熾天使ミカエルからの依頼
更新が遅くなりました。すみません。
もしかすると更新が遅くなることが増えるかもしれません。ご容赦ください。
拝啓 お父さん、お母さん。
優月は天使に会ってしまいました。しかも熾天使です。どうしたら良いのですか…
『まず、貴女をこの世界に招いたのは紛れもなくこの私なのです。フローラ=サージェントに転生させたのは、フローラが自分の代わりにこの体で生きて欲しいと強く願っていたのです』
「フローラが…」
『……フローラは魔法が使えないことを悔やんでいました。自分は出来損ないで欠陥品だと。そうして段々と自暴自棄になっていったのです。誰か、私の代わりにこの体で生きて欲しいと。その願いを偶然に聞いた私は叶えようとは思いませんでした』
「え、…?」
『ですが私はフローラの体に優月の魂を入れました。入れた時にはフローラの魂はもう世界樹に還ってしまったのです。……この世にフローラ=サージェントはもう居ません。優月、貴女が居なければ、フローラは居ないことになります』
「………そう、だったんですね」
『貴女を何故、この世界に招いたかですが、貴女は現世ではまだ生きている状態です。昏睡状態になっているとも言えますが、そう長くは持ちません。なので、その状況を利用してこの世界に招いたのです』
「…このチート能力もミカエル様が?」
『いいえ、私ではありません。優月が持つチート能力は神々からの贈り物でしょう。貴女に邪神を討伐して欲しいと託したのかもしれません』
「神々は眠りについてるのに、チート能力を授けることが出来るんですか?」
『眠りについてる今は出来ませんが、眠る直前に優月がこの世界に招かれることを予測して、貴女に力を授けたのでしょう』
神々、凄すぎ…。
「でも、無属性って?この世界には無属性はないはずじゃ」
『私の推測に過ぎませんが、優月が偶然に生み出した力なのでしょう。この世界自体が優月を受け入れ、優月も即座に受け入れたことにより無属性が生まれた、と考える他ありません』
「だから、私だけの力なんですね…」
『えぇ、優月だから使えるのです。逆に言えば優月がその力の使い方を間違えれば、この世界を簡単に征服してしまうでしょう』
「そんな使い方はしませんけど…」
『知っています。貴女は慈悲深く謙虚で素晴らしい人間だと。この世界に貴女を招いて正解でした。……無謀だとは分かっていますが、貴女にしか頼れないのです。どうか私の願いを聞いてくれませんか?』
「…予想つきますけど…どうぞ」
『神々の代わりに邪神を倒してください。熾天使の私でも敵う相手ではないのです。無属性を使える優月にしか、邪神は倒せない。……聞き入れてくれますか?』
「……実はもうアストラルからもお願いされているんです。…私にしか出来ないのなら、やりますよ。邪神を倒さないと私の平穏は来そうにないので」
『ありがとう、ございます…優月』
「邪神を倒す条件とかってあるんですか?」
『……そうですね。邪神は魂を完全に無に還さないと倒せません。神々でも成せなかったことを貴女がしないといけません』
「魂を完全に無に還す…」
『えぇ、無理な話なのは分かりきって』
「重大なヒントありがとうございます!ミカエル様のおかげで倒せそうです!」
『え?』
「攻略の鍵が見えたらあとはもう簡単ですよ!」
『………』
「ミカエルが驚くのは無理もない。姫君は魔物を見る度にてんしょんが上がったりするのだ。頼もしい姫君よ」
『……優月らしいですね。貴女の魂を勝手にフローラの体に入れて恨まれるとばかり思ってましたが、そんなこと無かったのですね』
「恨んでないです。異世界に来た時は驚きましたけど、今は今で楽しんでるので!」
『……優月がアストラルやジークベルトから好かれる理由が分かりますね。貴女だからこそ惹かれるのでしょう。出会いを必然的にしても惹かれないと意味を成しませんから』
「ミカエル様と話せて嬉しかったです」
『私もです、優月。話せて良かった。また会いに来ます』
「え」
『ジークベルトの婚約者としてではなく、優月自身に興味が湧いてきたので』
「ミカエル様は女性じゃ…?」
『熾天使や神々は性別は関係ありません。各々、好きな形…人の姿になっているだけで、男とか女はないのですよ。どちらでもなれますから』
しょ、衝撃の事実過ぎる…
「で、でも私はジークベルト様にしか」
『ジークベルトから奪うわけではないので、ご安心を。貴女と話す機会を増やすだけです』
にっこりと笑うミカエル様は、その笑みが怖かった。信じていいのかな…
「ミカエル、姫君を怖がらせるな」
『おや、失礼。アストラル、優月を頼みましたよ。私はそろそろ天界に戻らないといけないので』
「任されよ。姫君は我が命に代えても守ろう」
「アストラルが命を賭けなくても、私は大丈夫だよ。アストラルのことも皆のことも守ってみせるから」
「姫君…」
『……優月、また会いましょう』
そう言ってミカエル様は姿を消した。
「なんか、不思議な体験だった」
「そうだな。熾天使が下界に降りてくること自体珍しいことだからな」
「アストラルはミカエル様と知り合いなの?」
「我ら古の番人は、神々に創られたと話しただろう。熾天使も同様に神々に創られたのだ」
「……へぇ」
「我らは力を使い果たし、眠りについたが熾天使たちはこの世界に二度と争いが起こらないようにと、奮起した。……眠りについた後のことは分からないが、上手くやったのだろう」
「レヴィなら知ってるかな?」
「聞いてみるか」
私とアストラルはジークベルト様たちが居る場所へと戻った
「フローラ、何かあったのか?」
ジークベルト様は腕立て伏せ3セットが終わったのか、私の姿が見えるとすぐに駆け寄って来た
「うーん…なんとも無かったよね、アストラル」
「そうだな。姫君の杞憂だった」
「そう、か…。まぁ大して時間は経って無いしな」
え、あんなに話したのに、時間は経ってないの?
『お主たちが行ってから3分も経っておらんぞ』
嘘…さすが熾天使とも言えるかな…
『主とアストラルは熾天使に会ってきたのか?』
あ、うん。熾天使ミカエル様はジークベルトのことを愛し子って言ってて、光属性の力を与えたって
『なるほどな。それで若造は光属性が使えるのか』
レヴィは熾天使ミカエル様のこと知ってるの?
『有名な話だ。この世界は神々を信仰せずにそれぞれ熾天使を信仰している。ミカエルはラゼボ王国で信仰されている』
へぇー!サコヴィナ王国が信仰してるのは誰なの?
『熾天使ラファエルだな』
ラファエル…?っていうとあの筋肉マッチョの?
『筋肉まっちょかどうかは知らん。我は会ったことがない』
『ラファエルはあまり姿を見せんからな。姫君になら会ってくれるかもしれんが』
会えるなら会ってみたいかも。楽しみ!
『本来、熾天使に会うことなど出来んが姫君は熾天使からも注目される人間ということが今回ではっきりしたな』
『私たち、古の番人から見てもお嬢は特別な存在じゃないですか。今更、熾天使が現れても…』
『伝説の魔物である我からしたら、もしかすると主は魔王と戦うことになるやもしれんな』
魔王?!え、やっぱりこの世界に魔王いるの?!ちょ、レヴィ!そういうことは早く言ってよ!!邪神倒す前に魔王倒さなきゃいけないじゃん!!
『……』
『レヴィ、しまったって顔をしても遅い。姫君はもう歯止めが効かんぞ』
『……失言した』
『レヴィの失言でお嬢はてんしょん高くなって、公爵が嫉妬してますよ』
『………迂闊だった』
「ちょっとレヴィ、詳しく!!」
「……フローラ(また念話で何か話したのか。こんなにフローラがテンションが高くなるということは何か魔物に関する話か?)」
次回!魔王の話をレヴィから根掘り葉掘り聞くの回!おたのしみに!
魔王を倒すならやっぱり光属性かな?
『知らん』
レヴィが言い出したんだよ?魔王と戦うことになるって!
『我は何も言っとらん』
言ったもん!言質取ったから!魔王と戦うことになるやもしれんなって!!
『………』
さぁ!知ってること全部吐いてもらうからね!
『…勘弁してくれ』




