3章突入!機織りの町、タペストリアへ!
こんばんは!いつもありがとうございます!
第2章の激動を乗り越え、ついにフローラは新天地、フィラメント王国「タペストリア」へ到着しました!
機織りの町に到着したフローラを待っていたのは、従魔たちの「空気の読めない愛の強制指導」。そして、ジークベルト様と愛を確かめ合ったフローラは、婚約者との関係に「ある決意」を固めます。
しかし、ロマンスだけでは終わりません!宿屋探しのために立ち寄ったギルドで、フローラはタペストリア特産の魔物の存在を知ります。
「森を燃やせないなら、剣で狩ればいい!」
――チート魔法を封印し、新たな戦闘スタイルに挑むフローラ。
第3章の舞台で、フローラがどんな活躍を見せるのか、ぜひご期待ください!
拝啓 お父さん、お母さん。
新しい国に来ました。フィラメント王国の一つの都市、タペストリア。機織りの町だそうです
町の中に入る前にアストラルから降りなきゃ
「アストラル、ありがとう。小さくなって」
「あいわかった」
サコヴィナ王国からフィラメント王国までアストラルの背中に乗って移動した。あ、もちろんジークベルト様も一緒です。…カイトパパがジークベルト様が同行するならって条件出したんだよ
『お主がちーと能力を家族に隠すのならば若造に頼るしかあるまい』
そうだけどさ…多分私のチート能力に気付いてると思うなぁ
『出掛ける度に従魔が増えているからな。姫君から話してくれるまで何も言わないであろう』
カイトパパにとってそれが家族としての信頼の形なのかな…
ジークベルト様が目を覚ました後、私はカイトパパに呼び出されて話した。
「……フローラ、その白い蛇は?新しい従魔か?」
「…えぇ。そうですわ、お父様」
「………出掛ける度に増えているな。フローラが可愛いから従魔になっているのか?」
「………」
「…今はそう言うことにしておく。フローラ、何か隠していることについては追及しないが無理はしないように。……親として心配くらいはさせてくれ」
「……ありがとうございます、お父様」
「しかし、3体目の従魔か。名前はあるのか?」
「白い蛇がヴァイスで、この肩に乗ってる小さな狼はアストラルって言います!」
「フローラらしいな。…大切にしなさい」
「はい!……お父様、お願いがあるのですが」
「言ってごらん?」
「フィラメント王国のタペストリアに行きたいです…」
「…………もう一度言ってくれ。良く聞こえなかった」
「機織りの町、タペストリアに行きたいです」
「待ってくれ、フローラ。フィラメント王国はここから馬車で5時間かかる国だ。それでも行きたいのか?」
「従魔に乗って行くので問題ありませんわ、お父様」
「…は?フローラが乗れる従魔は居ないだろう?」
「アストラルが大きくなったら乗れますの」
「……だがしかし、娘一人で行かせるのは…」
「どうしてもダメですか…?」
必殺!上目遣い!
「っ、ジークベルト殿が同行するなら行っても良い。……気を付けて行きなさい」
「ありがとうございます!お父様」
カイトパパ、相変わらずだね。
よし!私の部屋に居るジークベルト様にも聞いてこようっと!
って感じで今に至ります。
『主の父君は甘いな。若造も人のことは言えんが…』
ジークベルト様はすぐに承諾してくれたもん。カイトパパみたいに上目遣いしてないし
『無意識か…』
レヴィたちと念話をしていると、後ろから抱きしめられる
「……フローラ?」
「…ごめんなさい」
「分かってるなら、俺を放置しないでくれ。…君が使命を果たすまでプロポーズが出来ないんだ。それまで婚約者として過ごさないといけない俺の気持ちを考えてくれ」
「………はい」
ジークベルト様に気持ちを伝えて、ハッピーエンドかなって思ったけどそうじゃないみたい。
彼は私が邪神討伐という使命を果たすまで、婚約者の関係を続けるらしい。ジークベルト様らしいね
「…欲を言えばフローラと二人きりで過ごしたかったが」
「ふん、諦めろ若造。主の従魔である我らが契約者から離れるわけなかろう」
「分かってますよ、レヴィ殿」
またレヴィがジークベルト様を煽ってるよ。
何なんだろうね?
「とりあえず、タペストリアに行かない?宿屋探さなきゃ。ここに来た目的は三体目の古の番人の手掛かりを探るんだから」
「フローラ、手を繋いでもいいか?」
「うん、いいよ」
「ありがとう」
そう言ってジークベルト様は恋人繋ぎしてくる
ジークベルト様の手、大きい…
『若造といちゃつくな、主』
いちゃついてない!
宿屋を探そうと思い、まずは冒険者ギルドに寄るとフィラメント王国でもジークベルト様はS級冒険者として名を馳せていた。
「氷の公爵様じゃないですか!もしかして隣の人は婚約者ですか?!」
「…私の婚約者の話がフィラメント王国まで伝わっているのですか?」
「S級冒険者の中でも3本の指に入る氷の公爵様に婚約者が出来るなんて、話題になりますって!それにしても美人ですね!お近づきに...」
「私の婚約者に手を出さないでいただきたい」
「冗談ですよ…。氷の公爵様を敵に回すわけ無いじゃないですか」
ジークベルト様、私のって強調したな
しかしジークベルト様、人気だ。たくさんの人に囲まれて話してる。繋いだ手はしっかり握ってくれてるけど、蚊帳の外すぎる。
「………」
『暇そうだな、主よ』
そりゃあ、見れば分かるでしょ
『退屈なお主にタペストリアに生息する魔物の話をしてやろう』
レヴィ、気が利く!お願い!
『うむ。その名もレインボー・スパイダーだ。群れで行動することが多い魔物だな』
レインボー・スパイダー…ってことは虹色の蜘蛛ってこと?!そんな魔物が居るんですか?!
『タペストリアの周辺の森に居るぞ。レインボー・スレッドを落とすな』
スレッド…?糸の束?
『そんなものだな。戦ってみたいか?』
もちろん、戦ってみたい!今すぐにでも!!
「…ジークベルト様」
「どうした、フローラ?」
「………」
ジークベルト様に魔物を狩りに行きたいと目で訴えてみる
「……とりあえず、宿屋を探してからにしようか。婚約者を待たせるわけには行きませんので、この辺で失礼」
ジークベルト様に伝わったのか、彼は私の手を引き冒険者ギルドを後にした。
意志疎通、成功だね!
「…ジーク様、さっきの分かったの?」
「もちろん。おそらくレヴィ殿から魔物の話を聞いたんだろう?大体予想出来る」
「……凄い」
「フローラと意志疎通は出来てこそ、俺たちの関係が成り立つものだろう?それにフローラの願いは叶えてあげたいから」
「っ、ジーク様!」
好き!!私は嬉しさのあまりジークベルト様の腕にくっつく
「可愛いな、フローラは」
「若造も満更でもない顔をしておるではないか」
「……言わないでください、レヴィ殿」
「ところで宿屋はどうするの?」
「何日か滞在するなら、あそこに見える宿屋にしようと思ってる」
「……大きい宿屋じゃん(高そう)」
「安心してくれ、フローラ。ここは俺に任せて欲しい」
「ジーク様、頼りになる」
「最近フローラに良いところを見せられてないからな。挽回したいんだ」
『若造のぷらいどだな』
レヴィはどこでそんな言葉覚えてくるの?
『気にするな』
気にするでしょ
『レヴィは我ら古の番人と違って、若いからな。流行りも周知の上なのだろう』
え、そうなの?
『もちろんだ。流行りを知ってこそ視野が広がると言うもの。見聞を広めるにはもってこいだろう』
……レヴィって凄いね
『もっと褒めるが良いぞ』
調子に乗らないの
『お嬢は流行りは知ってるのですか?』
いや、興味ないかな。流行りって一時的なものだし、流行りに振り回されたくない
『一理ありますね…』
「…(またフローラが従魔と話してるな。何を話してるんだろうか)フローラ?」
「!……ジーク様、泊まる部屋は同じ部屋ですか?」
「…っ(あざといけど可愛いな。フローラだから許せるが)もちろん同じ部屋だよ」
「嬉しいです!部屋に入ったらぎゅーってしてくださいね?……ジーク様を独り占めしたいので」
「よし、すぐにでも宿屋の中に入ろう」
『やれやれ…若造は相変わらず主に弱いな』
『姫君にしてやられたな』
『流石、お嬢ですね…公爵を丸め込めるとは』
従魔たち!しっ!!作戦勝ちといって欲しい!
次回!レインボー・スパイダー狩り!森に火は放てません?!
森林火災は良くないか…
『火属性魔法は使わないのか?』
使いたいけど、森だよ?ダンジョンとか洞窟と違うんだから!
『ならどうするのだ?』
ここは剣で狩るしかないね!片手剣じゃなくてここは双剣でしょ!
『使ったことはあるのか?』
無い!!けど大丈夫でしょ!
『主のその自信はどこから来るのだ…』
第31話、お読みいただきありがとうございました!
無事、フィラメント王国に到着し、カイトパパの温かい信頼、そしてジークベルト様との甘いロマンスで始まった第3章。ジークベルト様との愛の再確認と、フローラの素直な独占欲が、とても可愛らしい回となりましたね。
しかし、愛を深めたフローラは、さっそく次のミッションへ!
レインボー・スパイダーの存在を知ったフローラは、森林火災はダメ!という理由で、まさかの火属性魔法を封印!
次話では、フローラが双剣という不慣れな武器を手に、初の魔物狩りに挑みます。チート魔法を使えない状況で、フローラの地力と機転が試されることになるでしょう。
次回、第32話の虹糸蜘蛛の狩猟戦をお楽しみに!




