのだ』
従魔契約は無属性以外だと出来ないってこと?
『お嬢、忘れているのですか?本来なら人間が魔物の魔力を越えることは無いのですよ』
あ、そう言えばそうだったね
『忘れていたのか…』
「…フローラ、また念話をしているのか?」
「……してました」
「今度は何を話していたんだ?」
そう言いながらジークベルト様は後ろから抱きしめてくる
「従魔契約についてと、レヴィたちを元の姿に戻して手合わせすることについて話してたの」
「従魔契約は魔力∞のフローラにしか出来ないことだからな…しかも、レヴィ殿やアストラル殿たちを従えることが出来ているのが凄いと思う」
「そんなに?」
「あぁ。魔物を従魔にしていることでも十分に凄いが、フローラは従魔たちと仲が良いから。妬けるくらいにな」
「仲が良い、のかな…。普通のことだと思うけど」
「主君、普通のことじゃない。主君だからこそ俺たちは従ってるまでだ。主君以外ありえない」
「そうですね、私もお嬢以外従うつもりはありません」
「「我もだ」」
レヴィとアストラルの声が重なった。
信頼してくれてるんだ…なんか嬉しい
「よーし!早速アイテム使うから、みんな元の姿に戻って」
「お嬢、アストラル以外はお嬢が命令しない限り戻れませんよ」
「命令?ってどうすればいいの?」
「それぞれ名を呼び、元の姿に戻れと言ってくれれば戻れます」
なんか、言い方無いかな…。こう、ただ元の姿に戻れと言うだけじゃ味気ないよね
「世界の理を刻む者たちよ。我が魔力の導きに従い、仮初めの姿を脱ぎ捨てよ。──真の姿となれ、解放!」
そう唱えると、レヴィ・ヴァイス・イグが元の姿に戻った
「…改めてフローラはこの魔物たちと戦ったんだよな」
「そうだね」
レヴィは出会った頃のシャドウ・リヴァイアサンの姿になり、ヴァイスは5mか6mくらいの白蛇になり、イグは金色のケロベロスの姿になっていた
「……イグ?ケロベロスの姿になっちゃってるじゃん!頭は一つだけだけど、なんで?!」
「主君が真の姿となれと命令しただろう。魔力に充てられた俺は新たな姿となったのだ」
「進化アイテム使ってないのに…」
「安心してくれ。進化アイテムでさらに強くなれる」
「んー…じゃあ、まずはレヴィから進化アイテムを使うね」
「我もどうなるか楽しみだ」
えーと、レヴィの進化アイテムは…
深淵の黒真珠
闇色の光を放つ真珠。中に激しい渦潮が封じ込められている。
【効果】水と闇の力が完全に融合し、影から水龍を喚ぶ力が覚醒する。
へー!真珠なんだ…。とりあえず使い方としては自分の魔力を注ぎ込んで、レヴィの体に当てればいいか
「……レヴィ、どう?」
深淵の黒真珠がレヴィの体に吸収された
「………ふむ、どうやら成功のようだ。その証拠に我の額にお主の無属性の紋章が刻み込まれているだろう?」
「紋章?」
レヴィにそう言われ、レヴィの額を見ると確かに紋章が浮かび上がっていた
「姫君、次は我にアイテムを使ってくれ」
「オッケー!アストラルの進化アイテムはこれか」
星域の白銀冠
星の意匠が施された、透き通るような白銀の冠。
【効果】仲間の魔力をリンクさせ、連携技の威力を数倍に跳ね上げる「王」の力が覚醒する。
おっふ…こんなのチートじゃん。冠だし、魔力を注ぎ込んでアストラルの頭に乗せてみよう
「アストラル、進化した?」
冠をアストラルの頭に乗せると、またもや吸収され冠が消える
「…あぁ、成功したようだ。我の額にも姫君の無属性の紋章が刻み込まれた」
「おぉ…確かに紋章あるね。次はヴァイスかな」
「お嬢、お願いします」
ヴァイスの進化アイテムは…
万象の水晶鏡
七色に輝く水晶。見る角度によって映る景色が変わる不思議な鏡。
【効果】変身能力が強化され、地形や空間の属性すら書き換えられるようになる。
「ヴァイス、このアイテムって…」
「自身の姿だけでなく、周囲の属性や地形をも瞬時に書き換える能力が強化します。敵の弱点属性に空間ごと変質させることが可能です」
「……蛇らしい能力なのかな。まぁとりあえず魔力を注ぎ込むね」
万象の水晶鏡に魔力を注ぎ込み、ヴァイスの体に当てると吸収された
「私にも額にお嬢の無属性の紋章が刻み込まれました。これでより強くなれます」
「主君、俺も進化アイテムを使ってくれ」
「イグの進化アイテムは…赤い魔石?なんか心臓みたいにドクドク脈打ってるんですけど...」
「恒星の火種だ。火属性無効を貫通する極光の炎を操り、熱量で物理攻撃を蒸発させることができる」
赤い魔石に魔力を注ぎ、イグの体に当てると吸収されイグの額にも無属性の紋章が浮かび上がった
「イグのもそうだけど、進化アイテムなんて皆どこで取ってきたの…」
「「………」」
黙っちゃったよ。なんで黙るの?
『…言っても怒らんか?』
怒らないって。レヴィがそう聞くなんて珍しい
『……この前行ったダンジョンとは異なる、別のダンジョンに我らで潜り敵を倒して得たのだ』
別のダンジョン?何階層まであったの?
『30階層まであったな』
で?倒した敵は?
『パンドラボックスだ。お主が倒したパンドラボックス亜種とは違うが、運良くドロップしてな…』
全階層の敵を倒したの?
『いや、………倒した』
「……へぇ」
「…フローラ?(急に低い声を出したが、何を話しているんだ?)」
「姫君、我らも悪いとは思っているのだ。だが、ダンジョンは入る度に変わるものだから次は姫君も」
アストラルの言葉を遮り従魔たちにいい放つ
「全員、覚悟してね」
「「…!!」」
「……(フローラの目が笑ってない)」
私はアイテムボックスから雷鳴剣を取り出す
「お、お嬢、まさか本気で手合わせしないですよね?」
「皆がどれくらい強くなったのか、本気で掛からなきゃ分からないじゃん。ジーク様、手伝ってくれるよね?」
「あ、あぁもちろん。俺で良いのか?」
「ジーク様しかいないって。強化魔法もかけるし、二人で従魔たちを懲らしめよう」
「………分かった(ここは素直にフローラに従うしかないな。今の怒った状態の彼女を敵に回すのは良くない)」
「待て、主!手合わせは少しだけと言っただろう?本気で来るなど聞いておらんぞ」
「レヴィたちが悪いんだよ?私抜きでダンジョンに行くから...しかもダンジョン攻略するなんて許せないよね?」
「「………」」
「…姫君、手合わせをしよう。そうすれば少しは落ち着くだろう?」
「アストラルたち次第かな…。私が満足いくように精々頑張ってね」
次回!怒りのフローラVS進化して強くなった従魔たち!フローラを怒らせてはいけない…
『どうするのだ、アストラル』
『姫君の怒りを抑えなければ、どうもならんだろうな』
『やはり私たちだけでダンジョンに行くのは間違いだったようですね。お嬢の怒りを買う結果になったじゃないですか』
『俺は止めたからな。ダンジョンに行こうと言い出したのはレヴィだったか?』
『我は提案しただけではないか!アストラルやヴァイス、イグも乗っただろう?!』
『…怒っている姫君を満足させるようにするしかあるまい』
『そうするしか無いようだな』




