黒炎のケロベロスVS蒼渦の円舞曲
こんばんは!
皆さま、お待たせいたしました!
ジークベルト様が専用技の特訓に励む頃、フローラは単独で古代遺跡を探索。そこで遭遇したのは、闇属性の超危険な魔物パンドラボックス・亜種、そして遺跡のボス黒炎を纏うケルベロスでした!
フローラはケルベロスを強大なボス魔物だと認識しています。
火と闇のブレスを放つケルベロスに対し、フローラは蒼渦の円舞曲で、対抗します!そんな34話をどうぞ!
拝啓 お父さん、お母さん。
黒くて紫色のでっかいケロベロスがボス部屋にいました!テンション高ぶります!
二つの頭だ。本当にケロベロスって存在していたんだ。異世界らしい!いかにもファンタジーって感じ!
「右は獅子みたいに立派な頭なんだけど、左は細くて骨格が露出した悪魔的な頭なんだよね…それに四足の足には鎖がついてる。翼のように見えるのは熱波による空気の歪みでそう見えるだけか…」
さて、どう倒そうかな
「おっと、危ない!」
ケロベロスは攻撃を仕掛けてくる。もう少しで鋭い爪が顔に当たるところだった…
考えてる暇はないってことか。とりあえず、見た目からして火属性と闇属性はありそう。
雷鳴の剣でいきたいところだけど、片手剣だと動きずらいし、双剣かな…
「ケロベロス、いざ尋常に勝負!」
私は双剣、灼煌斬舞を両手に持ちケロベロスに斬りかかる
ケロベロスは宙に舞った私を目掛けて、闇色の炎を吐いてくる
「風と光属性の混合魔法!光速結界!」
ブレスを結界で守り、ケロベロスの胴体を斬り付ける、があまりダメージは入らなかった
「火属性だと厳しいか…でも双剣を作る時間なんて作れないし…あ!この双剣を水属性に変えたらいいのでは?!隙を作ってやるしかない!」
風属性魔法発動!疾風神速!
加速し、ケロベロスを翻弄させる。火属性の双剣で何度か斬りかかり、少しずつダメージを蓄積させていく。
「水属性魔法発動!絶対氷葬!!」
ケロベロスにマ○ャド○ス級の魔法を放つと、運良く凍った。
「今がチャンス!物質成形:即時細工!」
チーンっという効果音と共に出来上がったのは蒼渦剣舞。この遺跡でドロップした水属性のアイテムを灼煌斬舞と一緒にクラフトしたら出来上がった双剣だ。時間があれば灼煌斬舞が無駄にならなかったんだけど…仕方ない!
氷が溶けたのか、ケロベロスは動き始め爪を振り下ろしてくる
「甘い!水属性のこの双剣の攻撃を喰らえ!」
ケロベロスのの攻撃を躱し、左の頭に双剣で斬り付ける
「効いてる!」
しかしケロベロスは右の頭から炎のブレスを吐いてきた
「風属性魔法発動!疾風神速!」
危なかった…あのブレスを直撃しないようにしないと
私はケロベロスからの攻撃を避けながら考えていた。
片方の頭だけを攻撃しても意味がない。……両方の頭を攻撃しないと、従魔契約まで持っていけない。
「……この蒼渦剣舞で舞うしかないなら、このままブレスを吐いてくる前に斬りかかる!」
加速したまま、ケロベロスに立ち向かいしっかりと地面を蹴り宙を舞う。
「蒼渦の円舞曲!!」
巨大な水の渦(蒼渦)を作り出し、その渦の中心で自ら回転する。そうすることで渦全体を制御し広範囲を巻き込むことが出来る
つまり、ケロベロスの両方の頭を同時に攻撃出来るというわけだ!
「大ダメージ、キタコレ!これで止めだケロベロス、光属性魔法発動!神滅天雷!!」
ギ○デ○ンがケロベロスに直撃し、その場に倒れ込んだ
「対象はケロベロス!我の従魔となれ!無属性魔法、無限の誓約!」
ケロベロスに私の魔力が流れ込んでいく。するとケロベロスは光に包まれ私は眩しさのあまりに目を閉じた
『……俺のことを救ってくれてありがとう、フローラ。いや、主君』
そう、声が聞こえ目を開けると、ケロベロスは居なかった。
「…………え?ポ○モンのグ○ンア○マ?ケロベロスは?」
私の目の前に居るのは私より少し身長の低い魔物らしきものだった。
『主君が驚くのも無理はない。ケロベロスは闇に支配された姿だったからな。本来の姿はこの姿なんだ』
「…炎の戦士って感じだね、魔物感がそんなにないような…」
『俺は魔物だ。そういえば言い忘れてたが、俺は古の番人、イグニス。世界の情熱の番人だ』
「え?!古の番人?!」
『あぁ、そんなに驚くか?』
「驚くでしょ!!古の番人だなんて思わないじゃん!アストラルからは火の化身としか言われてないんだから、ケロベロスなんて思うわけない!!」
『アストラル…世界の均衡の番人か。主君は何体の古の番人を従魔にしているんだ?』
「イグニスを含むと三体だね。でも、従魔はイグニスを入れると四体だよ」
『アストラル以外にも居るのか?』
「うん、レヴィにヴァイスの二人がね」
『ヴァイス…は世界の変遷の番人だったか…。レヴィはシャドウ・リヴァイアサンか?』
「良く分かったね。その通りだよ」
『それぞれ主君に名をもらったのか…。主君、俺にも名付けて欲しいのだが』
「イグニスかぁ…んー…最初の二文字を取ってイグとかは?」
『イグ、か。主君がそう呼びたいのなら呼んでくれ』
「よろしくね、イグ!皆のところに戻ろ!」
『こちらこそよろしく頼む』
私はイグと共に遺跡を後にして、皆が居るところに戻った
「レヴィー!ただいまー!」
「帰ったか、主っ?!その魔物はなんだ?!」
「イグだよ。遺跡のボス部屋にいたところを私が倒して従魔にしたの」
「待て。主よ、順を追って話してくれ」
私はイグに目線を送ると彼は頷いたから、話すことにした
「──ってことだよ」
「「…………」」
イグと私以外、黙っちゃったね
沈黙を破ったのは、アストラルだった
「姫君、この者が古の番人だということは分かっているのか?」
「もちろん。イグから聞いた時は驚いたけど」
「…姫君がこの中の誰よりも強いことは理解しているが、ケロベロス相手にたった一人で挑むのは後にも先にも姫君だけであろうな」
「え、なんで?」
「………」
「フローラ、ケロベロスは腕の立つ冒険者が束になっても何人か犠牲なるくらい凶暴な魔物なんだ。それを従魔にしたフローラはフィラメント王国から呼び出されるかもしれないな」
「王国からの呼び出しとか勘弁して欲しい!たまたま探索した遺跡にいたところを従魔にしただけなのに...!」
「その好奇心が仇となったな、主よ」
「他人事だと思ってない?レヴィ?」
「我は知らんからな」
「ひどい!!」
「フローラ、もし呼び出されても俺が一緒に行くから安心してほしい」
「ジーク様…!」
「若造は主に甘いな」
「俺にとって大切で愛しい婚約者ですから」
「我も姫君と共に行くぞ」
「アストラル~…!」
私は座り込み、アストラルを抱きしめる
「私もお嬢と共に行きます」
「ヴァイス!ヴァイスもおいで」
そう言うとヴァイスは私の首に巻き付いてきた
ヴァイスの頭を撫でる
「………」
『俺も主君と共に城に参ろう』
「イグもありがとう!レヴィだけだよ、薄情なのは」
「っ、我も行ってやってもいい。お主だからこそだからな!」
「レヴィは素直じゃないね。ところでジーク様は習得できたの?」
「あぁ、出来た。その上でレヴィ殿たちから技を伝授してもらったんだ」
「そうなの?」
「少しでもフローラのことを守りたいからな」
「今でも十分にジーク様は強いし頼りになるのに…」
「そう言ってくれて嬉しいよ、フローラ」
ジーク様は後ろから抱きしめてきた
「アストラル、この近くに古の番人が居たなら教えて欲しかった」
「姫君がまさか遺跡に行くなんて思わなかったのだ。伝えておくべきだったか…?」
「アストラル、主の好奇心を舐めるな。放っておけば一人で遺跡やダンジョンを探索するのだからな」
「探索したくなるじゃん…」
「そうなるのはお嬢だけですよ」
「え~?」
次回!それぞれの専用技を習得せよ!連携技も生み出せ!
邪神に挑むなら新しい技を習得しようよ!私一人だと厳しいし!
『我らは必要ないと思うが?』
レヴィ、その考えは甘いね。邪神に対抗するなら新しい技で倒したいじゃん!ロマンだよ!
『………仕方ないな』
第34話、お読みいただきありがとうございました!
ついに古の番人イグニスを従魔にしました!ケルベロスから炎の騎士へと姿を変えたイグニス、カッコいいですね!「イグ」というニックネームも、フローラの愛着が感じられて可愛らしいです。
ケルベロスを一人で倒し、従魔にした優月ちゃんに、ジークベルト様や従魔たちが団結して守護を誓うシーンは、改めて彼らの固い絆と愛を感じさせてくれました。特に、ジークベルト様が「俺にとって大切で愛しい婚約者ですから」と宣言する場面は最高でしたね!
そして、物語はいよいよ最終局面へ向けて加速!
ジークベルト様は、フローラを守るために従魔たちから新技を伝授されています。フローラも「ロマン」のために新しい技の習得を提案!
次回は、ジークベルト様が習得した新技の公開と、フローラとジークベルト様による「愛の連携技」を生み出すための、熱い特訓回となる予定です!
次回、第35話をお楽しみに!




